↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/2

第❷話 廻る世界と電気銃少女

どうも初めましての方は初めまして、珠扇キリンと申します!

…2話です!僕の過去作をご存知なら知ってる方が出て来ます!お楽しみ!

 驚いて思わず、情けなく尻もち着いた俺を上から見下ろした少女の手には…


「──何で電気銃(スタンガン)!?」

「貴方みたいな不埒(ふらち)な輩から身を守る為ですが、何か?」


 俺は目に入った少女の水色の布地から咄嗟に目を逸す。


 ──…というか、俺が不埒な輩だと思うなら服を着て欲しいんだけど!?


「黙ってないで、何か命乞いをしたらどうですか?」

「いや…着替えてんの知らなくて、でもそっちが返事を…──って命乞い?」

「はい、今から貴方の記憶をこれで消しますので、覗き魔さん」


 彼女はスタンガンを再びバチバチッと鳴らす…──しかし、日本製のスタンガンは漫画(フィクション)みたいに記憶を奪う程の電圧は無い。


 …というか、何か水玉模様の何か可愛らしいスタンガンだし。何処で売ってるの?それ。


「一応言っとくけど、覗き魔じゃない、不幸な事故だ。それにスタンガンで記憶は…」

「いえ、記憶が消えるまで((コレ))で頭部を殴打するので問題ありません」


 そう言って彼女は下着姿にカッターシャツを羽織ったままで、スタンガンを両手で持って振り上げた。


「…ちょっと待って!?問題しかない!不可抗力だ!話せばわかる!」


 俺は咄嗟に両手で自分の頭を守りながら命乞い…いや、抗議をした。


「それが遺言(ゆいごん)ですか?…在り来たりですね。まあ、貴方の最期の言葉は、ちゃんとメモしておいてあげます」

「待て、お前はアレなの!?…漫画とかに出てくる系の、被害者の最期の言葉をコレクションするタイプの殺人鬼か何かか!?」

「面白い事を宣(たま)う死人ですね、肉塊は喋らないんですよ?」

「まだ死んでねぇよ!?記憶消すんじゃなかったの!?俺が死ぬ前提でしないで!…後、目に毒だから服を着て!?」


 そんな感じで取り付く暇は無い。…──そんな絶対絶命の時だった。


「…おいおい、騒がしいなぁ。お前ら、図書室では静かにだぞー」


 俺が謎のスタンガン少女と攻防を繰り広げていると…呆れた声が図書室の入口の方から聞こえた。


「…って、南瀬が((新入部員))と図書室で不純異性交遊をしてるだと!?」

「どう見たらそう見えんの!?…明らかに絶賛襲われ中だけどぉ!?」


 俺は思わず、図書室に入って来た女性にツッコミを入れたが…


 この人は我等が文芸部の顧問で現国の担当教師である松井(まつい)理歩(りほ)だ。


「いや、ドMな南瀬の趣味に合わせてるのかと思ったんだが…」

「『スタンガンで殴られるのが趣味です!』…なんて愉快な性癖を暴露した覚えはない!」


 そんな俺を見ながらニヤニヤと笑う松井先生…──普段から俺を揶揄(やゆ)して遊んでいるが、こんなんでも既婚者である。


「そんな事より松井先生!それ没収して下さい!その人、学校に関係ない物持って来てますけど!?…というか普通に軽犯罪になるのでは!?」


 俺は少女の手に握られたスタンガンを指差し、こちらに近付いて来る松井先生に必死に助けを求める。


「いや、最近は何かと物騒だからなぁ…別に良いんじゃないか〜?」

「アンタはそれでも教師かよ!…いや、本当に社会人か!?」


 適当過ぎる顧問に再びツッコミを入れた。…しかし、既にその時には、彼女はスタンガンを振り上げた手を引っ込めていた。


「…それより芥、風邪をひくから早く着替えて来なさい。…それに、目の前の男はお前みたいな後輩女子が大好物だ」


 松井先生は、今だに下着姿の彼女にそう言って着替えを促(うなが)し…──俺は、羽織っていたカッターシャツで下着姿をサッと隠した彼女に睨まれた。


「…って、おおおい!?めっちゃ誤解されてるんですけど!?松井先生ッ!」

「誤解?…お前の読んでるライトノベルのヒロインって後輩キャラばかりじゃないか」

「…馬鹿な、何故それを知っている!?趣味性癖の侵害だぞ!」


 そんなやり取りを松井先生とする俺を、スタガン少女は冷ややかな目で見詰めている。


「…なるほど、この男には用心します」


 そう言って、スタンガン少女はそのまま図書準備室の中に戻って行った。


 …ま、まあ、誤解はされたままの様だが…俺は取り敢えず床から立ち上がる。


「いや、本当に俺は後輩好きって訳では無いですよ。寧ろ年上の方が好みですし…」

「つまり、私の事をそういう目で!?…悪いけど私は人妻だからダメだ」

「世界が先生を選んでも俺はアンタだけは選ばない!…──ん?ちょっと待て。今更ながらさっきのスタンガン少女が新入部員?」

「そういや、南瀬には言ってなかったな。…新しく我らが文芸部に入る事になった1年生の芥(あくた)夜空(よぞら)だ」

「…いや、本当に初耳なんすけど?」

「すまんな南瀬、私は面倒だと思う事は後回しにするタイプでな」

「おいっ──。」


 松井先生と話していると、すぐに扉が開いて、制服姿になった先程のスタンガン少女が出て来た。


 胸元のリボンが今年の4月に入学して来た新入生の証の桃色だった。…てか、着替え早くない?


「…芥、紹介してなかったが、コレは南瀬律斗だ。一応、2年で先輩だから困った事があれば頼ってやれ」

「先生、悪いですけどコレに頼る気は無いです」

「…コレって言うな、泣くぞ」


 …まあ、つまり松井先生が報告を怠(おこた)っていて、どうやら本当に文芸部の新入部員らしい。


「…ところで芥は、何で図書準備室で着替えてたんだ?」

「…訳あって昼休みに制服がビショ濡れになったので、ジャージで過ごしていたんです」


 びしょ濡れって…今日は雨も降って無いのに、何があれば制服がびしょ濡れになるのやら…


「…てか、それなら女子更衣室で着替えれば良かったんじゃないか?」

「私が芥に許可したんだよ。彼女ももう部員だし、もはや図書準備室は物置きだからな」


 どうやら芥に図書準備室を奨めたのは松井先生だったらしい。


「…というか貴方、この流れで先程の事を無かった事にしようとしていませんか?」

「いや、あれは事故だって…後、お前も呼び掛けに反応しなかったじゃん」

「それは鍵を掛けていたから問題無いかと…」


 鍵?…いや、図書準備室の鍵はずっと壊れたままだった筈だけど…予算が足りないとかで。


「…もしかして松井先生、まだ鍵なんとかしてくれてなかったんすか?」

「悪いな南瀬、私は面倒臭い事は直ぐに忘れてしまうんだ」

「反省する気無いなこの人!?」


 全くこの先生は、面倒臭がりが過ぎる…まあ、割と去年からそんな感じだから慣れたけど。


「まあまあ、喧嘩はそこまでにしようじゃないか。…君達は同じ部活の先輩後輩になるんだ、握手くらいしたらどうだい?」

「…嫌です、こんなケダモノと握手なんてゴメンです」


 そう言いながら芥は俺にスタンガン向けて来る。どんだけ警戒されてんだよ、俺…


「…てか、こっち向けんなよ。危ないからその物騒なの仕舞ってくれない?」

「物騒とは失礼ですね、護身用です。…というか、これ可愛いでしょ!?…ほら、良く見て下さい!」


 確かに、このスタンガンは普通のと違って水色に水玉でちょっと可愛いけど…あれ、もしかして下着の色と言い水色好き?


「…って、ビリビリさせながら、そんな危ないモンを近付けて来んなよ!?」

「…──いや、先生は二人がもう仲良くなってくれて嬉しいよ」


「どこが!?」(「どこがですか!」)…思わず俺達はハモってしまう。


「やはり仲が良いじゃないか。取り敢えず、これからは同じ部員なんだ。遺恨(いこん)解決は必須じゃないかい?」


 どの口が…とも思ったが、仕方ない。ここは先輩である俺が大人になっとくとするか…


「まあ…そういう事ならよろしく芥。先輩らしい事とか出来ないと思うけど…」

「最初から貴方にそんなの期待してないですよ」


 そんな彼女の瞳が俺の目を真っ直ぐのと見詰めていた。


 先程は、俺の方から目を逸らして気付かなかったが…彼女の瞳は暗い青──まるで星空の様な綺麗な瞳だった。


 これが俺と芥の出会い。…──昔聴いた歌で『人は巡り会うべき誰かと、出会う為に今を生きる。』と言っていた。


 …何処で間違えたのか。多分、俺達は本来出会う筈が無かったのだと思う。


 そのくらい、その出会いは衝撃的で…今後有り得ない程に非日常であった。


 まあ、だからと言って…これからも、何も変わらずに世界は廻って行くのだろう。


 第②話 廻る世界と電気銃少女…[完]

…という訳で、物語は始まったばかり!

これから、律斗くんと夜空ちゃんをよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。