第69話 第7の子供編⑬ ブレイブチルドレンズVSドラゴン
なんやかんやあって、勇者の子供達とドラゴンの戦いが始まった!!
・・・正直、ドラゴンと戦うなんて、凄く怖い。
けれど、ダイチやフラウを助けるためだ。
やってやる!!
「さあ、いつでも掛かってくるがよい!!」
一方、ドラゴンの方は6VS1にも関わらず、余裕の表情を崩さない。
俺達なんか、相手にならないと思っているのかもしれない。
しかし、これはチャンスだ。
相手が油断している隙に、全力で叩きのめす!!
「行くぞ、ドラゴン。
メガ・ホーリー・ソード!!」
俺は光の剣を振りかざし、特大の光の衝撃波を放つ!!
「ふうむ・・・。」
それを見たドラゴンが防御態勢を取り始める。
が、中級魔法はまともに食らえば、大型の魔物や魔族でさえ、致命傷を与える事ができる。
少し身構えたくらいで、耐えられるとは到底思えない。
そして光の衝撃波は巨大なドラゴンをも、激しい音と光で包み込んだ。
やったか?
「・・・さすがに少しはこたえるのう。」
しかしドラゴンは中級魔法による攻撃を受けたにも関わらず、わずかに効いた程度の反応しか見せていない。
嘘だろ・・・?
「うぉおおおおおおおお!!!!」
この声は・・・エルム?
まさかドラゴン相手に接近戦を挑む気か??
相変わらず、危ない橋を渡るなぁ。
「メガ・ファイア・キック!!」
強烈な炎の力を足に宿したエルムが、ドラゴンの胴体を全力で蹴り付ける。
「ぐっ!?」
よしっ、決まった!!
近距離戦での攻撃力なら、エルムに勝るものは早々いない。
これならさしものドラゴンも致命傷は免れ・・・。
「ううむ。
痛いのう、痛いのう・・・。」
って、ええっ!?
エルム渾身の一撃でも、そんなもん!!??
中級魔法を2回も食らっておいて、ほんの少し痛い程度のダメージで済ますとか、嘘だろ!?
「マ・・・マジ?」
「さて、少しはお返しせねばな。」
そんな事を言い放ち、ドラゴンは大きな大きな口を開き始める。
なんかヤバそう!!
「エルム!!
早く離れて!!!!」
「あ、あわわ・・・。」
エルムが必死になってこちらまで戻って来たが、ドラゴンの攻撃準備も整ってしまっている。
「メガ・ドラゴン・ブレス!!」
そして、ドラゴンは口から巨大な赤い火球を吐き出した!!
なっ・・・これは中級魔法!?
まずい。
こんな攻撃を食らったら俺達、ただでは済まない!!
とは言え、俺もエルムも中級魔法を使うだけの体力は残っていない。
「下がれ、皆。
メガ・アイス・ランス!!」
だがレイドが氷の槍を作り出し、強烈な冷気を放って、ドラゴンのブレスを迎え撃つ。
ところがレイドの冷気よりも、ドラゴンの火球の方が勢いが強い!!
「ぐ、うぉおおおおおおおお!!!!
負けるかぁああああ!!」
それでもレイドは根性を振り絞り、ぎりぎりドラゴンの火球の相殺に成功する。
・・・た、助かった。
「サンキュー、レイド。
助かったぜ!!」
「はぁ、はぁ・・・エルム。
安心している場合では無い。
ドラゴンの方を見てみろ!!」
レイドの言われるままドラゴンの方を見るが、あれほどの攻撃をしたのに息一つ乱していない。
俺もエルムもレイドも、全力で攻撃したせいでかなりヘバってるのに・・・。
「人間にしてはマシじゃが、所詮その程度かいのう。
・・・大口を叩いておきながら、情けない。」
ううっ・・・。
こちらの全力の攻撃がクリーンヒットしようが、ドラゴンにはほとんどダメージを与えられない。
なのに相手に取ってはジャブのような一撃でさえ、全力で対抗して、やっと防げると言ったところ。
力の差がありすぎる。
勝てるのか、これ?
「くそっ。ドラゴンがここまで強いなんて!!
・・・でも魔王って、あのドラゴンよりも強いんだろ?
俺達、魔王を倒せるかなぁ・・・。」
「弱気になっちゃダメだ、エルム!!
今の魔王は瀕死なんだ!!!!
弱り切っている隙を突けば、魔王だって倒せるさ。」
「おい、ライト。
魔王を倒すのはさておき、そんな卑怯な真似はしたくないのだが・・・。」
レイドってば、何を言っているのやら。
諸悪の根源に正々堂々勝負を挑む理由など無い。
そもそも余計な恨みを買うような真似をするから、弱っている所を狙おうなんて輩も出てくるのだ。
俺みたいにな!!
「ほうほう、お前達は魔王の命を狙っておるのか。
甘いのう。その程度の実力では、例え瀕死でも魔王は倒せぬ。
・・・いや、魔王どころか側近の魔族にさえ、敵わぬであろう。」
うっ、そんな事を言われると不安になってしまう。
それに側近の魔族って、かつて戦ったハイオーガや人魚の魔族よりも強いのだろうか?
・・・これは修行も視野に入れた方が良いかも。
「大体、お主らは何故、魔王の命なんぞ狙っておるのじゃ?
金や名誉でも欲しいのかえ??」
「違う。そんなもののために命を賭して戦う気は無い。
・・・けど魔王は俺達、勇者の子供に短命になる呪いを掛けた。
だから俺達は魔王に挑むんだ。死の呪いを解くために!!」
仮に魔王が、魔王の側近が俺達以上に強かったとしても、逃げるわけにはいかない。
魔王を殺さなければ俺達はどの道、死んでしまうんだから・・・。
「なるほどのう、お前達は勇者の血を受け継いでおるのか。
どうりで、人間の小童にしては強いわけじゃ。
・・・しかしあの魔王がお前達に呪いを、のう。
にわかに信じられぬ。
大体、お主らが目障りなだけなら、呪いを掛けるよりも、直接殺す方が簡単じゃろうに。」
う~ん、確かにドラゴンの言う通りだよなぁ。
単に俺達が邪魔ってだけなら、呪いなんか掛けるよりも、成長する前に殺す方が話が早い。
「合理的に考えればそうだけど、きっと理屈じゃないんでしょ?
恨み多き勇者への嫌がらせ目的で、子に呪いを掛けたって可能性もあるし・・・。」
「それならありえるかものう。」
変な所でドラゴンと意気投合するも、それはそれ、これはこれだ。
今は魔王よりも、ソーマ入手に全力を注がなくては!!
しかし切り札の中級魔法さえ、ドラゴンにはほとんど通用しない。
どうしよう・・・どうしよう!!
「困った・・・。
ライト達三人でさえ、ドラゴンには手も足も出ない。」
「・・・そんな。
皆で力を合わせても、ドラゴンには敵わないの?」
「う~ん・・・あっ、そうだ!!
ユラ、ダイチ、あのね・・・。」
アカリ達が何やらこそこそ話すのを尻目に、ドラゴンは俺達を嘲笑うかのように口を開く。
「さあ、お前達がいくら束になろうが、わしに敵わぬ事はわかったであろう?
これ以上、痛い思いをしたくなければ、尻尾を撒いて逃げるが良い!!」
くっ、逃げるつもりは無いが、実力差がありすぎるのは確かだ。
しかも俺達三人は中級魔法を使ったばかりで、かなり消耗している。
このままでは分が悪すぎる!!
「誰が逃げるもんですか!!
次は私達が相手よ。」
「うん!!」
アカリ、ユラ?
ドラゴン相手に勇ましく啖呵を切るアカリ達だが、彼女らはまだ中級魔法を使えない。
いくらなんでも荷が重すぎる。
・・・中級魔法が使える俺達でさえ荷が重すぎるのに。
「ウインド・ダーツ!!」
「むっ!?」
ユラが魔法で生み出した風のダーツを、ドラゴンの右目目掛けて放り投げる。
並の魔物なら失明待った無しのエグい一撃だが、ドラゴンにとっては、少し勢いのあるそよ風に当たった程度の威力だろう。
「ウインド・ダーツ!!
ウインド・ダーツ!!」
だけどユラはドラゴンの右目に何発もの風のダーツを放り投げる。
ダメージを受けているようには見えないが、集中的に目を攻撃され、さすがのドラゴンも少し煩わしそうだ。
「目潰しのつもりかのう?
じゃが目を瞑ればそのような弱い魔法、全く通用せぬわ!!」
言葉通り、右目を瞑るドラゴン。
こうなってはいくら初級魔法を連打しようが、目潰しなどまず不可能である。
ところが・・・。
「ウインド・ダーツ!!
ウインド・ダーツ!!」
「・・・???」
それでもめげずに風のダーツを放ち続けるユラ。
おかしいな・・・。
冷静なユラなら、いくら攻撃を続けたって目潰しなんて無理って事くらい、わかると思うが。
「今度は私の番よ!!
サンダー・スティック!!」
そんなユラを尻目に、次はアカリがドラゴンの左目目掛けて雷を放つ。
「お主も目潰しが目的かのう。
じゃがその程度の魔法で、ドラゴンの目を潰せるなどと思うなよ!!」
・・・確かにドラゴン相手だと、中級魔法でさえかすり傷程度にしかならない。
だからいくら目を狙おうと、初級魔法ではダメージすら通らないだろう。
「はぁああああ!!」
って、あれ?
アカリの奴、雷がドラゴンの左目に直撃する直前で寸止めしてる!?
ってか、ドラゴンの左目を雷で覆っているようにも見える。
「・・・???
初級魔法の無駄打ちに寸止め。
お主らは何を考えておるのかのう?
・・・それにしても眩しいわい。」
眩しい・・・あっ!?
なるほど。アカリ達の目的は目潰しじゃなくて、目くらましか。
でもいくら目くらましを頑張ろうが、多少の時間稼ぎにしかならない。
そんな事で状況を打開できるのだろうか?
「・・・。
ええぃ、鬱陶しいわ!!」
いくらダメージを受けないとは言え、目を執拗に狙われて良い気はしないだろう。
短気を起こしたドラゴンが、アカリとユラのすぐ側を思いっきり踏みつける。
「「きゃああああ!?」」
近くで足踏みされただけで、大きく吹き飛ばされるアカリとユラ。
魔法無しで魔法以上にヤバい攻撃が可能とか、ドラゴンパネェ。
「なんなんじゃ、この小娘共は・・・。
・・・・・・!!??
ダ、ダイチがいない!?」




