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第70話 第7の子供編⑭ ダイチの覚醒

「なんなんじゃ、この小娘共は・・・。

 ・・・・・・!!??

 ダ、ダイチがいない!?」





ダイチの助太刀のために、ドラゴンへ戦いを挑む俺達。

だが6人掛かりにも関わらず、力の差は歴然だ。


俺やエルム、レイドの中級魔法もドラゴンにはほとんど通用しなかった。

アカリとユラが初級魔法で必死に食らいつくも、やはりダメージは与えれない。

絶望的な戦いが続いたせいか、肝心のダイチがいなくなっていた。


「ダイチの野郎。

 ・・・まさか逃げた?

 いや、でも・・・。」


エルムが違和感だらけの表情で、ダイチの逃亡を疑う。

けれど俺にはちょっと信じられない。


世の中、強敵相手に仲間を置いて逃げ出す奴も大勢いるだろう。

もしかしたらダイチもそういう性格だったのかもしれない。


ユラやレイドと違って、ダイチは知り合って間もないしな。

人となりを完全に理解するのは無理な話である。


とは言え、一番ソーマを欲しがっているのはダイチなのだ。

しかもあのドラゴン、来る者拒んで去る者追わずってノリをしている。


故にどさくさ紛れに逃げ出す理由なんてどこにもないはず。

どうしても逃げたいのであれば、真正面から逃げれば良いのだ。



「な・・・なんて薄情なの?

 いくら私達がドラゴン相手に手も足も出ないからって、あんまりよ!!」


「ダイチは私達を置いて逃げた。

 そうに決まってる!!」



って、ええっ!!

アカリもユラもダイチが逃げ出したって決め付けてる!?


・・・なんからしくないなぁ。

どことなく棒読みだし。


「でも、私達は諦めないわ。

 フラウを助けるために、あなたを倒す!!」


などと言いながら、ドラゴンの横に回り込もうとするアカリとユラ。

そんな彼女達に違和感を持ちながらも合わせる俺達。



「なるほどのう・・・はっはっはっ。

 その手には乗らんぞ、小娘共よ。」


「「!!」」



だがドラゴンは俺達に背を向け、後ろの・・・おそらくソーマがある方を向き、何かを待ち構えるような姿勢を取る。


「ドラゴン・・・。

 あなた、敵である私達に背を向けるつもり?」


「小娘よ、その手には乗らぬ。

 ・・・お主ら。わしの目をくらませ、その隙を突いてダイチをソーマの所へ向かわせたのじゃな。

 中級魔法すら使えぬからと侮っておったわい。やるのう。」


あっ、なるほど。

アカリとユラはダイチにソーマを取りに行かせるために、ドラゴンの目をくらませていたんだ。

さっきの棒読みのダイチ批判も、ドラゴンを騙すだめの芝居か。


そう言えば、俺達の目的ってドラゴンの討伐じゃなくて、ソーマの入手だったもんな。

これはナイスアイデア・・・と言いたい所だが、バレるのが早すぎたのはかなりマズいかも。



「はぁ、はぁ。皆のおかげで、念願のソーマを手に入れたぞ!!

 待ってて、フラウ。

 今行くから・・・・・・・・・・・・ああっ!!!!」


「残念じゃったのう、ダイチ。

 あと少しでわしを出し抜き、ソーマを持ち帰れる所だったのにのう。」



ドラゴンの予想通り、ダイチはアカリ達が攻撃している隙を突き、ソーマを取りに行ってたようだ。

しかしそれがドラゴンにバレてしまい、帰り道を塞がれてしまった!!


「ダイチよ、お前がくんだソーマを全て置いて行くのじゃ。

 さすれば命だけは助けてやろう。


 ・・・じゃが、拒むのであればもう容赦はせぬ。

 お主を殺す!!」


「あ、ああ・・・。」


ドラゴンに脅され、恐怖の余り歩みを止めるダイチ。


・・・だよな。

ダイチの奴、何度もドラゴンに挑んでは返り討ちに合っていたからな。


しかも多分、ドラゴンはその気になればいつでもダイチを殺せたはず。

それでも殺さなかったのはおそらく、慈悲とか気まぐれとかの理由からだろう。


そんな相手に本気で凄まれたら、怯えても無理は無い。

俺だってダイチの立場だったら、蛇に睨まれた蛙のようになっていたと思う。


けど、それでも!!





「あきらめるな!!

 ダイチ!!!!

 ホーリー・ナイフ!!」





俺は光のナイフを振りかざし、衝撃波を作り出し、ドラゴンの背にぶつける。


「何のつもりじゃ、小僧。

 そんな攻撃でわしを倒せると思うとるのか?

 ・・・これ以上、邪魔立てするならお主らも殺すぞ!!」


とは言え、相手は中級魔法ですら多少痛がる程度で済ますドラゴン。

初級魔法なんて、砂粒が当たったくらいの感覚なのかもしれない。


そうとわかっていながら攻撃を行い、ドラゴンを怒らせる理由など無い。

頭ではわかってるんだ。


でもな!!


「そんな脅しに屈したりなんかするものか!!

 俺はダイチもフラウも見捨てない。

 絶対に助けるんだ!!」


いくら啖呵を切っても、内心では怖くて怖くて仕方が無い。


・・・でも絶対に折れるものか!!

俺達はダイチやフラウを助けるんだ!!!!


「そうだ!!

 いくらお前が強いからって、そう簡単に怯むと思うなよ。

 ファイア・ナックル!!」


「いくらあなたが強くても、皆で力を合わせれば、絶対に負けないんだから!!

 サンダー・スティック!!」


「私は困っている友達を助けたい。

 だから戦う!!

 ウインド・ダーツ!!」


「ダイチよ、お前も男だろう。

 だったらどんな困難があろうと、怯えず乗り越えてみせろ!!

 俺も力を貸すから・・・アイス・レイピア!!」


俺だけではない。

エルム、アカリ、ユラ、レイド・・・皆、ダイチやフラウを助けるために諦めず戦い続けている。


だがいくら頑張っても、現実は非情である。

やはり初級魔法では、ドラゴンを倒すどころかかすり傷一つ付けられない。


「何故じゃ・・・?

 ・・・どうしてお主らはそこまで。」


なのに、ドラゴンは困惑した表情で俺達の方に目を向ける。

何をそんなに不思議がっているのやら。


仲間や友達のために力を尽くすなんて、特別おかしな事でもないだろうに。


「ライト、皆!!

 ・・・・・・。

 ・・・皆、僕やフラウのために必死で戦ってくれてるんだ。」


俺達の激励が届いたのか、怯えてたはずのダイチの目に光が宿る。


「それなのに、僕一人だけ怯えたままじゃいられない!!

 フラウを助けるために・・・皆の頑張りに報いるために!!!!」


そして決意を叫ぶダイチから、強いエネルギーが流れ出した。

この感覚・・・まさか!?





「メガ・アース・ハンマー!!」





やっぱり!!

あれはかつて太陽城で戦ったハイ・オーガが得意としていた、地属性の中級魔法だ。


「な、なんじゃと!?

 ダイチ・・・お主、中級魔法を!!」


・・・このドラゴンの驚きよう。

ダイチの奴、この土壇場で新しい上位魔法を修得したんだな!!


でも・・・。


「ふ、ふん。

 中級魔法を修得したからと言って、なんじゃ!!

 その程度の魔法でわしを倒せるなどと思わぬ事じゃな。」


ドラゴンの言う通りである。


いくらダイチが中級魔法を修得した所で、俺やエルム、レイドの中級魔法とさしてパワーは変わらないだろう。

だとしたら、ドラゴンに対する切り札としては弱すぎる。


ならば少しでもダイチの攻撃でダメージが通るよう、策を練らないと・・・。

あっ、そうだ!!


「皆、ちょっと聞いてくれ。

 あのな、ゴニョゴニョ・・・。」


俺はちょっとした策を思いつき、エルム達に伝える。

我ながら幼稚な策だとは思うけどあのドラゴン、結構大人げないし、成功率は低くないはず。


俺達は初級魔法による攻撃を中断し、代わりにドラゴンに対し、大声で話し掛ける。


「やい、この心が狭い頑固ドラゴンめ。

 いい加減、ダイチにソーマを譲りやがれ!!」


「そうだ、そうだ。このドケチドラゴン!!

 大体なんでてめー、自分の物でも無いソーマを独り占めしてんだよ!?

 最強種の癖にみみっちすぎるわ!!」


「あなたの過去に何があろうと、ダイチとフラウの恋路を邪魔するなんて許せない!!

 ライトやエルムだってここまで情けない事、しないわよ!!!!」


「私情で無実の女の子の救助を邪魔するなんて最低。

 ドラゴンって、そんなに醜い生物なの?」


「そうだ、そうだ。

 仮にも世界最強の種族の癖に、なんと狭量な奴だ・・・。

 恥を知れ!!」


ドラゴンに対する非難を。

・・・アカリの非難にはさりげなく俺やエルムのdisりも含まれていたが。


「な、なんじゃと!?

 貴様ら、言わせておけば!!」


よしっ、ドラゴンが俺達の暴言に気を向けたぞ。


普通の殴り合いもそうだ。

殴られるとわかっている場所を殴られるよりも、自分が意識していない所を殴られる方がダメージははるかに大きい。


だからチャンスだ、ダイチ。

ドラゴンが俺達に気を取られている隙に、渾身の一撃をぶつけるんだ!!



俺達の意図を酌んだダイチが、メガ・アース・ハンマーを抱えたまま、ドラゴンの足元へと突撃する。

そして無言のまま、ドラゴンの右足の小指目掛け、メガ・アース・ハンマーを全力で振り下ろした!!


ガーン!!





「!!!!!!!!????????

 ぐ、ぐぎゃああああああああああああああああ!!!!」





メガ・アース・ハンマーによる攻撃を受け、ドラゴンが大地をも揺るがすほどの悲鳴を上げる。

その隙を突きダイチは道を塞ぐドラゴンを通り抜け、俺達の元まで辿り着く事に成功した。


「やったな、ダイチ。」


「凄えじゃねえか!!」


「よく頑張ったわ。」


「これでフラウも助かるはず。」


「やるではないか。見直したぞ。」


「皆、ありがとう。

 皆のおかげで、ソーマが手に入ったよ!!」



そして俺達は喜びを分かち合った。


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読んで頂き、ありがとうございました。

少しでも「続きが気になる!」「面白い!」と思って頂けたら、評価★★★★★と、ブックマークを頂ければと思います。

どうぞよろしくお願いします。
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