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きみにとっては、時間は止まっているようなものなのだろうか。かつて、ある物理学者は思考実験の中で、自由落下をしている人物は時間の遅れを経験するのではないかと仮説を立てた。彼の仮説が正しいならば、僕のもとへ落下してくるきみは、僕よりも遅い時間を生きていることになる。なんて相対的な話だろうか。
時間が立ち止まることはない。こうして見ている間にも、きみは地面へと近づいている。その高さは今や、地上から見上げたときの、学校の屋上ほどだ。墜落しながら、きみは僕から視線を外さない。ほほ笑んだまま、じっと、僕を見つめてくる。きみの表情からは一切の感情を読み取れない。
僕は両手を握りしめた。このまま僕が何もしなければ、きみは地面に衝突する。そうわかっているのに、僕は一歩も動けずにいた。受け止めては、あげられない。もし受け止めれば、僕はきみと地面との間で、圧し潰されてしまう。空から落ちてきたきみは、天空の質量を凝縮した、一つの惑星ほどにも重い存在なのだから。




