魔法少女ピクシーオールディクショナリー
さて、この物語の発端を語りましょうか。
ピクシースパイス ―魔法少女大戦―の正統続編と言われたところでわけのわからない読者さんがほとんどで、どんな物語が始まったのか、理解できず、ついてかれへんからもうええわって、なってると思うの。
だから、ここで誰かが説明をする必要がある、と親切なおねえさん代表の魔法少女ピクシーオールディクショナリーのわたしは思うから、少しの間だけ、わたしが語り部になってもいいかしら?
まぁ、返事がないのは、仕方がないんだけれど、今から壮大な独り言をする身としては、少し淋しいわね。
ピクシースパイスの物語にすでに触れたことのある古参の読者は、魔法少女大戦に一切、登場しなかったから、私のこと、あんた、誰?ってカンジだろうけれど、新大阪都庁のエレベーターでスパイスちゃんとブルーファイアちゃんがわたしについて少し話してるのを作者が初稿から書き足してるはずだから、そこでわたしの存在を確認してね。つまり、物語には、わたしは今まで登場しなかったけれど、その頃から、わたしは、この世界に存在してたってのは、理解できてよろしくて?
まぁ、魔法少女大戦の顚末については、すでに轟 奏ちゃんがあなたにしてくれてるだろうから、わたしがあえて復唱する必要はないと思うの。多少の事実と誤差はあれど、だいたいのテキストして彼女の説明は合格点、むしろ、細かい設定事実を確認する為に前作を読んでもらう為にも冒頭の彼女の語りは、必要なプロセスなの。作者にとっても、わたしたち登場人物にとっても、あなた達読者にとっても、ねっ。
だから、ここで親切なおねえさん的に説明すべきは、この物語の本筋、魔法少女たちの目的かしら?
まず、前作の魔法少女大戦では、たくさんの人が死んだわ。わたしたち魔法少女課の魔法少女もそれ以外の人たちも。中でも悲惨だったのは、タイトル的に主人公の役割を匂わされたピクシースパイスちゃんね。彼女は、仲間を失い、友を失い、名声と今までの生活と社会地位を失い、最後には自身の母親まで失った。
彼女は、その運命を、悲劇を、すべてフゴウ・タカラから教えられた人の善悪をコントロールするウイルス兵器、サタンソースとブレイブハートのせいだと思っている。フゴウ・タカラの吹聴で実際には存在しないかもしれないのに、そのウイルスのせいで自分は暴走し、世界を滅ぼす大魔法を発動しかけたと、すべてをそのウイルスのせいにしているの。
可愛いわね。
でも、彼女は本気で、今は、魔法少女課の魔法少女ではなく、南大阪自治区の魔法少女特別遊撃隊の司令官スパイス長官として、新世代の魔法少女たちを指揮し、世界中でそのサタンソースとブレイブハートという精神操作のウイルス兵器の探索に当たらせているの。
つまりは、新世代の魔法少女フェアリーソフトちゃんやフェアリーフラッシュちゃんがこのエリア51の地下施設に来ている理由も、すべてはサタンソースとブレイブハートを見つける為なの。
彼女たちは、私に会いに来ている。
それが彼女たちの今回の任務。
何故か?
それは、もうすぐわかるわ。
ほら、今、ジョン・カールソンの生体認証を使って、何重もの扉のロックを解除し、わたしがアメリカ政府から幽閉されている部屋に彼女たちが入ってくる。
まずは、目つきのするどい緑色の迷彩柄のミニスカドレスの魔法少女から。
「あんたが未来予知の魔法少女ピクシーオールディクショナリーか?」
「そうよ。あなたは、南大阪自治区の魔法少女特別遊撃隊の怒りの魔法少女フェアリーフラッシュ。その後ろの白い迷彩柄のミニスカドレスの魔法少女は、あなたの直属の後輩でフェアリーソフト。恐怖の魔法少女。好きな映画は、クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」
「どうじで、知ってるんだすか? 誰にも言っだごとないのにぃ」
「どうやら、18歳を過ぎても、その魔法能力は、健在のようだな」
「ここにわたしに会いに来たのは、わたしの未来予知の能力でサタンソースとブレイブハートの発生装置を見つけてもらう為ね」
「話が早いな。あたし達とここを出よう。サタンソースとブレイブハートの発生装置まであたし達二人を案内してくれ」
「それは、できないわ」
「なんでだ?」
光島あかりは、怪訝に眉を寄せ、わたしを睨む。わたしは、自分の金色と銀色のボーダー柄のミニスカドレスの上の首に装着されたリングを指差す。
「わたしがこの部屋を出ると、この首に付けられた小型爆弾が爆発する。何より、仮にこの部屋を出れても、すぐにエージェントチャールズの能力でわたしは、この部屋に戻される」
「なら、サタンソースとブレイブハートの発生装置のある場所だけでも、教えてくれ」
「それもできないわ」
「なんでだよ!」
「わたしの予知でわかるのは、自分の関わった未来だけ、わたしの未来にサタンソースとブレイブハートは関わりはない」
「つまり、それは、どういうことだっすか?」
「わたしの魔法能力では、サタンソースとブレイブハートの発生装置のある場所はわからない」
「じゃあ、あたし達は、なんの為にここまで来たんだよ!!」
「イライラしないで。光島あかりちゃん。サタンソースとブレイブハートの発生装置のある場所はわからないけど、その場所が記載されている書類のある施設なら知っているわ」
「どこだよ?それは」
「ペンタゴン」
「ペンタゴンって、…………あの?」
「そうよ。あのペンタゴンよ。バージニア州アーリントン郡にある」
「そんなとこ、あだす達で襲撃しだら、さすがに戦争になりまぜんが?」
「スパイスのババアの命令は絶対だ。行くしかないだろう」
光島あかりちゃんは、覚悟を決めたようだけど、轟 奏ちゃんは鼻水を垂らして、ぼーっとしてて、何を考えてるのか、わからないわ。未来は読めても、人の心の中までは、わたしの能力ではわからないのよね。
「ペンタゴンでエージェントチャールズに会ったら、あかりちゃんは、奏ちゃんと手を繋いでね。それでエージェントチャールズの無敵能力は、無効化できるから」
「げっ。こいつと握手ぅ?ばっちぃな」
「ちゃんと、鼻水は拭きますよぉ。ぜんぱい」
「つか、エージェントチャールズの能力って、なんだよ? それさえ、わかればいくらでも対処できるだろ」
「それは、あとのお楽しみでとっておくべきだわ。読者の為にもね。それに、エージェントチャールズの能力を知ったところで、あなたの光魔法では勝てないわ。奏ちゃんと仲良く協力しなさい」
「どこまで、あんたの言葉を信用していいんだかな。予知能力で一人だけ魔法少女大戦から逃げた卑怯者の言葉なんて」
「わたしは、世界一親切なおねえさんよ」
「ぜんぱい、あだすは、この人信用していいと思うだっす」
「また例のビビビッか?」
「はい、いつものっず」
「ちっ、お前の勘は、当たるからなぁ」
二人は、結局、ペンタゴンに行く。わたしには、わかる。
「あんたは、どうするんだ? このまま、ここにいるのか?」
光島あかりちゃんは、睨む時と同じ眼光を向け、わたしに言う。
「爆弾があるからね」
「そんなのどうとにでもなるだろ。ちきしょう、加鳥花子との通信さえ、今も繋がってりゃなっ」
マジカルウォッチがあった手首をさする。優しい子ね。
「わたしは、運命に従うわ。予知能力者は例外なく、運命の奴隷だもの」
思わず、悲しげな声音を出してしまう。わからないものね。自分のこころさえ。
「あとで、かならず、迎えにぐるっず」
この子も優しい子。
「そうだな。そうしよう。今は、任務優先だ」
二人は、結局、この部屋から出て行き、ペンタゴンへと向かった。ここまでは、シナリオ通り。すべてが予定調和。
「これで良かった。ですよね? ダーク様」
わたしは、自分以外誰もいない一人きりの部屋で虚空色の天井を見上げ、未だ訪れない終わりと彼を想い、つぶやいた。
すみません。今作のストーリーは完結まで頭の中でほぼ出来上がっているのですが、お金になりそうな匂いが一切しないので、休載します。他関連作品も同一です。再開時期は未定。夢追い人のみなさん、おつかれ生です。俺は降ります。さようなら。




