表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
未来探偵ゼノンと七つの事件  作者: 八海宵一
「03 複製人間の罠」
19/47

#02

   *


 月面第二基地は、謎に包まれた場所だった。

 何度か訪れたことはあるものの、そこがどういう場所なのか、正直、いまだによくわかっていなかった。いくつかの研究施設と、シリウス星系の外交窓口があるらしいという話だが、各区域は何重にも隔離されていて、その全体像は把握できないようになっていた。これはおそらく意図的な構造だろう。ただ、なぜそのようにしているのかがわからなかった。月面第一基地が一部とはいえ開放され、観光地化されているのに対し、月面第二基地はどう贔屓目に見ても、閉鎖的だった。

 私が月面基地の疑問を口にすると、ナミハヤ宇宙港定期船乗り場のベンチに腰かけていたゼノンが、眠そうな半眼でいった。

「第二基地は地球(おか)の目の届かない裏側にあるから、自然とそうなるのかもしれませんね」

「はあ……」

 曖昧にうなずくと、ゼノンは意味深に笑った。

「マクレガー警部が事件と断言しなかった今回の案件も、そういった意味で第二基地らしいといえば、らしいんだと思いますよ」

「どんな事件だと思いますか?」

「情報がないのでなんともいえませんが、非合法的な、なにかでしょうね」

「非合法的な、なにか?」

 聞き返すと、ゼノンはうなずいた。

「合法的な事件であれば、シュナイダーさん一人で十分解決できますよ。以前と同じようにね。でも、そうはせずに、わざわざぼくを同行させるってことは、100%、合法的な事件ではないってことですよ」

「ふうむ」

 私は唇に指をあて、考えこんだ。いや、ここで考えこんでも仕方がないのはわかっていたが、なにか心の準備となるものがほしかった。

 そもそも、合法的な事件ってなんだ?

 考えこむ私をみて、ゼノンが一言こういった。

「シュナイダーさんは本当に大変な時代に、警官になっちゃいましたね」

「ええ、まったく。一昔前の警官なら、こんな苦労はなかったでしょうに」

 私は肩をすくめて答えた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ