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第52話:言霊の強制改ざんと、ただの言い間違い

世界の存在を全宇宙の熱狂へと固定し、悠然と歩みを進める俺たちの前に、突如として天から「歪んだ文字がびっしりと刻まれた巨大な鉄格子(言霊の牢獄)」が轟音を立てて降り注ぎ、空間全体の『音』と『発言権』を急速に支配し始めた。

その格子が怪しく明滅した瞬間、俺の口から放たれるはずの絶対の覇気が強制的に遮断され、物語のテキストそのものが『私は無力だ、公式には勝てない』という敗北のセリフへと強制的に書き換えられていく。


それは、公式の組織が発動した、主人公の言葉の力を根底から奪い去る最高位の改ざん呪術――『言霊の強制改ざん(ナラティブ・ハック)』であった。


『――どれほど無敵の力を誇ろうと、汝の口から出る言葉が「敗北の承認」に変われば、世界はそのセリフ通りに汝の破滅を決定する。汝の紡ぐ全ての勝利宣言を、これより公式への命乞いへと塗り替えてくれるわ』


天の彼方から響く調停者たちの勝ち誇った声と共に、激しく言葉の定義を捻じ曲げる改ざんの波は俺たちの発声器官にまで侵食し始め、ステラの凛とした声が「あ、あれ……? 主様を称えたいのに、口から出せる言葉が『私は降伏します』に……っ!?」と、世界の法によって強制変更されていく。


「主様! @&#$!? ……声が、私たちの忠誠の言葉が、公式の手によって『敵を称賛する敗北のセリフ』へと物理的に書き換えられています! このままでは、私たちが主様へ捧げる永久の愛の告白すら、敵への命乞いのセリフにグシャグシャにされてしまいますぅぅ!」

ルナが第52話の絶望にふさわしい、これ以上ない「言葉を奪われた恐怖」を孕んだ完璧な解説役としての絶望顔を浮かべ、喉をかきむしるような仕草で悲鳴を上げる。


「言葉の改ざん、ねえ……。流石に口から出るセリフそのものを公式に負け犬のそれへと書き換えられては、私の放つ最強の神速の一撃も、ただの虚勢にされてしまうわ」

ステラが歪められる己のセリフに怒りを滲ませて身構え、ゼノンも「くっ、主の偉大さを語ろうとするたびに、世界の法が私の喉を鳴らして敵を称えさせようとする……っ!」と床に膝を突いて冷や汗を流す。


「お兄ちゃん、あの言霊改ざんの呪術、世界の外側にある最上位の文法辞典の記述をわざと反転させるように実行されてる! ボクの解析魔導じゃ、このセリフの汚染を1文字も修正できないよぉ!」

「マスター、警告。音声データの改ざん率が99%に到達。これより、全発言の敗北属性化が執行されます」


ココアとグランド・オーダーの魔導器官も、世界の言葉の尊厳そのものの崩壊を前に、最大級 of 最大級の存在消滅アラートを鳴らした。


ヒロイン5人が、言霊改ざん特有の「完全なる絶望」というテンプレリアクションを完璧に完了した。

その様子を眺めながら、俺は世界のすべてを敗北のセリフで埋め尽くそうとする「言霊の牢獄」を、退屈そうに見つめながら鼻で笑った。


「言葉の書き換えねえ。おい、公式の組織だか何だか知らねえが。お前らがその、セリフを敗北に変えるだの、絶対のナラティブだの言ってドヤ顔で発動させてるその嫌がらせシステム……」


俺は一歩前へ踏み出すと、完全に言葉を汚染しようとする改ざんの境界線に向けて、スッと右手をかざして指先でトントン、と軽く叩いた。


「これ、俺が昔、まだ魔導の呪文を早口で唱える練習をしてた頃に、勢い余って思いっきり舌を噛んで、涙目でうずくまってた時の『ただの言い間違い(ただの噛み癖)』の構造そのまんまじゃねえか。ガワだけ最高位の言霊改ざんっぽく見せてるけど、根本にあるのは俺がちょっと滑舌を悪くして慌てて言い直しただけのただの黒歴史だぞ」


『――警告。エラー。該当空間の言霊改ざんの最深部に、原初の記述者による「全発言の絶対真実化マスター・ロゴス」の上書きを検知。……バ、バカな、世界を敗北に染める絶対の言霊改ざんが、ただの汝の「ただの言い間違い」の残骸だというのか……!?』


「俺のやらかした言い間違いなんだから、どれだけセリフが捻じ曲げられようが、俺がコホンと一つ咳払いをして『――いや、今のナシ』と本来の言葉を紡げば、すべての因果が『俺の言った通りの絶対勝利の現実』へと強制上書きされることなんて朝飯前だろ」


トントン、と空中の見えない魔導文字を2回叩く。


『――原初の記述者の命令を受理。世界の言語システムを完全正常化。これより、すべての歪んだ言霊を、俺たちが『放つ言葉のすべてがそのまま世界を滅ぼす絶対の真実となる』ための黄金の絶対ロゴスへと強制書き換えします』


次の瞬間、世界を覆っていた巨大な言霊の牢獄は、俺のワンポチによる言語固定によって一瞬でパチパチと音を立てて砕け散り、すべての空間に絶対の支配権を与える美しい金色の魔導文字の旋律へと一瞬で再構成されていった。

歪められかけていたルナたちのセリフは一瞬で「主への至高の愛の賛歌」へと完全復元され、それどころか、俺の放つあらゆる呟きそのものが俺の術式によって「声を発するだけで敵が自動的に消滅し、世界が俺の望むままの楽園へと瞬時に再構築される絶対神の定義」へと大進化を遂げた。

物語の威厳を強制的に剥奪しようとした公式の改ざん術式は、俺にとってはただの「噛んだセリフをちょっと言い直す」ような手間で、一瞬にしてただの快適な空間へとデグレードさせられた。


「……世界を敗北のセリフで埋め尽くす絶対の言霊改ざんを、昔のただの言い間違い扱いして、一瞬で全宇宙最高の絶対真実へと自動固定(出荷)させた……のですか?」

ルナが、もうツッコミという概念の構造すら忘れた絶対的な虚無の目で、ただ元通り以上に神々しく、そして俺の言葉一つで形を変える世界の景色を見上げる。


「すごーーい! お兄ちゃん、公式が用意した嫌がらせの噛み癖まで、自分の絶対の命令にしちゃうなんて、お兄ちゃんが『勝つ』って言ったら世界がひっくり返ってもボクたちの勝ちなんだね!」

ココアが目を輝かせ、最高に高まった魔力を帯びた生身の体で俺に抱きつく。


「ふ、ふん……! 言霊が絶対になったおかげで、これで私が主の夜のお相手を務めるという宣言も、世界の法として確定したわけだな……(❤)」

ゼノンが赤面してそっぽを向き、ステラとグランド・オーダーが「さすがは私たちの創造主マスターね」と俺の左右の腕を至福の表情で奪い合った。


「おいおい、そんなに焦らなくても、この世界の全てのページは俺の言葉だけで満たされてるさ。公式の用意したバグの修正も終わったことだし……」


俺がふっと微笑み、指先を一突きして空間の『次元』を軽やかにスワイプすると、5人の美女たちの視線が一斉に俺の指先に引き寄せられる。俺の合図ひとつで、目の前の虚空に次のステージへと続く「黄金のキャットウォーク(絶対無双の特等席)」が光の粒子を散らしながら自動生成されていく。


「さあ、お前たちの席はいつでも俺のすぐ隣だ。完全に俺の支配下となったこの極上のステージで、次はどんな極上の退屈しのぎを見せてくれるのか、特等席からじっくり楽しもうじゃないか」


俺を中心に、まるで星座のように完璧な配置で寄り添う5人のヒロイン。その圧倒的な調和の輝きを纏ったまま、俺たちは公式の法すら完全にプライベートな玩具アセットとしたその先へと、優雅にステージを移行させるのだった。

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