戦場に咲く花
あの日の戦場から翌日には早速偵察任務を与えられた。
つまり『そこで死んでこい』という事だろう。
同行する人には悪いが俺達二人だけで偵察は無理だ。
そして案の定刺客が現れた。
だが全く相手にならなかった。
拍子抜けも良いところだ。
その日は偵察任務だけで終わった。
俺とレティはなるべく離れないようにしている。
もしかしたらこの傭兵団に居る誰かが俺を狙っているかもしれないからだ。
しかしそれは杞憂かもしれない。
なぜならこの傭兵団の技量は低い。
いや、今日戦った奴らもそうだが弱すぎて話にならない。
これなら剣闘士をしていた頃の方が死の危険が高かった。
だが、戦場は何が起きるか分からない。
一応用心は欠かせない。
そして二人で不味い昼食を摂っているとこちらにやって来る連中がいた。
俺は魔力を貯めていつでも魔術を使えるようにしておく。
不意討ちを食らわせてくるようなら返り討ちにしてやる。
最近は私も人を殺す事に慣れて来ている。
自分を守る為ならいくらでも殺せるだろう。
しかし身構えようとした俺にレティは目で否定する。
敵じゃないのか?
「よう、お二人さん! さっきは助かったぜ」
見れば今朝一緒だった人だ。
「おめえさん達のお蔭で生きて帰れそうだぜ。ありがとな」
私もレティも一応頭を下げる。
ここに来て初めて私達に好意を向けてくれた人だ。
ちょっと驚く。
一緒に来た人達も思い思いに礼を言ってくる。
ガラは悪いが悪い人達ではないようだ。
何でも俺達が来た日に一緒に戦っていた人達らしい。
私もレティも周りの連中を見て戦った訳ではないからよく覚えていない。
それでもこの人達にとって私達は命の恩人なのだ。
そして命の恩人には当然お礼をするのが傭兵の決まり事らしい。
「と言う訳で今夜ちょっと顔を貸してくれ。おっとそんな睨むなよ。取って食いやしないよ。良いところに連れて行ってやるからさ?」
「良いところ? ですか?」
「そう! 良いところだよ」
私とレティは顔を見合わせる。
「まあ、見た所お前さんらまだみたいだからよ。特に坊主って、お前名前何て言ったけか?」
「……ダンです」
「おう。ダンにとっては必要な事だからな」
何となくどこに行くのか分かった。
「じゃ、夜にな!」
そう言うと彼らは去って行った。
そして夜になると昼間の連中がやって来た。
「そういえば名前を聞いてなかったですね?」
「あ、俺の名前はな………」
うん、覚える必要はないな。多分
私達に絡んでいると命がいくつ有っても足りないだろうからな。
「じゃあ行くか。嬢ちゃんはあっちに居る姉さん方が相手してくれるからよ!」
「あの? レティは?」
「大丈夫だよ。姉さん方は話を聞きたいだけなんだよ。心配しなさんな。それに剣姫を襲うようなバカな奴はいねえよ」
確かにそうだな。
素手でもここの連中に遅れをとる事はないだろう。
「レティ?」
「大丈夫」
「じゃ、後で」
「うん」
レティは素直に筋肉モリモリのお姉さん達の元に向かった。
ちょっとだけ嬉しそうだった。
そして私も連中に付いて行った。
行き先は予想できる。
この戦場近くで良いところ何て一つしかない。
そこは『娼婦街』だ。
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