第20話
私はオルストラスを一瞬一瞥した。まあ、ハンサム! ……じゃなかった。おとなしく通読している。何を読んでるのかしら。なぜか鼻息が荒い。
私はそのタイトルを見て目を丸くした。騎士の哲学的思考力の磨き方……だと!
なんてつまらなそう……失礼……もとい難題そう。そんなの読んでて面白いのか。本人が楽しそうだしまあ、いいか。
そこで、スッと一枚の紙切れを私の方に、本を読みつつテーブルの上を滑らすオルストラス。
なんだろう? 言いたいことでもあるのかしら? もしかして断罪イベント!? 怖い! いや、まだか学校入学していないし。
紙には達筆な文字で『私の足を踏んでくれませんか? いつものように』と書かれている。私はじとめで彼を凝視する。
すると彼は顔をハードカバーの分厚い本の向こうに顔を隠した。
そしてもう一枚紙をスッと氷の上を滑るようにこちらへと。
それには『すねが痛いので優しく蹴ってください! そうすると治りそうなので!』とある。
まさか無言で妙なプレイを要求してくるとは……流石ドM……もといオルストラス。
私は無視を決め込んだ。しかし、帰り道、オルストラスは機嫌よくこう言葉を放った。なんかうかれている。
「私は思いました! 無視されるのも良いものだと! ちょっと歓喜して涙が……」
無視されて狂喜するとはドM恐るべし……。




