稽古相手?
今、私達が居るのは街の郊外。
いつもは兵士の練兵所の一部を借りて鍛練するのだがレティが、他の場所がいいと言うのでここになった。
もちろん、ドッチさんに許可を貰っている。
しかし、普通ならこんな許可は降りない。
私達は奴隷だから。
逃亡する気はないがこんな所にいて良いのか?
それにドッチさんは彼女を特別扱いし過ぎている。
何か彼女には秘密があるのか?
注意事項と関係しているのか。それとも単に皆との接触をさせないようにしているのか。
腰を掛けるにはちょうど良い岩が在ったので、座って彼女の鍛練を見ていた。
レティの鍛練の様子を見ていると、ふと彼女と目が合った。
一瞬、ドキっとした!
今の彼女は薄い布地の上着に足首まで隠せるパンツ姿、汗が沁みて上着はぴったりと肌に着き、彼女の体のラインを浮かび上がらせる。
『あらそう♪意外と彼女』
昨日のセリーヌさんの言葉を思い出す。
確かに、出るとこ出てるな?
彼女は私と同い年である12才。
この世界の子供の発育がどの程度のものなのか分からないが、彼女はかなり女性らしい体つきをしている。
12才でこれだから将来はさぞ立派な女性に育つだろう。
願わくはマーサ並みの物になってくれると個人的には嬉しい!
そんな下らない事を考えていたので目が合った瞬間、目線を反らした。
ザクザクと地面を踏み締める音が近づいて来る。
ヤバイ!エッチな目で見ていたと思われたか?
いや、エッチな目で見ていたから否定しませんよ。
しかし、あからさまに見すぎたか!
でも、監視というか常に行動を共にするように言われたし、彼女も素直に受け入れてたから何ら恥ずべき事はしてないですよ。 ……たぶん?
更に近づいて来る気配と足音。
御免なさい。見すぎました!私が悪かったです!
私の目の前で気配と足音が止まる。
恐る恐る顔を向けると彼女が手を腰に付いている状態だった。
怒ってる?
彼女の顔の表情は不機嫌な感じに見える。私的には。
ど、どうする? 謝るべきかな。
でも、何て言えば言い?
『えっと、何かな?』
こんな感じか。
下手に言い訳するよりは何も気づいてませんって感じがいいか。
うん、そうしよう!それが良い。
向こうから言われる前にこちらから発言するのだ!
先手必勝。
何事もこちらが主導権を握れば戦いに勝てるとノーマンも言っていた。
人生の先輩の助言には素直に従うべきだ。
私の方が歳上だけどな。
「ねぇ、ちょっと?」
考えがまとまった瞬間向こうから話しかけられた。
しまった!先制を許してしまった。
どうする? やはりこちらから謝るべきか?
いやいや、彼女が気づいていない可能性もある。
そうなるとやぶ蛇になるな。ここは無難に言葉を代えそう。
うん、そうしよう!
「ねぇ、聞いてる?」
「おわっ!」
彼女の顔が目の前に在った。
私は驚きのあまり岩の上から落ちそうになった。
「暇なら、相手になって?」
「あ、相手?」
「そう、稽古」
「け、稽古、ね」
彼女はそう言うと私からとっとと距離を取って構えた。
私は立ち上がり彼女と相対する。
さっきは不様な姿を晒したが闘いなら負けないぞと。
私はさっきまでの彼女の鍛練の様子を思い出す。
剣舞のようなその鍛練は、ノーマン、エルクの教えてくれた流派のどれにも当てはまらない。
それでいて滑らかなその動きは熟練を思わせる。
おそらく私と同じように小さな頃から鍛えていたのだろう。
侮りは禁物!
力は私が上、速さは向こうと考えるのが普通か?
鍛練を見た限りでは捉えられない速さではない。
落ち着いて対処すれば大丈夫!
「始めていい?」
「どうぞ」
私が答えると模擬戦闘が始まった。
******
結果だけ言おう。
…………惨敗だった。
何度も挑みそのたびにやられた。
私のなけなしの自信は子っ場微塵にぶっ飛んだ。
宿に戻り食事を摂った後部屋に戻りベッドにダイブ、そのまま眠ろうとしたが彼女が私の部屋に入って来た。
ああ、そうか。 部屋も同じだと言われたからか。
駄目だ、何も考えたくない……
さっさと寝てしまおう………
そう思っていると彼女が服を脱ぎ出した!
「ちよっ、何してんの?」
「寝る」
「ああ、寝るのね、って待って!服は?」
「おやすみ」
彼女は真っ裸で薄い毛布にくるまって寝てしまった。
彼女には羞恥心が無いのか?
乙女の恥じらいは無いのか?
それとも私を男として見ていないのか?
年頃の男女がひとつ屋根のしたでしかも方っぽは裸で寝ている。
私はその夜、悶々としたまま、眠れなかった…………




