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迷子のおじさん  作者: イオン
8章 恩寵士山田次郎
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106話 ユイの記憶 アンス拡張期


「キズナお前には我、左手薬指の恩寵、ユイを授ける、我に触れよ」


おどおどとした様子の女の子が答える

黒い髪、歳は15歳といったところ

まさに平凡な村娘といった様子のキズナは

困ったようにハの字になった眉で、、、



「あ、あのー、、、リアス様」


「その、やっぱり私は恩寵士にはなれないと思うんですが」



「キズナよ、、、」


「その、、、私、び、びびりだしその、、、ぼ、防壁積みの仕事頑張りたいーー」


「あっ」



ガッ!



キズナと呼ばれた女はリアスの左手に自分の左手を掴まれ、、、光に包まれたーー



「ユイは扱いにくくてな、、、貴様以外には授けられなかったのだ、、、その、、、上手く使え」



「ちょ、、、リアス様ぁ、、、」


困ったような嬉しいようななんとも情け無い声でそうキズナは呟いた




フロンティアーー



当時の帝国領土北側全般はそう呼ばれていた




領土には魔物が多く、土地は荒らされ、元々の人類領域からは遠く、人の領域の外として、全く手付かずだった



リアスは敢えてこの領土に恩寵の保管場所を置き、

ハーク帝国初代皇帝エレグランハークの指揮の元人類が開拓する領域とした



この開拓にはのちに教会領、国家連合、キョーセイ王国となる地域からも

物資、人手、などを輸送し、この開拓事業に人類一丸となって全面協力していた




「南から食料と、、、あ、リアス教会からは医療品が届いてるよ〜」


「キズナちゃん、ありがと〜」



人1人では到底押せないような荷車をぐいぐい1人で押しながらキズナは自身の恩寵ユイの領土を移動していた



そこへ、、、


1人の開拓民の少女が焦った様子でこちらへ走ってくる


「キ、キズナー!」


「魔物!魔物!」


「ここから北の開拓村!急いで」



キズナは、出来るだけキリッとした顔をつくり


「も、、、勿論!ま、任せて!」



そう言って、荷車を止め、北に向かって走り出すーー



だが、、、

先ほどの少女が、見えなくなった辺りで


キズナは転倒する


あっ!ゴロゴロ、、、


起き上がろうとするも、手と、足が震えて上手く立てない



で、でも、、、わ、私しか、、、


私しかここには恩寵士はいないんだ!


そう心を決めて、剣を杖代わりになんとか起き上がりキズナは北の開拓村へとまた走り出した。



北の開拓村に到着したキズナーー



だが、、、魔物は見当たらない


代わりに


辺りは壊された家屋や、踏み荒らされた畑が見え、

風に混じって血の匂いが漂っていた



村人は全滅だった



「うっうぅっ、、、ごめん、、、ごめんなさい」


「わた、私がもっと早く来ていれば、、、」



その日キズナは泣きながら全ての村人の遺体を埋葬してから、自身の街へと戻った。




村の自警団の男から声がかかる


「キズナ!」


「東だ!東に魔物がでたぞ!」



「分かったわ!」



そう、すぐさま答える



今度こそ、、、やるんだ!


急げ!キズナの走る足取りは以前とは違ってしっかりしている


いけるーー



「ハァハァ」


「い、、、いた!魔物だ!」


キズナは魔物を発見し、周囲を確認する


大丈夫だ!



そして、キズナは石を拾い上げ、投げるーー



だが、当たらない


「く、くそぉ〜」


「だ、だったら、、、」



接近戦だ!そう思った瞬間

急にまた恐怖が込み上げてくる


キズナは汗でぐっしょりと濡れた手で剣の柄を握りしめ、引き抜く


剣先はカタカタと震えているーー


それからキズナは1時間かけて魔物と死闘を繰り広げた

それはまるで命懸けの取っ組み合いであった



「い、痛い、うぅ身体中が、、、」


「で、でも、、、た、立たなきゃ、、、も、戻らなきゃ」




30年後


今回は下級らしいわね!大丈夫だよ皆!


絶対、、、絶対、、、私が皆を守る!


そう、剣を握りしめてキズナは心に誓う。






「そんな、、、あのキズナが、、、!?」


「即死だったらしい」


キズナは下級の魔物に襲われた開拓村に急行


出会い頭に頭を殴られそのまま死亡した。



「ぐぅ、、、うううぅ、キズナぁ」



恩寵士として立派に成長を遂げたキズナの最後はあっけなかった



それが、、、



フロンティアの日常であるーー


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