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#03
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月面ステーションを経由し、第一基地から専用トンネルを使うこと一時間。第二基地の玄関エリアにたどり着いた私たちを出迎えてくれたのは、所長のワグナーだった。スキンヘッドに鷲鼻が特徴的なワグナーは神経質な視線をこちらに向けながら、つとめて穏やかな口調でいった。
「遠いところお越しいただき、すいません。シュナイダーさん」
「いえ、それはかまわないんですが……、今回は一体、なにがあったんでしょうか?」
「それが、その……」
ワグナーは視線をそらし、言いよどんだ。
「人が一人、殺されまして」
「は? なんですって?」
あまりのことに私は聞き返した。
「……昨日、アネイル・ショット博士が殺害されました」
「一体、誰に?」
第二基地にいる人間は限られている。施設各所には監視カメラも設置されているから、犯人がわからないはずはない。
こちらの質問に、ワグナーは深いシワを眉間に刻んだ。
「……詳しいことは、私の部屋でお話しいたします。どうぞ」




