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星神様と月神様

 遥か昔、まだ地界に生ける者が誰もいなかったころ。星界にはたった三柱の星神様がおりました。


 それぞれ、青色、赤色、白色の光を持つ彼らは、地界に生ける者を創ります。

 虫、魚、動物、植物……何もなかったはずの地界はいつの間にか、音に、温度に、色に、匂いに……さまざまなものに満ちていました。


 あるとき、青色の星神様が「自分たちの存在を知る生ける者を創りたい」と、人族という存在を創りました。

 それならば、と赤色の星神様は獣人(じゅうじん)族を、白色の星神様は妖精(ようせい)族を創りました。


 三柱の星神様は、一層の愛を注いだ三種族を見守ることにしました。

 寿命が短く、弱い順に、人族、獣人族、妖精族とその数を増やしていきます。時に争い、時に手を取り合って、時に離れ、時に笑い合う。目まぐるしく変わりゆく彼らを、星神様方は楽しく見ておりました。


 またあるとき、人族は青色の星神様に願いました。


「星神様、星神様、どうかお助けくださいませ。雨が降ってくれないのです。このままでは生きていくことができません」


 青色の星神様はそれに応え、雨を呼び、地界に芽吹きを与えます。それに喜んだ人族は感謝の心を、祈りを捧げるという形で伝えることにしました。


 またあるとき、獣人族は赤色の星神様に願いました。


「星神様、星神様、どうかお助けくださいませ。病が襲ってくるのです。このままでは皆死んでしまいます」


 赤色の星神様はそれに応え、病を退け、地界に平穏を与えます。それに喜んだ獣人族は感謝の心を、供物を捧げるという形で伝えることにしました。


 またあるとき、妖精族は白色の星神様に願いました。


「星神様、星神様、どうかお助けくださいませ。争いが止まらないのです。このままでは三つの種族が滅びてしまいます」


 白色の星神様はそれに応えようとしました。ですが、想いがぶつかり合うことによって始まる争いを止めることはそう簡単ではありません。それでも白色の星神様は応えようとしました。


 彼方遠く離れた星界からではその力が届かない。白色の星神様は地界へと近づき、その力を振るおうとしました。妖精族の願いに応えるため、妖精族以外の種族を亡きものにしようとしました。


 それに二柱の星神様が怒らないわけがなく、星界から白色の星神様を追放し、「月神」と呼ぶことにしました。そして、地界から月神様が見えないように、月神様から地界が見えないように、二柱の星神様は自らが愛する者たちに加護を与えました。


 月神様から襲われるという危機に瀕し、争いどころではなくなった三種族は団結することを選びます。結果として妖精族の願いは叶ったのです。


 それでも一向に収まらない月神様の怒りから地界と愛する者たちを守るため、青色の星神様と赤色の星神様は、数え切れないほどの星神様を創りました。

 この二柱は、原始の星神様と呼ばれるようになりましたが、それはまた別のお話。


 月神様となった白色の星神様は、今も、東の空に浮かんでいます。見えないときも、そこに在ります。


 加護を与える星神様の力が弱まる朔の夜、いつもと違う静かすぎる夜、月神様は月狼を従えてやってきます。

 どうか攫われないように、朔の夜は月神様に気をつけて……。

『星神様の三番目 〜旅と奇跡と広い世界と〜』をお読みいただきありがとうございます。この話で第1章(+幕間)は完結となります。


第2章の連載開始は9月中旬ごろを予定しております。


また、よろしければ評価・ブックマーク等をよろしくお願いいたします(すでにしてくださった方、ありがとうございます。作者が喜びの舞を踊っております)。

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