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EDEN  狂気と裏切りの楽園  作者: スルメ串 クロベ〜
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19.狂気の始まり

しばらくぶつぶつと言い続けていたけど、ようやく落ち着いたみたいでこっちに話しかけてきた。

…正直怖かった…


「ああそうだ手伝ってほしいことがあるんだ。」

「へ?ああうん。さっきも言ったんだけど…。」

「そうか、手伝ってくれるか。ならついてきてくれ。」

「え?あ、うん」


こっちのことを気にせず歩き出す。ものすごく変だ…

まあまだ石塚君のことあまり知らないし、もしかしたら元々こういう性格なのかもしれない。

前に会った時は、もっと優しい雰囲気があった。けど今は無機質な雰囲気を感じる。


「そうだ、雪原さんはどこにいるの?あたし謝っておこうと思うんだけど…」

「ああ、あいつか。あいつならこれから向かうところにいる。」

「あっそうなんだ、よかった。」

「…………」

「…………」

「……………………………………」

「……………………………………」

「…………………………………………………………………」

「……………………………………………………………えぇっと…」


なんか喋ってよ!気まずいんだけど!え?移動する間ずっとこの空気なの?!

流石におかしいよ!えっほんと何があったの?!


「ね、ねえ、石塚君?えっと…その…何かあったの?」

「何もない。」

「え…でも…」

「………………………」

「…………………そっかぁ…」


歩いている間、無言の時間が続いた…

ああ!つらい!早く目的地に着いてよ!













しばらく無言のつらい空気の中歩き続けると、一番奥まで来たのか大きな壁が見える。

この壁反対側にもあったけど、やっぱり出口はないのかな…。ん?石塚君が壁に近づいていく。

…あれ、なんだろ?なにか大きな機械がある。その横に枠みたいなのが…あれって扉?

大きな機械はセーフルームを開けるときに使う機械に似てる気がする。


「神代。これを見ろ。」

「え、うん。えっと【カードキーを使用してください】?…これってもしかして!」

「ああ、おそらくここを開けられるのだろう。」

「そっか!なら後はカードキーを探すだけだね!あっもしかして手伝って欲しいってそのこと?」

「そうだ。それでだ、あそこにエレベーターがあるだろう?あれで1階に行く。」

「…え?いや本気で言ってる?」

「ああ。そうだが?」


…1階。見下ろしてみたことはあるけど、色々な怪物がうろついている。今の装備で行っても何もできずに無駄死にする、絶対にそうなる。

そもそも石塚君は1階に行くのは反対してたよね?カードキーが1階にあるかもしれないけど、いきなり行こうとはならないと思うんだけど…


「ねえ石塚君。ちゃんと説明してほしいのだけど。どうしてカードキーが1階にあるってわかるの?」

「なんだ?神代は僕を信じてくれないのか?」

「今信じるとかそんな話してない。理由を説明してって言ってるの。」

「やっぱりそうか君は僕を裏切るんだな。あいつと同じように。」

「…あいつ?」

「裏切るんだ…みんな僕を…裏切る…裏ギる…ウラギル…。」

「ね、ねえ?ちょっと、大丈夫?」


頭を抱えながらぶつぶつと同じことを言い続ける。それになんだか声が変…。

一体何があったの?普通じゃない。


「大丈…夫…そう…僕は…大丈夫…大丈夫…ダイ丈ブ…ダイジョウブ…」

「そうは見えないよ…。ねえ何があったの?会ってからずっと変よ?それに雪原さんはどこ?」

「雪原…あいつは…アア、あいつハ僕を裏切っタカら…僕モあいツヲ裏切っタンだ…」

「……は?ねえそれってどういう意味?雪原さんが裏切った?それにあなたも裏切ったって…」

「う…グゥう!ああ!…裏切り!そうだ!アイツ僕を裏切りやがった!」

「……………………」


ダメ、会話にならないよ…。でもなんとかして雪原さんの居所だけでも聞かないと…


「ねえ、この際あなたたちに何があったかは聞かないわ。でもこれだけは教えて。雪原さんはどこ?」

「グウぅ!…アイツは…1階に…送ッた…!」

「はあ!?あんた自分が何したかわかってるの!!」

「ウルさイ!…アいツハ裏切リ者だ!…オ前もそウダろ!」

「あたしは裏切ったりしない!雪原さんだってそんな子じゃないって知ってるでしょ?!」

「グガぁ!ガガガぁぁ!!…うらギル…ミンな…ウラギル…ミンナ…シヌ…があぁ!…アアァ!!」

「っ!…ごめん、後で必ず戻ってくるから…」


そう言ってエレベーターに向かう。

今彼にあたしがしてあげることはない。それに雪原さんを放っても置けない…

ふと後ろを見てみると、石塚君が狂ったように頭を抱えながら意味不明な言葉を叫び続けている。

できれば助けてあげたい。けど…もうあれはダメかも知れない。

口から涎を垂らし、目は血走り充血して真っ赤で、狂ったように叫び続ける…その姿は怪物のようだ。

ふと栄華さんに言われた言葉が頭をよぎる。



『中途半端に生かすより、死なせてあげるほうが幸福かもしれないわよ。』



今の石塚君の姿を見て、あたしはその言葉を否定できなかった。











エレベーターのボタンを押すと1階から上がってくる。

…なんで雪原さんは1階から戻ってこなかったんだろう?下の階に行っても3階のボタンを押せば戻ってこれると思うんだけど。

まさかとは思うけど石塚君が何かしてた?…………いや今はそんなことどうでもいい。

とにかく雪原さんを見つけないと!

音が鳴り1階に到着する。ゆっくりと開く扉の先。


そこに待っていたのは………地獄だった。

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