戦いの後で?
ローレックを待ち伏せて、二時間。
試合を終わらせたレティと合流する。
「早かったね?」
「 楽勝 」
無表情で答えるレティ。
もっと、愛想よくて良いのでは? と思うのだが、レティはいつもこんな感じだ。
もう慣れたし、何かを言うつもりもない。
「待ってるの?」
「うん、ここから出てくるはず何だけど?」
レティとの会話は意図が分かるとすごく早い。
「もういない」
「いない? はっ、何言って……」
レティを見ると、コクコクと頷いている。
「あっち」
「あっちって、何処?」
レティが指差している。
私は、レティが指差している方向を見ると、観客が入退場をする門が見えた。
「なんで? あっ! 」
家族と一緒に出ていったのか?
控えの間から観客席に上がることができるが、逆に観客が控えの間に入ることはできない。
途中で衛士に止められるからだ。
私は、ローレックが控えの間から直接闘技場を後にすると思い込んでいた?
家族が観戦していたことを忘れていた!
レティは、ローレックが出ていくのを見ていたのか?
「なんで、教えてくれないの?」
「 教えた 」
「いや、今じゃなくて…」
レティは、小首を傾げて、不思議そうに見ている。
くっ、かわいいじゃないか!
じゃなくて。
「どっちに行った!」
「こっちに来る」
「こっちに、来る?」
レティが私の後ろを指差すので振り向くと、ローレックがこちらに向かって来ていた。
「よう、相変わらず仲良いな?」
片手を上げて、気軽に話かけて来る。
ついさっき、殺し合いをしていたとは思えない程の軽さだ。
「気安いですね、ローさん?」
「まぁ、そう言うなよ。仕方ないだろ、分かれよ? な?」
ローレックは苦笑して、歩みを止める。
私はある程度の距離を取って、警戒していた。
すると、ローレックの後ろから、
「「おねいちゃーん」」
ローレックの後ろに居たのか? ローレックの娘達がレティに手を振って近寄って来る。
レティは無言で、私とローレックを横切り娘達と奥さんの元に駆け寄って行った。
なんなの、これ?
私一人が警戒して、バカみたいじゃないか?
私とローレックの間に、すきま風が吹いたように感じた。
「ま、まぁ~あれだ。男は男同士、女は女同士で話会おうじゃないか? な? 」
ローレックの提案に、私は無言で頷いた。
私達が場所を移すと、女性陣も付いて来る。
近くの食堂に入ると、私とローレック、女性陣と二手に別れて座る。
「お姉ちゃん何食べる? わたしは~ 」
「これ!これにしよ?」
「ごめんなさいね? 食事まだだったのよ?」
レティは無言ではあったが、微笑しながら三人と食事を始めていた。
女性陣の和やかさに比べてこっちは、真剣だ!
馴れ合うつもりは毛頭ない!
「で、ダン。 お前さんも飯はまだだろ? ここのお勧めはだな~」
雰囲気台無しだよ………。
「 ロー、さん? 」
私は少しだけ語気を強める。
「話は飯を食いながらでも出来る。俺も腹減ってんだよ。 オーイ、注文頼むわ?」
ローレックは、近くの定員に注文を頼む。
「ほれ、お前さんも頼めよ? ここの飯は旨いぞ?」
笑顔で勧めるローレックと注文を待つ定員の無言の圧力に勝てず、………注文する。
やっぱり、台無しだよ……。
「美味し~い」
「お姉ちゃん、それ取って?」
「ほらほら、そんなに慌てないで、まだ沢山あるでしょ?」
「…………」
わいわいガヤガヤと食事を楽しんでいる女性陣に比べてこっちは、無言で食べていた。
ローレックが勧めるこの店の食事は確かに旨かった。
日頃は、宿屋の食事を食べているのだが、当たり障りのない平凡な、悪くいえば代わり映えのしない食事をしていたので、この店の食事はそれとは比較にならない程旨かった。
………たまの贅沢も良いかも。
とくにこの辺で育てられただろう牛の肩ロースの煮込みは、旨かった。
奴隷になってからこっち、食事に関しては腹が満たされれば充分と考えていたので、なおさらだった。
今度から、食事の、味にこだわろうかなぁ~?
でも、今は奴隷だしなぁ~。
こんなことなら、掛け金に使わずに取って置けば、でもなぁ~、他にも金を使いたしなぁ~、装備とか?
じゃなくて!
「いいんですか、ローさん? 借金が有ったんじゃないんですか?」
ちょっと嫌みたらしっく言ってみた。
「気にするな。どうにでもなるからな」
スープを啜りながら、手をヒラヒラさせながら答えるローレック。
余裕あるなぁ~?
私も会話よりも次々と出される料理に、舌鼓を打ちながら食事に没頭する。
一通り食事を終えると、ローレックは茶を飲みながら話かけてきた。
「さて、聞きたいことがあるんだろ? 俺が答えられる範囲で答えてやるよ?」
「なら………」
本題は、ここからだ!




