119話 零号の共鳴と儀式の強行
中央演算室は、クロード王子と大皇国軍の剣戟、リリアーナとミサキの魔力戦、そしてセバスチャンとノエマの零号対決という三つの戦場に分断されていた。
零号の最後の内戦
セバスチャンとノエマの戦いは、他の戦いとは一線を画していた。ノエマの動きは、セバスチャンの過去の訓練データ、つまり彼の過去の自己そのものを知悉している。
「無駄だ、零号。あなたの次の攻撃パターンは0.03秒前に解析済み。なぜなら、その知識は私の設計図にあるからだ!」
ノエマは、セバスチャンの拳を完璧に受け止め、カウンターを放った。セバスチャンは、ノエマの攻撃の正確さに、かつての自己の完成度を見た。
「確かに、お前の持つ知識は、俺の全てを知っている」
セバスチャンは、敢えて予測不能な行動を取った。彼は、論理的な攻撃を捨て、無防備にノエマの胸倉を掴み、感情的な衝動に基づいた体当たりを仕掛けた。
「だが、俺の体には、愛と友情という非合理な記憶が宿っている!お前には、そのバグは予測できない!」
セバスチャンの体から、過去の友人たち、一号やカイとの絆の記憶が、非論理的なエネルギーとなって放出された。この感情の奔流は、ノエマの究極の合理性と激しく衝突し、ノエマの動きを一時的に麻痺させた。
「な…に…?この不確定なノイズは…!」
ノエマの瞳に、初めて混乱の色が浮かんだ。彼女は、人間的な感情という要素を処理できなかったのだ。
儀式の開始
セバスチャンがノエマを牽制したその瞬間、クロード王子は好機と見た。
「今だ、リリアーナ!セバスチャンの非合理な力が、アザトースの支配を乱している!儀式を強行する!」
クロード王子は、大皇国軍を剣で押し返し、中央演算室の制御盤に飛びついた。
「混沌の触媒と論理の構造を、強制的に融合させる!」
クロード王子は、アザトースの知識で、この演算室の構造に封印の論理を組み込み、その上に私が千鶴の杖で混沌のエネルギーを注ぎ込む。青い光と黒い靄が激しく衝突し、演算室全体が振動した。
「ミサキ!邪魔をするな!」
私は、ミサキの嫉妬に満ちた攻撃を防ぎながら、儀式の完成を急いだ。
「嫌よ!この運命は渡さないわ!私が主役なの!」
ミサキは、本物のリリアーナの肉体が持つ時の力を暴走させ、儀式の構造を物理的に破壊しようと試みた。
しかし、クロード王子は、憎しみを捨てた王としての使命感と、私への運命の愛を胸に、儀式の完成へと集中していた。




