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51話

 

 ストックの限界個数までダイナマイトを制作した千春。


 あの後、ダイナマイト制作により爆弾系派生レシピも覚え、そちらも素材が足りる限り量産作業を続け、とりあえずの準備は終わった。


 ダイナマイト以降に覚えたレシピは属性効果のあるダイナマイト。


 炎上効果、凍結効果、麻痺効果などをダメージと同時に与える、あきらかに敵を攻撃する事を目的としたアイテムだった。


 そして前回の反省を活かして、今回は事前に情報を集めている。


「仇操花は敗北したプレイヤーの装備武器は奪えるけど、何も装備してなければ負けてもノーリスクだったんだ」


 前回の時にその情報を知っていれば負ける可能性を考慮して炎帝の短刀を装備から外して、何か適当に自分で作った武器を装備して様子見から入ってたかもしれないのに、と悔しみが増す千春。


「この負の感情、全部ぶつけてやるんだから!」


 ぐっと、千春は今回のメイン武器にするつもりであるダイナマイトを強く握り、仇操花の待つダンジョンへの再挑戦を開始した。



   ▼ ▼ ▼



 ダンジョンを進み始めてすぐ。


『キーーッ』


 蝙蝠タイプのモンスター『スティールバット』とエンカウントした。


 体力温存もかねて逃げる事も考えた千春だったが、それよりも本当にダイナマイトがモンスターに攻撃として効果があるのかを確認しておく必要がある事に思い至る。


 それに仇操花について情報を集めている時に、気になる情報も見つけていた。


「ダイナマイトって攻撃効果が薄いっていう話だったよね……」


 その情報の事実確認をしないまま仇操花にリベンジ戦を挑むのは無謀な気がしたのだ。


 実際、千春の調べた情報の通り、ダイナマイトによるダメージ効果は薄い。


 ただし、


「えーーいっ!」


 千春の手から放物線を描くように、緩やかな山なりでダイナマイトが投げられ、それはスティールバットの目前まで届き、そこで爆発した。


 爆発に巻き込まれ、さらには爆風までくらったスティールバットは複数のダメージエフェクトを発生させてから消滅した。


「おお! すごいよ、私!」


 千春は現実世界ではありえないであろう完璧すぎる制球力に感動を覚えていた。


 それとは別に、システム的な話をさせてもらえば、千春自身も忘れている事なのだが、鍛冶師はあくまでもサブ職であり、メインの職業は暗殺者である。


 そして暗殺者の特性の中には戦闘中、攻撃アイテムの効果を大きく引き上げるものがある。


 その倍率は1・5倍ほどと侮れない。


 加えて序盤で集められる素材で完成させられるダイナマイトを、千春は素材不足を理由に現在の進行ストーリーでドロップする素材に置き換えて製作した事により威力が格段にアップしたダイナマイトの製作に知らず成功していたのである。


 ちなみにだが、初期素材で製作可能なダイナマイトを最新ドロップ素材で作りなおそうとしたプレイヤーは、今はまだいない。


 自分の手で攻撃した方が確実に高ダメージを叩き込めるからである。


 それにダイナマイトは、あくまでも一気にアイテムを発掘するための素材回収アイテム。


 高価な素材を使う事でレアアイテム取得率が変動するのであれば作り直しも検討されたであろうが、そんな事実はないため他のプレイヤーは最低限の品質さえあればいいと現在も初期素材で製作されるダイナマイトを愛用している者が大多数だった。


 職業効果、レシピ改変効果により彼女のダイナマイトはスティールバット程度のモンスターであれば一撃必殺の範囲攻撃アイテムと化したのである。


 そして地味に広くなった効果範囲のおかげで攻撃判定でミスを発生させる事も少なくなるおまけ付き。


「ふっふっふー! 貴様の命運もここでつきるのだあ!」


 変なテンションになりながら千春は調べたルートを思い出しつつ仇操花の待つ部屋へと急ぐのであった。


 

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― 新着の感想 ―
[一言] さて報復なるか次回が楽しみです。
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