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シャドーダンス2 東京炎上作戦  作者: 六青ゆーせー
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116/166

116上

「よーやったな、井口君」


高屋が走って近づいてきた。


偽壁づくりは、血のプールの中で微動だにしない。

一撃で首の静脈を掻き切れたようだ…。


井口は、荒く息をしながらも、よくやったものだ、と自分に呆れた。


なにしろ、俺は探査チームなんだから…。


敵が接近してくれたから、何とかなったのだ。


「あ、高屋さん、こいつ、強化服着ていなかったよ…」


偽壁づくりの血しぶきで汚れた顔を、手で拭って、祓い落としながら、井口は報告した。


「俺を背中から銃で撃ったんだ」


高屋は、用心深く、偽壁づくりを足で転がす。

ベルトにホルスターがあり、中にコンパクトだが大口径の銃が入っていた。


「38口径やで。

井口君、骨とか折れてない?」


防弾チョッキごしだとしても、これだけの銃なら最強のボクサーに鋼鉄のグローブをつけて殴られたほどの威力は十分にある。


井口は体を探り、ゆっくりと立ち上がった。


「影も纏っていたのかな?

平気みたいだ」


井口は、軽く腰を回したりしながら、偽壁づくりの衣服を探った。

井口の22口径は、ポケットに入っていた。

銃を自分のホルスターに戻し、井口は気に入っていたフランネルのシャツを脱ぎ捨てた。


同じやつ、売ってるかな?


レディのような派手な服は着る気にもならないが、かといって井口は、地味なだけのシャツも好きではなかった。

地味めだが、少し捻りのあるデザインが好みなのだ。


こーいうの、なかなかないんだよなぁ…。


だが、さすがに動脈血を頭から被っては、捨てるしか仕方がない。

ズボンも、今捨てる訳にもいかなかったが、血みどろだった。


「うわぁ、井口さん大丈夫ですか!」


床から、小田切誠と美鳥が湧いて出てきた。


「ああ。

ト…、カラスで引き裂いてやったよ。

それから小田切…」


井口は、偽壁づくりが強化服を着ていなかった、という事を誠に話した。


「こっちの強化服は本物よ」


美鳥は、ズシン、と蒼井聡の強化服を床に落とした。


「あ、美鳥さん、精密機械なんだから乱暴に扱っちゃだめですよ」


誠が言うと、美鳥が噛みついた。


「1日で影能力を使い切るようなブチ切れた機械よ。

壊した方が世の中のためよ!」


「やー、でも証拠品やから、わざわざ壊しちゃああかんよ」


のんびりと高屋がいなす。


「それより、上、どうなってるん?」


誠は上を見上げた。


「苦戦しています。

でも、マッドドクターは下に落としてしまったので、多分ダンサーチームなら、負ける訳はないですよ」


誠は笑った。


「あんた、あの時、マッドドクターを落としたの!」


美鳥が驚く。


「ええ。

あれがいたら、いつ催眠術にかかるか判りませんから。

ここでダンサーチームがドクター側になる、とかは避けようと思ったんです。

ドクターは、地下五階の天井裏で埃塗れになっています」




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