表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/70

流れ流されて?

レティ のことは一旦おいといて。



私が、この傭兵団『ダーシュ傭兵団』に入ってから一年が経つ。





私は、アルマルスからチルヌスに奴隷として連れて来られた。

だが、チルヌスというのは国の名前ではなく、都市の名前で正式名称は『サウスラウス』ということである。

なぜ、名前を間違えたのか?それは?


ノーマンが、私にそう教えたからだ!


「南に何が有るかだっけ?たしか~ち、チ、チル、ヌス、だっけ?」


「チルヌス」


「そう!チルヌス、チルヌスという国が有ってだな♪」


ノーマンが私にチルヌスのことを語っていた時、たしかマーサが口に手を当てて、笑いを堪えていたのを覚えている。

あれは、珍しく息子に父親が物事を教えている様が可笑しかったのだと思っていたが、マーサは答えを知っていたのだ。

知っていて私達二人の会話を黙って聞いていたのだ。

マーサはたまに、意地悪なところが有ったが、これはないよな?


鵜呑みにした私も悪かったが、まさか、都市の名前だとは思ってなかった。


ノーマンが覚えていなかった理由は、簡単!

10年前に国の名前が、変わったからだ。


ちなみに、10年前の国の名前は、チルヌスではなかったが。


商業国家サウスラウス


建国は20年程前、3つの都市が連合してこの国の基礎となり、やがて近くの都市や街が傘下に加わり、今の南部地方最大の国になったそうな。

それまで、この大陸の南部は大小様々な国が入り乱れていたものの、サウスラウスの登場とともに纏め上げられることになった。

サウスラウスは、この世界では珍しい準民主主義国家である。

4年に1度の選挙を行い、最初に連合を組んだ3つの都市のそれぞれの市長の誰かが、国の指導者に選ばれる。

選挙権は、3つの都市以外の街や、村の指導者に与えられている。

その為、3つの都市の指導者は自分の都市だけではなく、それ以外の都市や街に色々と便宜を図らないとならなくなる。

国のトップに立つと色々と大変ではあるが、それ以上の見返りがあるのだから、3つ都市は競っているのである。


そして、チルヌスとはその3つの都市の内の1つである。

現在のサウスラウスの指導者はチルヌスの指導者で既に任期が三度目になっている。

その為、国の名前よりもチルヌスの名前のほうが有名なのだそうな。


商業国家と名乗っている以上、この国は商いで有れば何でも扱っている。

人身売買もその一つである。


アルマルスは奴隷を禁止している。

アルマルスは、建国から既に数百年が過ぎているが、完全に奴隷廃止にはいたっていない。

奴隷を禁止しているとは言っても、奴隷がいない訳ではなく、名称を変えて奴隷は存在している。

前世の世界でも、奴隷は名前を変えて存在していた。

だから、驚く程のことはない。


この世界の奴隷は、 お抱え使用人とか、庭師とか、農夫とか、頭にお抱えとか、専属とかの名前が着いている人達が、主に奴隷である。

ちなみに、エルクやベスは奴隷ではない。

彼らは、雇われの従者、使用人である。


では何処から奴隷を調達するのか?

国内が駄目なら、国外しかない。

サウスラウスが、存在する以前から奴隷の商いは、南部では当たり前ように存在する。

北部は、山脈が邪魔して思うように交易が出来ない。

西は、サウザンドが現れる前から陰悪である。

東は、まだ航路が開拓されていない。

したがって、主に奴隷は、南部から仕入れている。


今回、私は便宜上は『国外追放』である。

そして、アルマルスにいない奴隷商に私は売られた。

奴隷廃止を行っているアルマルスで奴隷商がいる。何故か?

カラクリは、こうである。


奴隷商は、サウスラウスの商人であり、取り扱う商品は人だけではない。

奴隷商は、アルマルスに来るときはサウスラウスの奴隷を連れてきて、主に貴族を相手に商売をしている。

奴隷廃止の法は、アルマルスの国民に適用される。

だから、アルマルス以外の奴隷を売買することは可能なのだ!

おおっぴらにすると法の適用を受けることがあるが、法の抜け道は何処の世界にもあり。

また、見つける者も存在する。

それが、お金儲けに繋がることならば尚更である。

そして、奴隷商は帰りはどうするか?

私のように、国外追放や、罪を犯した罪人等を二束三文で買って帰るのである。


国外追放されたアルマルスの国民は、アルマルスの国民ではない。

罪人達もまた、死罪やそれに近い罪を受けている者達を、牢に入れて養うよりも売ったほうがより利益になる。

どうせ、生きてアルマルスでは生活出来ない者達だから、この時点でアルマルスの国民ではない。

と、判断される。

したがって、奴隷商に売られても、アルマルスの法には違反しない。

罰せられることもない。

アルマルスの奴隷禁止は、アルマルスの国民に適用されるのだから。

それ以外は、ということである。


こうして、私は無事? 奴隷としてチルヌス、もとい、サウスラウスに入国したのでした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ