26.少女の後悔 side:雪原 舞
4人になってから施設の探索を始めました。
神代さん曰く、まず先にセーフルームを見つけたいとのことでした。昨日すごく苦労したみたいで…
石塚君はその考えに賛成していました。わたしも賛成です。
ただ麻倉君はどこか不満そうでした。どうしてなんでしょうか…
移動している時に神代さんに一緒に1階に行こうと誘っていましたが、断られていました。
……1階…神代さんに言われて見た時に、見たことのない生き物がいました…
あんなのに会ったら…わたしは気を失って、なにもできない…そう思います。
その後石塚君がお店を調べたいと言いました。4人それぞれで調べようと言われました。
…思わず言葉を挟んだら、麻倉君に怒られました。でも神代さんのおかげで、2人で調べることになりました。
神代さんには本当に申し訳ないです…わたしがもっと役に立てたらどれほどよかったでしょうか……
神代さんとお店を調べていると、鍵のかかった扉がありました。
どうやって開けようかと、悩んでいたのでレジに鍵が入っているかもしれないと言いました。
「ん?あー確かにそれありそう。ありがとね。」
「いえ大したことじゃありませんので…。」
そう言ったわたしに、困ったように笑いながら言いました。
「そんなこと言わないの。雪原さんのおかげで気づけたんだからね?わかった?」
「はい…ごめんなさい…」
………また困った顔をさせてしまいました…
鍵を開けて部屋にはいると神代さんは鞄を探し始めました。
………?あの棚引き出しが少し開いて…
「雪原さん?」
「えっあっはい?…なんでしょうか?」
棚が気になって話を聞いていませんでした。
2人のところに戻ろうとのことでしたが、棚が気になったのでわたしだけ残りました。
引き出しを開いてみると、手のひらに収まる小さな道具が2つ入っていました。
「?…これなんでしょう?」
…………見たことがあります。
どこでかは思い出せませんが、見たことがあります。これは注射器。…どうしてわたしはそんなことを知っているんでしょうか…
わたしはどんな人だったのでしょう…。お医者さんの子供?…違う気がします。
「雪原ここにいるか?」
「っ!あ、あはい!いいいいます!」
後ろから声かけられて、すごく驚きました!思わず注射器を後ろ手に隠してしまいました。
「ど、どうかしたんですか?」
「ああ…神代が麻倉を探しに行ったから、ひとまずこっちに合流しようかと思って。」
「迎えに?え…あ、麻倉君…どうかしたんですか?」
聞いてみると、2人は喧嘩をしたそうでした。それで麻倉君がどこかに行ってしまったそうで、神代さんに迎えを頼んだそうです。
「はぁ…すまない。僕が手を出してしまったから…」
「…その…えっと……」
「ああ、すまない。君を困らせるつもりはなかったんだ。」
「…いえ…その……わたしの方こそ…なにも役に立てていないので…ごめんなさい…」
そう2人で話していると、重苦しい空気が流れてお互いに黙ってしまいました…
しばらくそうしていると、大きな音が聞こえました。
「!今の音はなんだ?」
「…わ、わかりません……」
とても大きな音で驚きました…石塚君も慌てているみたいでした。
しばらく2人であたふたしていると、麻倉君が走ってきました。
「おい、お前ら!ここにいたか!」
「麻倉!無事だったか。…神代はどうした?それに、その荷物は彼女が持っていたものだろう?」
「今はそんなこと言ってる場合じゃねえ!あいつがやばいんだ!」
「なに?どういうことだ!ちゃんと説明を…」
「だからそんな暇はねぇんだよ!お前らはこいつを預かっておいてくれ!俺はあいつのところに戻る!」
「だが…」
その時でした。
男の人の大きな悲鳴が聞こえました…。
「…クソ!もう行く!お前らはここにいろよ!」
「おい!まだ話は!」
行ってしまいました…
しばらく2人で動けずにいましたが、
「…ダメだ、このままここにいても…やっぱり追おう!雪原行くぞ!」
「えっあっはい!」
石塚君すごく足が速いです!ま、待ってください…!
…その後のことは思い出したくありません…
血まみれの神代さんを見てわたしは逃げ出してしまいました…
それに…神代さんのあの目…。さっきまでとは違う、とても冷たいあの目が頭から離れてくれません…
3日目
…石塚君の様子が変です。
わたしをずっと睨んできます…どうして………やっぱりわたしが役に立たないから…
「雪原、話がある。」
「は…はい…なんで…しょうか…」
わたしを見る石塚君の目、とても怖いです…
Gフォンを見せながらわたしに話してきます。
「このメールが朝来ていた、見てみろ。」
………?画面にはなにも映っていません。何かの冗談でしょうか…
「い、石塚君…その…なにも映っていないのですが…」
「なにを言っているんだ!ここに書いてあるだろう!馬鹿にしているのか!」
「っひぃ…!…ご、ごめんなさい!」
その後も石塚君はずっと怒っていました。わたしはただ…頷くことしかできませんでした…
話終わると同時に、わたしの腕を引っ張って外に連れ出されました。…すごく痛いです。
「石塚君…い、痛いです!…離して…ください!」
「うるさい!黙ってついてこい!少しは僕の役に立ったらどうだ!今まで守ってやっただろ!」
「うぅ…ごめ…んなさ…い…」
「そうやって謝ることしかできないんだな!」
「っ!」
その通りでした…。わたしはなんの役にも立たない、なにもできない。
必要のない存在…それがわたし…神代さんとは違う…
………もうどうでもいい……わたしは…いらない…
連れて行かれた先は、昨日向かった方向とは逆の通路の一番奥。
…大きな鉄の壁で閉じられていて、開きそうにありません…
「こっちだ!さっさと来い!」
「はい…」
壁の右手側にエレベーターがあり、石塚君がボタン後すと扉が開きました。
そしてその中に突き飛ばされました。その後、石塚君が内側のボタンを押しています。
1階のボタンが光って…。それを見た時すごく怖くなりました。
「お前は1階に行ってカードキーを探してこい!それぐらいできるだろう!」
「……………い、いや…いや!いや!やめてださい!」
「黙れ!さっさと行け!」
「きゃっ!」
蹴飛ばされて転んでいる間に扉が閉まってしまいました…
すぐに戻ろうと思いましたが…このまま戻ったら石塚君になにをされるか…
頭が真っ白になりなにも考えられません………
その後のことはよく覚えていません…気付いたら赤いテントの中でうずくまっていました。
そして助けてくれてのは、また神代さんでした。
もう何度目でしょうか…神代さんに助けてもらうのは…
感謝してもしきれません…。それなのに。
なんで?どうして?わたしはこんなことをしているのでしょうか?
足元に倒れ込んでいる神代さんを見て、そう思うことしかできません…
神代さんの話を聞いている時にふと思ってしまったんです…。この人はまた…人を殺すのだと。
そして次に殺されるのはわたし。そう思った瞬間言いようのない恐怖がわたしの全身を支配していました。
それと同時に殺されないためにどうすればいいのか…そしてその方法が浮かんで来ました。
神代さんと一緒に探し物をしている時に、棚の中から見つけた小さな注射器。これを使えばいいと。
そう思ってしまった後わたしは、神代さんの首に注射を打ち込んでいました。
気付いた神代さんがすぐにわたしに聞こうとしましたが、それよりも早く倒れていました。
「ゆき…はら…さ………。」
それを見たわたしは、すぐに自分のしたことを後悔しました…。
「………え…わた…し…え…え、ち、違います!わ、わたしはこんなことしようなんて思って…!」
確かに神代さんが、わたしを殺すかもしれないとは考えてしまいました。でも、だからといって殺そうなんてしません。
それに神代さんは、わたしのために危険を顧みずに助けに来てくれました。わたしはそんな人を…なんで…どうして…自分でもわかりませんでした…
もう自分で自分が信じられません……
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