表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/70

武器屋?

武器屋の扉をくぐる。


おお、これは?


目の前にはカウンター、

右側には剣や、斧、槍等の武器類が、

左側には、皮鎧、鉄の胸当て、鉄兜に盾、脛当て等の防具類、

中央には、杖や、ネックレスに指輪、ペンダント等の魔法関連の物だろうか?


「いらっしゃい。 なんだ、子供か?」


カウンターから、女性の声がした。

最初は愛想よく、最後は期待ハズレの声が。


子供でスミマセンね。


言葉には出さない。確かに、私達は子供だから。


「こんにちは、武器を見せてください?」


リリが、丁寧に話している?


「君たち子供でしょ?お使いか、何か?」


「違います。買い物です。」


「買い物って、あなた達が?」


「そうです!お兄ちゃんもお姉さんに言ってあげて。」


それまで、リリが相手をしていたが、らちが明かないと思ったのか。

突如、私に話をふってくる。


私は店内の物を繁々と見ていたので、気づいていなかった。


「ちょっ、お兄ちゃん?」


「ん~」


呼ばれても生返事、全く気にしない。


「これ何か凄いなぁ~。どう思う?ナナ?」


「重くて、使えない。こっちが良いと思う」


「おっ、こっちか~。確かにこっちが良いかもなぁ~」


「うん、こっちが良い」


「もう~、お兄ちゃん~」


涙眼になってこっちを見るリリ。


ヤバ、やりすぎたか?


「はい、はい、リリ。何ですか?」


「説明して!お兄ちゃん!」


半ば怒りながら、リリが私に抱き付いて言ってくる。


「それで、お兄ちゃん?お使い?」


店員の女性が、私を呆れ顔で質問してくる。


「買い物です。妹達にプレゼントで」


「買い物? プレゼント? ここ武器屋よ? 解ってる?」


「分かってますよ、武器屋だってことくらい。リリが、妹がここが良いって聞かなくて」


「変わった妹さんね?でもお金有るの?」


「はい」


少し呆れた感じで聞いて来た店員に、カウンターに金貨の入った袋を置く。


ドス、チャリっと音がする。

店員のお姉さんが手を伸ばすが、私が袋から、金貨を1枚1枚置いていく。


「これでいいですか?」


「えっ!ええ」


お姉さんが首を縦に振る。

お姉さんも納得したみたいなので、金貨を袋にしまう。


「見せてもらっていいですか?」


「どうぞ、どうぞ」


お姉さんが愛想笑いを浮かべて、手で促す。

お姉さんと言ったけど、私より3~4才程年上の感じだ。

髪型はおさげにしている。中々かわいい感じの女の子だ。

ちょっとお近づきになりたい!


いかん、いかん、ここには買い物に来たんだ!

ナンパしに来たわけじゃない。

ナンパする勇気はないけどね?


私達は武器類を見て廻る。

リリがおもむろに、ロングソードを手に取る。

自分の身長程の武器をブンブン振っている。


お姉さんも止めようとして、カウンターから出て来るが、呆気に取られている。


そうでしょうよ。

こんな小さな子供が、私でも重いと思われる物を、平気な顔で振るっているのだから。


「う~ん、これ何か違う?こっちは?」


一端の剣士のような言葉を吐いて、他の武器を手に取るリリ。

なんて生意気な!


「お兄ちゃん、どう?これなんか?」


リリが、武器を手に、私に上目遣いで聞いて来る。


うっ、かわいい。


「そっ、そうだなぁ~」


顔が緩んでいるのが分かる。

かわいいものには甘いのが私だ!


「兄様、これがいい!」


後ろから、ナナが私に声をかけて来る。

振り向くとそこに、小さな赤い石の付いた片手のロッドを持っていた。


「これが良いのか?ナナ?」


「うん!これにする」


ナナには、本を買って挙げようと思っていたのに、杖が欲しいなんて。


「ああ、でもナナ、杖より本のほうが良くないかな?」


「これがいい!兄様と一緒」


「ハァ~、何が俺と一緒なんだ?」


思わず強い口調で聞き直した。


いかん、いかん、なんて言葉使いだ!

見ろ、ナナを!

眼に涙を貯めているじゃないか?

そして、リリとお姉さんが、


「「あー、泣かした~」」


仲が良いね、君たち?


「あー、ゴメン。ナナ?何でお兄ちゃんと一緒なんだ?」


「うっ、兄、様、胸の、グス、ペンダ、ント、赤い」


ナナが、涙を堪えて答えてくれた。


胸のペンダント?赤い?あー!


私は胸のペンダントを思わず掴む。

このペンダントは、マーサの形見だ!

赤い小さな石の付いたペンダント。

この小石はルビーのように赤いが、その赤さはルビーよりも濃い。

まるで血のように濃い赤だ。


マーサが亡くなった時に、ノーマンが私にくれた物だ。

何でも、ノーマンの祖父が持っていた物で御守りのような物だそうだ。

ノーマンはそれをマーサに渡して、プロポーズしたそうだ。

このペンダントは、それ以来ずっと、マーサが身に付けていた。

それを今、私が持っている。


「そうか、一緒か。そうだな、一緒だな」


「うん、一緒」


私はナナの頭を撫でて、やさしく抱き締める。

私もちょっと涙眼になっていた。


「これください」


「はい、これですね」


お姉さんが、ロッドをナナから受け取ってカウンターに戻って行く。

包んでくれるのだろうか?


あっ、しまった!値段聞いてない。


は~、仕方ない。今さら「やっぱ、止めます」なんて言えない。


そして、今度はリリが、


「これ、これがいい!これにする!お兄ちゃん」


「う~ん」


リリのほうに顔を向けると、でっかい両手剣、バスターソードを持っていた。


「却下」


「却下?何?」


「だめだって、お姉ちゃん」


リリは却下の意味が分からなかったのか、聞き直し、ナナがリリに教える。


「えー、何で?これが、いい! これが」


「そんなデカイの買ってどうするの?リリは使えないでしょ?」


「おっきく成ったら、使えるよぉ」


「おっきく成ったらって、わがまま言わない!」


「やだやだ、やーだ!ナナは良くて、リリは何でダメなの?買って、買ってー」


ダメだ、ただの駄々っ子になっている。

どうしよう?


「あー、アノね、リリちゃん?」


「やーだ、やーだ、買ってー、買ってくれないと暴れる!」


「それはダメだ!それはダメ!」


「なら、買ってー?」


私の体に抱き付いて、上目遣いで訴えるリリ。

恐ろしい!

この歳で、男を惑わせるとは?


「お姉ちゃん、お母さんに怒られる?」


「「えっ」」


ナナの言葉に、二人して反応する。


「お母さん、ここに来る前に、私達に言った。 兄様を困らせないようにって」


「うっ、そうだっけ?」


「兄様困らせたら、当分、家から出さないって言った」


「そっ、そうなの?」


私はリリに尋ねる?


「あー、もう、分かった!分かったわよ!ごめんなさい、お兄ちゃん」


ごめんなさい、お兄ちゃんは小さな声だったね。リリ?


「リリには、他所で何か買って上げるよ。」


「ほんと?」


「ほんと、ほんと」


「う~ん、分かった」


納得していないようだが、何とか収まった?

そうこうしている内に、お姉さんがすまなさそうに、聞いて来る。


「あの~、いいですか?」


「あっ、スミマセン。」


「いえ、いえ、お代は……になります?」


ほっ、そんなに高くなかった。


私はお代を払って、品物を受け取る。

そして、ナナに渡す。


「ありがとう、兄様」


ナナの満面の笑顔がまぶしい!

リリの苦虫のような顔が醜い。


私達は武器屋のお姉さんにお礼を言って、武器屋を後にした。


その後、服飾を扱う店で、リリが駄々をこねまくり、散々迷った末に赤いブレスレットを買うことになった。


正直疲れました。

速く宿屋に戻りたい。


あ~早く帰りたい。


二人の買い物を終えて、真っ先に思ったのがこれ。

ほんと~に疲れた。


私の両脇には、ご満悦な笑顔の二人がいる。

私の手を握って、「良かったよね~」って二人で顔を見合わせている。

本当に嬉しそうだ。


そして私は、疲れ顔。

二人が喜んでいるので、ま~、いっか。

でも、私の当初の目的である買い物、本の購入は諦めました。

だって、あまりにも時間が掛かりすぎて、予定の時間をオーバー。

昼食もまだの有り様。

本当なら、昼食を摂って、それからベス達と合流、買い物忘れが無いか確認、予算が余れば更に追加で買い物する。

その時は、私も同行する予定だったんですがね~。


予定をオーバーしている以上、軽く昼食を取らないといけない。

私達は、屋台が並ぶ通りを歩いている。


この屋台通りには、日本の屋台のように、リアカーに似ている手押し車を使っている。

車輪はゴムではなく、木製だが?


しかし、さっきからリリがあれがいい、これがいいっと、私の手を引っ張る。


やめてくださいリリさん!手が痛いです。

て言うか、腕ごと引っ張られる感じ何ですけど?

私が引っ張られるので、ナナも一緒に引っ張られる。


「お姉ちゃん、痛い!」


「へっ、そうなの?」


「うん、俺も物凄く痛い」


「ご、ごめんなさい」


シュンとなるリリ。

あらやだ、素直じゃない。

そんな素直に謝るリリに、感心しているとナナが。


「兄様、あれがいい」


「うん、どれどれ?」


ナナが指差す屋台を見る。

結構、人だかりが出来ている屋台だ。

私は屋台の人だかりが持っている料理?を見て、呆気に取られる。


な、なんだと!


あ、あれはハンバーガーじゃないか?


よく見てみると違うような感じもするが、しかしあれは紛れもなく、ハンバーガーだ!


それに周りをよく見てみると、このあ辺りの屋台はハンバーガーに似ている物が多い。


ど、どういうことだ?これは?


私が思案顔になっていると、リリが私を引っ張る。


「じゃ、あれにしよう。早く行こう。お兄ちゃん!」


い、痛い!引っ張らないでリリさん!

腕が痛いって、や め てー。

リリが強引に私を引っ張って行く。

ほんと~に痛いんだって、ナナまで引きづるのはやめてー!

ナナも一緒になって、私を屋台まで引きづる。


屋台のお兄さん?にお金を渡して、商品を受け取る。

名前は、ハンバーパウだそうだ?


微妙に違うが、確かにハンバーガーだった!


トマトソース?にピクルス?のような物がついていて、美味しかった!

思わず、三個も買ってしまった!

リリとナナには、二個づつ買って上げました。


三人仲良く、美味しいねって、言いながら宿屋まで、帰っていた。


しかし、この世界?微妙に前世の世界の物がある。

探せば、まだまだ有るのかもしれない?

私のような転生者が居たのか?

もしくは、今も居るのかもしれない?


少しだけ、恐いような、うれしいような、そんな感じだ。

私はいつか、この世界でもと居た世界の人達と出会うのだろうか?







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ