気持ちを乗せて
春休みに入って2日目が経とうとしている。
計画的な私(笑)は、課題に勤しんでいた。
よし、もう少しで終わる。こういうものは早めに終わらせて、心置きなく春休みを過ごすのがいいんだよね!!
自分の計画性の良さに少しだけ優越感を覚えながらペンを走らせる。
"ピロン"
そんな時私の携帯にメッセージが届いた。
誰だろう。
シャーペンを机に置き携帯を手に取る。
天堂さんからだった。
文面には"課題終わったから明日とか空いてれば何処かデートしたいな♪"の文字。
…
悪い気はしないが…
女子から女子への"本気デート"の誘いってどうなんだろう…
ていうか付き合っているのか。不思議な気持ちだ。
まぁ、この気持ちは当事者でないと分からないだろう。
しかしデートというものは興味がある。
産まれてこのかたデートなるものをした事がない私にとって、未知ゆえに好奇心を刺激するものなのだ。
彼氏の立場では、
彼女を紳士的かつスムーズにエスコートしつつ、最後にはサプライズを用意して、完璧なストーリーを作るのに必死にならなければならないだろう。(という勝手な妄想だ)
実に面倒だ。
だが、しかし!!
今の私は女だ!!そう、つまりエスコートされる側に立っているのだ。
これに、興味が湧かないわけが…
ちょっと待てよ?私は女。天堂さんも女。
この場合は…?
天堂さんはずっと女の子やってきてるわけだしー、
あんな可愛ければ絶対チヤホヤされてきたはず…
だけど、孤独な一面もあるわけで…
いやっ、だけど私はスタートが遅れてるんだから…
なんて考えてたら、また携帯が鳴った。
今度は莉結だ!
"ヤッホー♪課題終わった??私は終わったぞ♪明日どっか遊び行こー♪"
…明日か。
どうしようかな…
窓から差す光はすっかり春の陽射しになっている。
部屋が暑い。窓をひらくと、カーテンがふわりと舞い上がった。
風はまだ涼しいな。
胸いっぱいに春の草花の香りに彩られた空気を吸い込む。
よし!決めた。
"明日空いてるよ!動物園とかで良かったら街のバスターミナルで待ち合わせでどう??"
送信っ!
静かで温かな青空を言の葉を乗せた電波が飛んでゆく。
明日、晴れるかなぁ…