24 ブカスト王国に砂漠化を防げ 22 地下神殿 1
楽しい物語になるよう心がけています。
どうぞ最後までお付き合いください!!
ザクッ。
マクス、キャロル、ピピの降り立った場所はブカスト王国の砂漠地帯にある。砂漠なので勿論、砂だらけ。
当然、地下神殿の中にも砂が積もっていた。幸い、歩いて行ける程度のものなので安心したが・・・。
「地下といっても真っ暗ではないのね」
キャロルは周りを見渡した。
壁に取り付けられたランプの中で、鉱石のようなものが光り輝いている。
「ピピ、エドモンド達の居る場所は分かるか?」
「はい、この廊下の突き当りにある扉の向こうに」
マクスから問われ、ピピは即答する。
地下神殿はキャロルが以前、投獄されたソルティ―ル監獄塔と何となく雰囲気が似ていた。大きな岩を使った壁や床は見るからに頑丈そうだ。
「仕掛けが作動しないよう、エドモンドをおもしにしたとリックは言っていた。今更だが、代わりになるものを用意しておいた方が良かったかもしれない」
「ああ、そうだったわね~。どうする? この辺の岩を切り出して持って行った方が良い?」
「この岩、魔法で切れそうな気がしない」
「えっ!?」
「この神殿には何かの力で強力に保護されている。それに神殿は四千年前にはもう存在していた。なのに崩れているところが一つもない。憶測だが、王龍が保護の魔法か、呪いのようなものを掛けている。だから、下手に手を出さない方がいい」
「じゃあ、エドモンドはどうするの?」
キャロルは口を尖らせる。ここに来て準備不足と気付いてしまったのはかなり痛い。
―――三人はしばし、考え込む。
「ピピ、呪い返しは出来るか?」
「はい、出来ます」
(ピピって、可愛いだけじゃなくて、何でも出来るのよね~)
キャロルは手を伸ばして、ピピの頭を撫でる。
(そんなに嫌がらなくてもいいじゃない~)
ピピはジト目でキャロルを見上げた後、マクスの後ろに隠れた。
「ん~、そうだなぁ~。間違いなく壊せないけど、ダメ元で壁に攻撃魔法を当ててみようか。それで、王龍が覚醒したら、ラッキーだろう?」
「何をバカなことを・・・。王龍を目覚めさせるために龍玉を見つけるんでしょう?」
「それが・・・、実は違うんだ」
マクスはキャロルに説明した。龍玉もとい、偽王龍はマクスが現代に戻るために必要なアイテムだったということを。
「えっ! 龍玉を使って、王龍を目覚めさせるという話は嘘だったの!?」
「まぁ~、そういうことだな。おれだって、この時代に帰える方法を必死で考えたんだ。だから、許してくれ」
「無事に帰って来られたのは良かったけど・・・」
実はマクスがサンディーの玩具の玉にメッセージを込め終えた途端、アレックスが『龍玉はもう必要ないですね』と言い出したのである。
マクスは口に出す言葉を慎重に選ぶ。キャロルはアレックスが自分たちの子供で、未来から過去に飛ばされたということを知らないからだ。
「アレックスがいうには、おれが過去に行ったことが契機になって、王龍は勝手に目覚めるらしい」
「え~、何それ、どういうこと?」
キャロルは大きな目を見開く。
「細かなことは分からない。ただ、王龍は放っておいても起きる。これは間違いない」
「ふ~ん、そうなのね」
ピピはマクスの後ろで静かに話を聞いていた。
「じゃあ、どうする? 本当にここの岩の壁にドカンと一発お見舞いしてみる?」
ドッカ~~~~ン!!
「「うわ~~!」」
「わわわ」
三人は驚いて飛び上がる。まだ何もしていないのに大きな音と振動がしたからだ。
「何事!?」
「何だろうな」
「大きな何かが・・・」
ピピは何か大きなものが地下神殿に降り立った気配を感じる。
「王太子、もしかすると……」
「もしかしたか?」
「はい」
二人はキャロルを置いて、頷き合う。
「もう、何なの? きちんと説明して!」
「キャロル、王龍がここに戻って来た」
「え・・・」
♢♢♢♢♢♢♢
大地震が発生したノード王国の王都は混乱していた。
軍を出して、がれきの下敷きになった民の救出作業を進めるだけで手いっぱいになっている。指揮を執るのはリン王女だ。
「ソベルナ王国の緊急支援部隊が到着しました」
「分かった。ここを頼む」
リン王女は部下に任せて、その場を離れた。
「お待たせして申し訳ない! 私はノード王国の王女リンと申します。この度は未曽有の地震で民が・・・」
リン王女は言葉を詰まらせる。彼女の心中を察したジェシカは助け舟を出す。
「こちら大変な状態になっているというのは理解しております。リン王女殿下、わたくしはソベルナ王国第三騎士団・団長、ジェシカ・リューデンハイムと申します。今回は緊急支援部隊として参上いたしました」
「―――武道の名門リューデンハイム男爵家の御方でしたか。もしや、キャロル様のお母上?」
「はい、そうです」
「キャロル様はいいお嬢さんですね。先日、我が国の危機を救っていただきました。とても感謝しています」
リン王女は表情を緩める。ジェシカは返事に困る。キャロルを褒められても、ジェシカは長年、娘を放置していたという後ろめたさがあるからだ。
「今回の地震は想定外でした。王都の地下にあるのは鍾乳洞くらいで、学者も震源地になるとは思っていなかったとのこと。ともかく、今は人々の命を救うことを最優先している。緊急支援部には怪我人の治療と炊き出しをお願いしたい、可能ですか」
「はい、炊き出し用の食料も医薬品も持参しております。お任せください」
「助かります。では、王都の中央にあるマルクト広場の使用許可を出します」
「承知しました。早速、向かって、テントを建てます」
ジェシカの返事にリン王女は大きく頷く。
「では、私は人命救助に向かいます。何かあればいつでも声をかけて下さい」
リン王女は胸に手を当て、深々と礼をした後、彼女を迎えにきた兵士と共に走り去る。
ジェシカはキャロルのことを話題に出されて、結局、何も言い返すことが出来なかった。
「母親失格・・・確定ね」
フゥ~~~~と大きなため息をつき、両頬をパチンと叩いて、気合を入れ直す。
「ソベルナ王国、緊急支援部はこれからマルクト広場へ向かう! 班長、点呼を!」
ジェシカは弱気な母親の顔を隠すため、鬼団長の仮面を被った。
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