121話 恩寵士山田次郎7
それから3ヶ月が経過した。
相変わらず俺はイダテンの街を拠点に、魔物の討伐に勤しんでいる
といっても、毎日魔物が現れる訳ではない
せいぜい4日に1回といったところか
連続する日もあるが、1週間出ない日もあったりだ。
琴音とは一緒に暮らしている
まぁ、こればかりは仕方がない、、、
一軒家を借りてそこに2人で住んでいる形だ。
琴音は料理、洗濯、掃除全てをこなしてくれている
、、、ありがたい事だ。
最近は食材の値段が上がってきたらしく、これからは家計簿をつけるそうだ。
そんなある日ーー
手紙が届いた。
誰からだろうと宛名をみると、、、
シックとユリネからだ。
「結婚して子供ができたので、ヤマとイダテンの領土の境目、イダテンから最も北の街は頼む」
と書かれていた。
て、展開はえーなあの2人は、、、
いやまあ、それぐらいは全然いいけど、、、
そうか、ユリネが恩寵士として働けなくなったのか。
恩寵士の仕事は緊張感は常にあるが今のところ順調と言っていい、当然救えなかった命もあるが、、、
俺は全てを救えるスーパーヒーローなんかじゃないしな。
当面の生活が安定した事で
ふと、思う。
いや、思ってしまう。
俺は、、、このまま、このアンスで、、、
更に1ヵ月が経ったーー
今日は教会の人が俺の家に訪ねてきた。
「こんにちは、ジロー様」
「実は折行ってご相談が、、、」
「は、はあ?」
「そのですね、、、魔玉の方を買い取らせては頂けないでしょうか?」
「魔玉ですか?」
「はい、どうも最近教会全体の魔玉の在庫が減少気味らしくて」
「各恩寵士に交渉してこいとのことで」
「あーそうなんですか?」
なんでだろ?
恩寵士が使ってるのかな?
ラングレンとか
「わかりました。ちょっとその、、、琴音にも聞いてみるので待ってもらっても?」
「勿論です!買取の金額もその、、、色をつけさせていただきますので、、、」
お、高く買ってくれるのか!
「琴音〜」
「はーい、どうしたの?」
「なんか、今教会の人が来ててさ」
「うん」
「魔玉を売ってくれって」
「そうなの?」
「うん、なんか教会の在庫が減ってきたからって」
「そうなんだー」
「まあ、私はもう魔玉槍用にいくつかあれば充分だしいいけど?」
「お金の心配は無いし、、、どうするかなー」
「教会の人に悪いかなとは。」
「まあなぁ、、、同じ街に住む人同士だしな」
「うん」
「じゃあ数個だけ売っておこうか?」
「そうだね」
という事で、魔玉を3個ほど教会の人に売った。
確かに若干色つけてくれたが、、、ホントに若干じゃねえか!
更に1ヵ月が経ったーー
イダテンの街は今日も平和だ
なんかここ数週間は魔物がほとんどでていないんだよなー
俺が暇なのは良い事なんだけど、不思議だ
リアスなんでか分かる?
『知らん』
だよなー
そんなダラダラとした日常を過ごしていると
カランカランと来客のベルが鳴った。
「誰だろ?」
「はーい」
そう言って琴音が応対する
ガチャッと玄関が開く音がすると、、、
「シィルちゃん!」
琴音の嬉しそうな声が聞こえる
シィルが来たのか、久しぶりだなー
相変わらず色々旅してるのねー
「やっほー、ここにジローとコトネが居るって聞いてさ」
「遊びにきたよー」
「会えて嬉しい!」
「さぁ、入って入って」
「はーい」
「、、、ふーんここで2人で住んでるの?」
「そうだよー」
「次郎〜シィルちゃんが来てくれたよー」
あ、俺も行かないとな
「はーい」
そう言ってシィルと琴音のところへ
そして、、、
奴は爆弾を投下するーー
「愛の巣にお邪魔しちゃってごめんねー」
一瞬で家の空気が、、、
沸騰したーー
琴音は真っ赤な顔をして
「あ、あ、あ、あ、あいのす」
なんて呟いている
ど、どうする?
どうすればいい?
リアス、リアス、リアアアアアス!
『知らん』
で、デスヨネー
「あれ?なんかまずい事言っちゃった?」
そう、シィルはすっとぼける
いや、、、シィルは本当になにげなく言ったのだろう
ふぅーーーー
落ち着け
大丈夫だ。
ここは余裕を持って「ははは、ただ一緒に暮らしてるだけだよ」
とか言えば済む話だ。
うん、良し。
「はわわ、ただいっしゅにくらしてるだけダヨ?」
ど、どうした俺?いきなり酔ったのか?
「ジロー大丈夫?なに言ってるのかよくわかんなかったけど」
「ダイジョブ、ダイジョブ」
い、いかんな、動揺しているのか俺は?
な、なーに問題ない
話をスッと変えればいいだけだ
「イヤーサイキンハイロイロトブッカガタカクテタイヘンジャナイ?」
「なんでカタコトなの?」
「エ、ソンナコトナイヨー」
「あはは、ジロー変なの」
うん、よし落ち着いてきた。
「そういえばさ、シィルってお金持ちなの?」
「ずーっと旅してるし」
「え?そうかな?」
そういってシィルはゴソゴソと腰の袋を漁る
「普段はこれぐらいしかもってないよ?」
そう言って見せてきたのは銀貨数枚だった
はぇー普通の旅人の路銀ってそんなもんなのね
まぁ、確か一ヵ月働いて銀貨1枚だったと思うから
大金っちゃ大金か
俺の金銭感覚がバグってるだけだな。うん。
「へぇーそうなんだな」
「というか、見せない方が良いんじゃないのか?」
「そうなの?」
「だってそりゃ俺たちはまだしも、襲われたりしたら危ないじゃん」
「大丈夫だよー」
「そうか?まぁアンスは治安が良いって言うしなー」
「それで?また直ぐに旅立つのか?」
「んー考えてないなー」
そうシィルが言うと、ニコニコ顔の琴音が
「シィルちゃん!私達ここに住んでるし、良かったらしばらくこの街に滞在しない?」
「なんならウチにしばらく住んでも、、、」
「んーん、それは良いよー」
「ボクはイチローとしか住まないの」
それを聞いて琴音はひしっとシィルを抱きしめて
「シ、シィルちゃん!」
「そうだよね!そうだよね!ごめんね変な事言っちゃって!」
「ちょっとーコトネ〜」
「あ、ごめんなさい!つ、つい!」
「もー」
「まぁ、しばらくこの街にいようかなー」
「1年ぐらい」
「長いな」




