表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/297

第35話 研究所編① 半壊した建物の地下室

俺の名はライト。

勇者の子供(仮)だ。


今は仲間達と共に不死鳥の宝玉の手掛かりを求め、幻影城へ向かって旅を続けている。





だけどそろそろ日が暮れてきたようだ。

近くに村や町などは見当たらない。


お腹も減ってきた俺達は、皆で夕食の準備を行っていた。

今日は食用の魔物と出会えなかったが、今の俺達はクラーケンやラージトロルの肉を大量に所持している。

ゴールがはっきりしない旅路なので、食料に余裕があるのはありがたかった。



「ライト。お前達は魔王に死の呪いを掛けられていると聞く。

 俺にも掛かっているそうだが、どういう経緯でそんな話を信じたのか、教えてくれないか?」



夕食の準備をしつつも、レイドが尋ねてくる。

ユラはともかく、レイドがこういう雑事を抵抗なく行うのは予想外である。


・・・やってくれる事自体は良いんだけどね。

『こんな下らない事、俺のやるべき事じゃない。』って態度だったら、ブチ切れそうだし。


その辺を本人に聞いた所、『戦う力だけが強さの全てではない。様々な事が出来てこそ、本当の意味で強い男なのだ。』との事。

レイドにとっては、雑事をこなす能力も強さの一つって訳か。

わからなくもないが、おかしな所で哲学的な奴である。


「えっと、俺達の仲間・・・ハジメって言うんだけど、何の前触れもなく突然死しちゃってな。

 悲しんでいた所をクズじじぃから『魔王の呪いが掛かっているから、ハジメは死んだ。お前達も他人事ではない。』って聞いてさ。

 だから、魔王討伐の旅を続けている。」


「いや、ちょっと待て。

 仲間が突然死んだってのはともかく、お前達は怪しい人物の妄言を信じて魔王を倒そうとしているのか?

 ・・・占い師に脅された俺が言うのもあれだが、やはり頭の病院へ行った方が良いんじゃないのか?」


心底心配そうな表情と声色で語るレイド。

そんな態度でそんな事を言われると、バカにされるよりも傷つくんだが。


「レイド。

 ライト達は心が弱っている所を不審者に付け込まれただけなの。

 そんな風に言わないであげて。」


「おい、ユラ。俺達が騙されてるとでも言いたいのか!?

 ・・・そりゃ、本当に騙されてるかもしれねぇけどよ。

 他にハジメの死因が思いつかないんだし、しょうがないじゃん。」


「ううむ。

 溺れる者は藁をも掴むと言うやつか。」


エルムの言う通り、俺達三人も魔王の呪い云々を完全に信じきってなどいない。

だけどハジメが死んだ事や、その死亡原因がはっきりしない事は事実なのだ。


とは言え、ユラやレイドはハジメの死を直接見ていない。

俺達以上に魔王の呪いを胡散臭く思うのも、無理のない話だった。


・・・証言者が胡散臭すぎるせいで、信憑性が皆無なのも事実だけど。

もっと信用に値する人物の発言なら、魔王の呪いを掛かってるんだって信じれたのに。

あーあ、何か証拠でもあったらなぁ。


「はいはい。話し合いはそれくらいにして。

 クラーケンが良い感じに焼けたわよ。

 早く食べましょう。」


どこかに呪いの手掛かりになるような物や場所でもあれば・・・もぐもぐ。

うん、美味い。

普通のイカ焼きよりも匂いが良いし、触感もGoodだな。



「・・・ライト。お前、切り替え早すぎだろ。

 確かにクラーケン焼きは美味だが。」


********


夕飯を食べ終え、後片付けを済ませた所で、再び俺達は歩き出した。

しかしもう夜で暗いし、今日は野宿に向いてそうな場所を見つけたら、テント張って休むって感じかな?

無闇に徹夜決行して、体調崩してもしょうがないからな。



「あら、何かしら。この建物?

 半壊しているみたいだけど・・・。」



アカリの声を聞いて振り向いてみると、そこには半壊した建物がポツンと残っていた。

左半分を失い、建物の中が丸見えな上、瓦礫があちこちに散らばっている。

魔物にでも襲われたのだろうか?


「おっ、こんな所に地下への階段があるぞ。

 なあなあ、今日はこの中で休もうぜ!!」


「ふむ。それも面白そうだ。」


「うーん。誰も使って無さそうだし、文句は言われないと思うけど。

 なんだかちょっと不気味だわ・・・。」


俺はエルムやレイドの意見に賛成かな。

テントを張らずに済む上、魔物の警戒をせずに休めそうだし。

アカリの意見もわからなくはないが。



ザー・・・。



「あ、雨が降って来た。」


「マジ!? うわー、濡れるのはマジ勘弁。

 早く地下室の中へ行こうぜ!!」


「「「賛成。」」」


「皆、ちょっと待って。

 置いてかないでよ、もう。」



そんな感じで、俺達は半壊した建物の地下室の中へ入った。


********


「きゃ!! ・・・何、ここ?

 凄く不気味だわ。」


うん。アカリの言う通り、確かに不気味だ。

壁や床が濁った赤色に染まりまくってる。


血じゃないよな?

ただのペンキの塗り損ないだよな??


それに・・・。


「ひぎゃーーーー!!

 が、骸骨ぅ!?」


この地下室、あちこちに骸骨が転がっているのだ。

あんまりにも景色が気色悪すぎて泣きそう。


「ふぉ!? ラ、ライトは相変わらずヘタレだなぁ。

 ががが骸骨なんかにビビってんじゃねぇよ。」


「・・・エルム、お前も十分ビビってるだろうが。

 男が二人して物言わぬ屍程度に怯えるとは情けない。」


怪談が苦手なエルムもビビっているようで、そんな俺達をレイドが小馬鹿にしてくる。

あいつだけすまし顔なのがなんか腹立つ。


「ね、ねぇ。

 やっぱりここで一晩過ごすの辞めにしない?

 なんか気味が悪いし・・・。」


俺もアカリの意見に賛成である。

口にこそ出さないが、エルムもここで一晩を過ごしたくはないようだ。


「だが外は雨だ。

 ここで一晩過ごす方が、効率良く体力を回復出来るだろう。」


ぐ、それを言われると・・・。

おまけに雨が降る音はどんどん酷くなる一方で、今更外でテント張ろうとも言いにくい。


「大体、お前らなぁ。

 仮にも魔王を倒そうとしている癖に、こんなお化け屋敷もどきに怯えてどうする?

 ・・・本当に情けない連中だ。」


そんな事言われたって、怖いものは怖いのだ。

・・・ゾンビとか出てきそうだし。


揉める俺達だが、ふとユラが一言もしゃべっていない事に気が付いた。

元々、物静かな方だがここまで何も言わないのは珍しい。


そう思ってユラの方を見ると、彼女は俺達の話など聞こえていないかのように、地下室そのものを凝視している。

血(?)に濡れた床・壁も骸骨も、全く怖がっていなさそうだった。


この様子じゃ、お外で休もうなんて言わないだろうなぁ。

けどユラの奴、この地下室の何がそんなに気になってるんだ?





「この地下室・・・。

 夢の中の研究所にそっくり。

 ・・・なんで?」





夢・・・研究所・・・?



!!!!????


--------


「ブレイブチルドレン、勇者の子供達よ。

 そう遠くない未来、お前達は自らの運命に絶望し、人間を・・・世の全てを恨む事になるだろう。

 ・・・ならばせめて、束の間だけでも偽りの平和を味わうが良い。」


--------


ま、まさかこの地下室って、夢の中に出てきた研究所・・・の、成れの果て???


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
読んで頂き、ありがとうございました。

少しでも「続きが気になる!」「面白い!」と思って頂けたら、評価★★★★★と、ブックマークを頂ければと思います。

どうぞよろしくお願いします。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ