◆【噂で進む旅路】
◎旅路
龍泉「聞く話ではこの辺りに大きな都があるらしい。」
花鈴「うん。」
龍泉「そう言い始めてずいぶんと経ったよな?」
花鈴「うん。」
龍泉「今だその都は見当たらないよな?」
花鈴「うん。」
龍泉「・・・・・・迷った?」
花鈴「うわぁぁぁぁあああああああああああ!!!!」
龍泉に殴りかかる花鈴。
龍泉「何だよ、お前も気付かなかっただろうが。」
花鈴「ようやく暖かいお風呂に入れると思ったのに・・・。」
龍泉「でもおかしいな、そんなに大きな都ならもう見えても良いだろうにな?」
花鈴「少し高台を目指して辺りを見回してみるか。」
◎旅路の高台
龍泉「ようやく展望が見えた。」
花鈴「もう都どころかずっと山だよ。騙されたんじゃないか私達。」
周囲を見渡す二人。
花鈴「あっ。」
龍泉「何かあったか?」
花鈴「あれ。」
そう言って遠くを指差す花鈴。
龍泉「あれは・・・。」
そこには森に飲み込まれた巨大な廃墟が見えた。
◎廃墟になった都【舞風】
龍泉「凄い景色だな。」
花鈴「建物自体は朽ちていないからそれほど時間は経過していないのかな。しかしこんな大きな廃墟は始めて見たな。」
兵士1「おいお前たち、何者だ。」
振り返ると兵士が2人立っていた。
兵士2「魔族・・・ではないな。何しに来た?」
龍泉「この辺りに都があるって聞いてやってきた。」
花鈴「そうそう、暖かいお風呂に入れると期待してやってきた。」
兵士1「それは運が悪かったな。この都は数年前に魔族に滅ぼされたよ。」
兵士2「我々は今この都の復興のために偵察にやってきたわけだ。残念だがもう人っ子一人残っちゃいない。暖かいお風呂は諦めるんだな。」
花鈴「んー・・・!」
花鈴は駄々をこねるように龍泉をポカポカと叩いた。
兵士1「この辺りには手強い魔物が住み着いたと聞いている。土地勘も無いようだから君たちを次の旅路へと案内しよう。」
龍泉「助かるよ。よろしく頼む。」
兵士1「ところで君は随分と立派な剣を持っているね。もしかして君は凄腕の剣士なのかい?」
龍泉「もちろん、最強の勇者とは俺の事です。」
兵士2「最強と来たか。だったらここに住み着いた魔物も退治してくれたら助かるな。」
龍泉「いいぜ。俺は最強にして偉大な男だからな。」
兵士2「それは頼もしいな!あはははは!」
兵士1「馬鹿な事を言うな。本当に出てきたらどうするつもりだ。」
魔物「そうだそうだ・・・殺されても文句は言えねえぞ・・・ははは。」
気が付くと巨大な目がすぐ傍らでこちらを見ていた。
花鈴「なんだこいつ!気配がまるでしなかった!」
魔物「ははは・・・あははははは・・・・。」
不気味な笑いをあげて魔物は景色に溶け込むように消えた。
兵士1「まずいな、こいつ姿を消せるらしい。」
兵士2「うわっ!!」
兵士が突然空中に浮きあがる。
兵士2「離せ!こいつ!離せ!」
兵士がもがいていると魔物の姿が現れた。
兵士を食おうと口を開ける魔物。
しかし魔物の足に花鈴が縄鏢を突き刺しそれを止める。
魔物「はははは・・・女は弱いな・・・あはははははは・・・。」
龍泉「オラァ!!!!」
背後から龍泉が斬りかかる。
魔物「おっと・・・。」
魔物が龍泉の剣をかわしてよろめく。
兵士2「んー!はぁ!!!!」
兵士がその隙をついて魔物の腕から逃れる。
魔物「あらら・・・逃げられた・・・あははははは。」
龍泉「よそ見すんな!!!!」
再び斬りかかる龍泉だったが、軽くかわされる。
魔物「あはははは・・・男も弱いな・・・あはははははは。」
姿が消える魔物。
それを見て笑う龍泉。
龍泉「見えてるぞ、この間抜けめ。」
龍泉の剣に雷が走る。
魔物「・・・しまった、血が!!」
空中から滴る血を目掛けて龍泉の剣から閃光が放たれ、魔物を貫いた。
魔物「ガハッ!!!!!」
雷鳴と共に消える魔物。
◎舞風出口
兵士2「いやぁ、君たちには恩が出来てしまったね。本当に助かったよ。」
龍泉「当然のことをしたまでです!」
威張り腐って龍泉は言った。
兵士1「君たちはこれから何処へ行くんだい?」
龍泉「魔王を倒しに。」
花鈴「まぁ、魔王がどこにいるかも知らないんだけどもね。」
兵士1「さっきの不思議な力から察するに冗談ではないのだろうね。私も詳しくは知らないのだが、この道の遥か先に魔王はいると聞いたことがあるよ。真偽は定かではないが、君らが進む理由としては十分だろう。幸運を祈っている。」
龍泉「ありがとう。復興頑張ってくれよ。」
兵士達は笑って龍泉達を見送った。
◎旅路
龍泉「この先に魔王がいるかもしれないってさ。」
花鈴「案外あの都みたいに人知れず滅んでたりするんじゃないかな。」
龍泉「まぁ行って確かめるさ。」
花鈴「そうだな。」
旅はまだまだ続く。




