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アンブラインドワールド  作者: だかずお
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〜 途切れぬ希望 〜






タケルと神井の目の前に立つのは、敬愛する自身の主、サタンを失い、手綱を無くした猛獣エバーフーミー

「全てを許さん、この惑星の全ての存在を皆殺しにするまで止まらんぞ」

この瞬間エバーフーミーは確かに、目の前に立つ二人の首を切り落とした筈だった。

だが、おかしな事に首は切れては居なかった、目の前の二人は自身の攻撃を確かに防いでいたのだ。


この状況下、龍神のくれた神力玉の二段回目がタケルの内で発動していた。

「すげぇ、こんなに霊力が上がるのかよ、すげぇ」


真横でタケルの霊力の増幅を見ていた神井は気付く、万が一にもこの目の前の存在に勝つ可能性があるとしたなら、神力玉を三段階目まで発動させる事。

それまで時間を稼げるか?

神井も構え、戦闘態勢に入る。


「なんだ、このガキ共、このエバーフーミー様と戦うつもりなのか?」それはエバーフーミーが想像すらしていなかった展開だった。

「うおおおおうっ」向かってくるタケルの全力の拳が既にエバーフーミーの顔面を捉えていた

「くらえっ」

なんだっ?このガキ共は?


タケルの拳は掴まれ、引っ張られると同時に、顔面にエバーフーミーの拳が打ち込まれた。

吹き飛ばされると同時にタケルは思う

強い、でも良かった、まだ戦える。

タケルはエバーフーミーの一撃をくらっても、しっかりと立っていた。


「うむ、ただの雑魚じゃ無いようだな」


エバーフーミーの姿は身長二百十センチ、体重五十キロ、茶色肌のヒューマノイド型(人型)えんどう豆の様な形の顔にある瞳は縦に五つ並んでいる。

この時、五つの瞳のうちの一つは何故か地中を見つめていた。

次の瞬間エバーフーミーは何かを躱す様に高く飛ぶ。


ズザアアアアンッ

何かを切り裂く様なその音は地中から霊力の斬撃が放たれた音

神井はタケルが仕掛けたと同時に、真っ当な攻撃じゃあ確実に躱される事に気付いていた為、地中に霊力を伝え、隠し攻撃していた。


「見事だな、いっぱしの者なら、放たれた事すら気付かず真っ二つだっただろう」

エバーフーミーの五つの瞳は神井を見つめた。


タケルもこの時、気付く、神井は神力玉を取り込んだ事によって、さっきまでより数段強くなってる。

これで、二段目が発動したら、あいつ何処まで強くなるんだろうな。


「中々良いコンビネーションになってきたじゃねえかよ俺達」


「黙れ、敵に集中しろ」


「わあってるよ」


「行くぞ!!」


同時刻、磁力の乱れた場所でのテレパシーをやめ、ペレーは自身の持っていた通信機器と言う古き道具を使い、マナとコンタクトを取っていた。

ペレーが事前にマナに道具を渡していた理由


「マナ、戦場じゃ確実に霊力を消して居場所を隠す事になるウキ、ただでさえ磁場が狂うこの場所、そうなったら霊力感知は難しくなるウキ、仲間の居場所も分からなくなるウキ、そんな時はペレーの鼻が仲間の居場所を感知するウキ」そう、猿のペレーは昔から鼻には自信があったのだ。

この判断が曲面の変化を生むことになる。


「ペレー、光堂を探してるけど、何処にいるか分からないの」


「任せるウキ、指示を出すウキよ、光堂の居場所、ペレーには分かるウキ」


場面はリタの場所に移る

白龍と青龍は襲ってくる闇の波動の者達と戦い続けていた。


「リタ、この場を離れろ、我々でもこれ以上お前を守り続ける事は難しい」青龍が叫ぶ


「笑わせるなよ、僕が二人を置いて逃げられると思うのか、死ぬときは一緒だ」


白龍と青龍は目を合わせる

龍神様が言葉を託したこの我が主を死なせる訳にはいかない。

白龍、青龍の気持ちは一緒だった。

ずっと小さき頃から面倒を見て来たリタ、自分達にとっては我が子同然の様な存在

そして、我々達もまた沢山助けられ、優しさ、愛を貰った。

そんな大切な存在を殺させる訳が無いのだ。

助ける、自らの命にかえても。

それがニ匹の龍の人間に対する、親心にも似た心だった。


白龍は尻尾を振ることで凄まじい風を巻き起こし、リタを空中に浮かせる


「やめろ、何をするんだ白龍」

リタにとっては、二匹の龍達は親であり、自身の大切な家族同然の存在となっていた。

明日彼等を失い、どう生きれば良いのか?考えた事も無かった。

考えた事も無かった、そんな現実が突如自身の目の前に姿を表す。


「やめろ、白龍、青龍」


二匹の龍達は限界だったのだ、これ以上リタを守る事は出来ない、それならば自らの命を賭け、最後に出来ることに全力を尽くす。

それはリタだけでも、この場から逃すことだった。

この隙を生む事により自分達は命を取られる事は分かっていた、それでも助けたいと思ったのだ、我が飼い主、いや、息子同然の大切な命を。

生命の本能、愛と言う心の本能が彼等を動かしていた。


「やめろ〜、やめてくれ〜」


リタが飛ばされる瞬間、リタは目にしていた、無数の攻撃が白龍と青龍の命を取る為、襲い掛かっている光景を。


「お願いだ、彼等を殺さないでくれ」

リタの悲しい叫びはペドスドラコの惑星に響き渡り、リタの瞳からは数え切れない程の涙がこぼれ落ちた。


さようならリタ


ありがとう 今まで本当に。


我々の心に残るリタへの想いは感謝しかない……


闇の存在達の刃が白龍と青龍の首を斬り落とそうとした瞬間だった、それを阻むもの達が居た。


ズギャアアアンッ


「何を勝手に死のうとしている」


「お前達」


白龍と青龍の目の前、敵の刃を阻んだのは、黒龍とペダだった。


「何故お前達が?」


「理由など聞くな、そうしたかったからだなあ黒龍」ペダはほくそ笑んだ


「そういう事だ、勝ち逃げなど許さん」


その光景はリタの瞳にしっかりと映っていた

ありがとう、ペダ、黒龍、安堵の気持ちとペダ達の心境の変化の憂いも混ざり、涙が止まらなかった。


「みんなで生きて帰るぞ」

その場に結束した者達の変わらぬ同じ想い

誰一人死なせない。


同時刻、光堂は意識を失いかけていた。

思った以上のダメージ、くそっ、目が霞む。

意識を失いそうだ、ここまでなのか。


くそっ、駄目か……


その時だった、倒れ込んだ自身の耳元で声が響き渡る

それは自らの命を繋ぎとめる音


「光堂、しっかりして、タケル君と神井君が殺されちゃう」


それはマナの声だった。


その言葉に、光堂の失いかける最後の意識はしっかりと現実を見つめる。


「なんだって」


「光堂、今二人を助けられるのはあなただけ、私が必ずあなたを助ける、だから二人を」


光堂は失いかける意識を保つ為、マナの腕を力強く握りしめた

「偶然か?良く俺の居場所が分かったな」


「ペレーよ」


光堂の心にペレーの表情が浮かんだ


そうか ペレー。


「マナ頼むぜ、俺にまだ希望を繋げさせてくれ」


「当たり前、そのつもりでペレーがここまで導いてくれたんですもの、大丈夫私達を信頼して」


「ああ」


タケル、神井、待ってろ すぐに助けに行く。




〜 アンブラインドワールド 〜





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