〜 龍神使い 〜
惑星ペドスドラコ
現在、神井によって傷付けられた子龍を抱え、リタは全力で走っていた。
もしかしたら白龍なら治せるかも知れない
「おいっ、死んじゃ駄目だ、しっかりしろ」
その時だった、視界にタケル達の姿
「おいっリタ、慌ててどうしたんだ?」タケルが声をかける
「うるさい地球人め、この星から出ていけ」
「?」
「その龍怪我してるわ、私に見せて」
「マナ……すまないが、君も信用出来ない」
マナの表情が変わる
「生きるか、死ぬかの瀬戸際なのよ」
マナの子龍の命を助けようとする本気の態度にハッと我に返り、気付いたらリタは子龍を渡していた。
「その龍、一体どうしたウキ?」
ギリッ
「ペレー、君達の仲間の神井がやったんだ」
「え?神井が」驚くタケルとペレー
光堂は子龍の額を見つめていた
そして喋り始める
「リタ、一応言っておくが、神井は自分より弱い者を自らの意志で襲う事はないと思う、多分何かしらの理由は」
「あんたは黙っててくれ、俺は、何もしてないこんな小さな龍を傷付ける様な地球人は信用出来ない、出て行ってくれないか」
光堂は説明を止めた
「マナ、俺達は先に森の外に居る」
光堂は歩き出す
「すまねぇ、リタ。あいつは根は悪い奴じゃあないって俺は信じてるんだ」タケルはリタに頭を下げてから、光堂の後に向かって行く。
リタは目を合わせられなかった
分かってる、僕だって…君達が悪い人間じゃないって事くらいは。
「光堂さん、神井が子供の龍にあんな事を」
光堂は龍が倒れていたであろう場所にしゃがみ込んでいた。
争った形跡…
「俺の推測によると、あの龍は額に爆弾を埋められていて、ここに向かわされた様だ」
「一体なんで、誰がそんな事を」
「それは分からない、俺達を狙ったのか、リタを狙ってか」
すると声が響く
「あの龍は俺をあの龍使いのガキと思い込んで襲って来た、あんな雑魚、殺すまでもなかったがな」
「神井、お前、そんな言い方」怒るタケル
「貴様、殺されたいらしいな」
「よせ二人共」
リタが何者かに命を狙われている
光堂は再び、リタの住む森に入って行った
「リタ君、この子龍さんの命はもう大丈夫、ここまでは治せたけど、あとは時間をかけて自然治癒になるわ」
「良かったウキ」
「マナ、ペレー、すまない」
「リタの気持ちもわかるウキ、もし可能だったら、神井をゆるしてやってウキ、ペレー達はもう行くウキよ」
その時だった、光堂が部屋に入ってくる
龍の額に手をやり何かを抜くと同時に、龍の額から血が吹き出した。
「あんた、なにやってるんだ」叫ぶリタ
「光堂、何してるウキか」
光堂は抜き取った物を、直ぐ様ポケットに入れ
「マナ、傷を治してやってくれ」とだけ言い、歩いて行ってしまった。
「あいつ、どう言うつもりだ」怒るリタ
異変に気付く、マナとペレーは顔を見合わせていた。
その頃、宇宙連合の本部のある惑星には百名からなる隊長、そして隊長をまとめる宇宙連合の総司令官とも呼べる一人の存在が集まっていた。
隊長が百人も同時に集まる事は、ここ何千年と、この宇宙で無かった事、これは極めて稀で異例の事態であった。
集まった理由、それは、道来の遭遇した未知なる怪物の正体を探る為
「道来、この鏡は異空間に繋がり、確かにその中に、先程申した怪物が居たのだな」
「間違いありません」
「そして、その怪物は隊長クラスのお前でも」
「全く相手にならないでしょう」
「奴等は鏡の中の異空間から、こちらの世界に来ようとしていたのだな」
「はい」
「全くなんて事だ、闇の主が目覚めようとしているこの大変な時期に、隊長が相手にならない様な怪物が無数に、この宇宙に来ようとしているなんてな」
「そこを死守していた一斎、その者は死んだのか?」
「確認は出来てませんが、恐らく」
「しかし、その者もとんでもない者だ、一人でそんな怪物を相手に長年その場所を死守していたなんて、その者から詳しい話を聞き出したかったが」
「他にも、その異空間に繋がる扉があるかも知れない、一斎と言う者がその扉になっていた鏡をただ破壊しなかった所を聞くと、そこに通じる扉を壊せば良いと言うだけのものでも無いのかも知れない、それか壊したくない、または壊せない、他の理由でもあったのかも知れない、なんにせよ我々はまだ何も知らない、先ずは情報収集、そしてそれに関する物を発見したら直ちに報告を」
道来は思う
あの中に真堂丸、文太が居たのか?
二人はあんな場所に居たとして、無事なのだろうか?
頼む
無事であってくれ……
再び場面はペドスドラコ
皆はリタの住む森の外に出ていた
「光堂、一体何が起こってるの?」
「俺の推測によると、リタは何者かに命を狙われている」光堂の手の中にある物、それは爆弾だった
「何者かが、龍にこれを仕込みリタを襲わせた」
「ほんとウキかっ」
「恐らく間違いないだろう、俺達はリタを隠れながら守る事にする」
「どうしてリタに伝えないウキか?」
「まだ言っていなかったな、一ヶ月後、龍神がこの惑星にやってくる、恐らく龍神は死ぬ」
「なっ、なんだって」
「何を行ってるウキか」
「異次元を移動する龍神が、次何処の場所に現れるなんて言う情報が、今まで外に漏れた事があるか?」
「確かにないわ」
「これはわざと知らせて居るんだ」
「でも、なんでなんだよ光堂さん」
「理由は分からない、だが間違いなく、この機に闇の波動を宇宙に増幅させようとする者達は、龍神を殺しにやってくるはずだ、無論、情報が漏れてる事を知ってまで現れようとする龍神の意図は分からない」
「でも、それと、リタが命を狙われている事を伝えないのは、なんの関係が?」
「リタは龍神に選ばれた、万年に一人現れると言われる、龍神使いだ」
「本当ウキかっ!!」
「龍神使い?」
「龍の中でも最も位の高いと言われてる、神の化身、龍神
龍神は全ての龍のトップに立つ存在、その龍神と唯一対等にコミュニケーションを取れる人間、それが龍神使い、リタはその龍神使いになる者だ」
「信じられない」
その時、マナとペレーは昼間の会話を思い出す
リタは龍神の背中にも乗った事があるんだよ……
「龍神は、本来黙って誰にも知られず、リタの前に現れる事は可能だったはず、しかしこれだけ情報の漏れてる中、現れる。しかも一ヶ月後と言う正確な日にちまで分かっている」
「とにかく、必ず何か重要な事が起こる筈だ、今はリタの精神を余計な心配で乱さない方が良い、そう思っての事だ」
「分かったウキ、リタを狙う者からリタを守るウキ」
「ふんっ、何故俺がそんな面倒な事を」
「神井分かってないな、リタ程の龍使いを狙う者、相手は只者であるはずがない。お前の力を試せる絶好の機会じゃないか」
「ふっ、調子が良いな、上手く丸め込みやがって。だが、良いだろう、はやく力を試したいからな」
「じゃあ決まりだな、光堂さん。俺達は龍神が来るまでの一ヶ月、リタに気付かれ無い様に、リタを守り抜く」
「ああ」
ここから、惑星ペドスドラコは混沌に巻き込まれる事となる
〜 アンブラインドワールド 〜




