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元・神獣の世話係 ~神獣さえいればいいと解雇されたけど、心優しいもふもふ神獣は私についてくるようです!~  作者: 草乃葉オウル ◆ 書籍発売中
バナンバタウン ~勇者の一番弟子と幻のバナナ~

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第49話 バナナ狩りだ!

 今のところ、紫バナナの増援は送り込まれてこない。

 無尽蔵に生み出せる戦力というわけではないようだ。


 とはいえ、この巨岩の上はもう安全地帯ではないことも確かだった。


「さぁてと……ここにもモンスターが来るとわかった以上、居座る意味はなくなったかな。こちらから動いて、セフィラたちと合流を目指した方がよさそうだ」


「私もそう思います。セフィラ様もガルー様も、バナンバ原種の確保より合流を優先していそうな気がしますから……!」


「よし、決まりだ! シャロちゃんは私が背負っていくからね」


 オデットはシャロに背を向け、腰を落とす。

 要するにシャロをおんぶするということだ。


「そ、それでは失礼して……!」


 オデットの背中に、両腕と両足を使って抱き着くシャロ。

 大きくて筋骨隆々の背中に背負われ、心の中に安心感が広がっていくのを感じる。


「落っことさないようにベルトで私たちの体を縛って……うん、これなら両手が使える」


 オデットはベルトを結ぶために短くしていた爪を再び伸ばす。

 自在な爪の伸縮は、体に流れる獣人の血のおかげでなせる(わざ)だ。


「移動中は間違いなく揺れるから、舌噛まないように歯ぁ食いしばっててね、シャロちゃん!」


「は、はいっ!」


「じゃあ、セフィラたちのところへ……出発!」


 オデットは巨岩の上を走って勢いをつけ、そのまま躊躇なく飛び降りた。

 すぐさまシャロの全身をゾッとするような浮遊感が襲う。

 思わず悲鳴を上げそうになるが、言われた通りに歯を食いしばってグッと耐える。


 オデットの方はというと、眼下から迫りくる木の根へと意識を集中させていた。


「無事に着地するまでは、細かいことを考える必要はない!」


 魔力と筋力の合わせ技で空気を叩き、自由落下中でも体の態勢を変えるオデット。

 自分を刺し貫こうとする木の根をかわし、お返しとばかりに両手の爪でバラバラに切り刻んでいく!


 それは龍髭剣を用いた精密な突きの剣術とは真逆――言わば、大雑把な斬撃の乱舞だった。


「あらよっと!」


 地面に近づいてきたところで、オデットはバサバサと羽ばたくように両手を振る。

 今回は爪ではなく、手のひらで空気の塊を押し出し、落下速度を減速させるのだ。

 そうしてほとんど衝撃もなく、オデットは地面に降り立った。


「これにて無事到着! シャロちゃん、大丈夫?」


 オデットが背中のシャロに語りかける。

 シャロは青い顔で今にも嘔吐しそうだったが、笑顔を取り(つくろ)えるくらいの元気は残っていた。


「だ、大丈夫です……! セフィラ様のもとへ……しゅ、出発ぅ……」


「わかった、急ごう!」


 木の根はすべてバラバラにしたが、いずれまた生えてくるのだろう。

 元凶のモンスターを倒すことより、今はセフィラたちとの合流を目指す。


 ここに来た目的は、街のためにバナンバ原種を持ち帰ること。

 そもそもモンスターの討伐は第一目標ではないのだ。


(私は大丈夫……! ちゃんと優先すべきこと、目の前のことは見えてますよ、勇者様)


 勇者の教えを胸に、オデットは原生林を駆け抜ける――。


 ◇ ◇ ◇


 その頃、セフィラたちはオデットの匂いを追って移動していた。

 ガルーの規格外の闇の力を恐れてか、こちら側にはモンスターからの攻撃はない。


「ムッ……!? この殺気は……!」


 ガルーの毛が緊張状態で逆立つ。

 それによって背に乗っているセフィラも異変を察知する。


「ガルー、どうしました?」


「オデットの強い殺気を感じた。何かと戦っているようだが……なんと洗練された鋭い殺気だ……。さっきまでのオデットとはまるで別人……!」


 それは戦時中のオデットすら上回るような強い気配だった。

 ガルーはただただ驚愕する。


「とりあえず、二人は無事……ということでしょうか?」


 セフィラの疑問はすぐに解消された。

 まるで風のような速さで、シャロを背負ったオデットが駆けてきたからだ。


「セフィラ、ガルー、そしてムニャーにも心配かけたね」


 オデットはムニャーの頭を「おー、よしよし」と言って撫でる。

 彼女たちを心配していたムニャーは安心して喉を鳴らす。


「さっきは無様を晒したけど、もう大丈夫! シャロちゃんのおかげで大切なことに気づけたから」


「そ、そのっ、私はそんな大したことしてませんので……!」


 すがすがしい顔のオデット、遠慮がちに手を振るシャロ。

 二人とも怪我もなく、無事であることはすぐにわかった。


「まったく忙しい奴だ。調子を崩したと思ったら、知らぬ間に立ち直っているとはな」


「まあまあ、それでこそ勇者の一番弟子オデコさんですから!」


 付き合いの長いセフィラとガルーは、わざわざこの場でオデットの変化の理由を掘り下げようとはしない。

 もちろん気になりはするが、それはこの原生林を抜け、安全なところに戻ってからで構わない。


「さて、バナナ狩りを再開するとしよう。おおよそバナンバ原種がある場所は掴めている」


「私もさっき高い岩の上から確認したよ。モンスターの討伐はひとまず置いといて、バナンバ原種の確保を最優先に動こう」


 ガルーとオデットが行動の方針を固める。

 今はおとなしくしているモンスターも、バナンバ原種に近づけば妨害してくるだろう。


 しかし、迷いのないオデットに敵はないのだ。

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