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 部屋に入ると、ベッドの上で少し背を起こしているユーリア様が目に入った。

 

 レーツェルを見ると笑顔で


「レーツェル!ありがとう、来てくれて。会いたかったのよ。ごめんなさいね、こんな態勢で」

「いえ、気にしないでください。動いたらだめですよ。そのままで」

 ベッド脇まで近づくと陛下が椅子を持ってきてくれた。

「座って、レーツェルも大変だったんだから」

 陛下に椅子を持ってこさせるなんて、と思ってわたわたしていると

「レーツェルもこの中では高位なの。慣れてね」

 とウィンクされた。

「………ありがとうございます」

 大人しく座った。


 陛下はユーリア様の枕元に腰掛ける。

 

 ユーリア様はクスっと笑って

「レーツェルは大丈夫?体調は?」

「私は大丈夫です。アルに回復魔法もかけていただいてますし、申し訳ないくらい夜寝ましたので」

 ユーリア様とベルンハルト陛下は笑って

「良かった。かなりの立ち回りをさせたから心配してたんだ」

 陛下はどこまでご存知なんだろうか、と思っているとユーリア様が


「レーツェル、本当にありがとう。あなたのおかげで私は今こうしていられるし、お腹の中の子も」

 と、大事そうに自分のお腹辺りに手をあてている。


「レーツェル、私からも最大の謝辞を。医師からもあのまま馬車で移動していると子の保証はなかったかもしれないと聞かされた。レーツェルの判断に本当に感謝するよ」

 

「本当に良かったです」

 笑って答えると

「ごめんなさいね、私、気づいてなくて。悪阻もなくて気分も悪いとかもなくて。アレクシア様に聞かれるまで思い当たることもなくて」

「私も気づかなくて悪かった」

 と。それならば仕方ないことだ。陛下が

「今は一旦落ち着いた。もう少し安定したら発表しようとは思う。しばらくは内緒で頼むよ」

 と口元に指をあて内緒のポーズをとる。


「ゆっくり休んでくださいね」

「何事もなければレーツェルとアルフォンスの結婚式にはもう産まれているわね」

「そうだね。来年はお祝い事が続きそうだね」

 

 ユーリア様と陛下がにっこり笑って言ってくる。


 お祝い事、結婚式、と言われ一瞬他人事のようだったが、自分の事だと思いだした。


「レーツェル?もしかして忘れてないよね?」

 アルが泣くよ、とクスクス笑いながら陛下に言われて

「……だ、大丈夫です…」

 と、返すのが精一杯だった。 



 あまり長い時間も、と言う事で退出すると言うと陛下が

「アルフォンスの所まで一緒に行こうか。ユーリア、大人しく寝てるんだよ」

「わかってます、大丈夫です」

 じゃあちょっとそのまま仕事してくるね、何かあったら呼んでね、とユーリア様の額にキスをしている。


 仲がよろしくてなによりです。


 また来てね、とユーリア様に手を振られ、陛下と共に部屋を出る。


 廊下にイーヴォ様とカール様が待っていた。


「レーツェル、悪いんだけど少し付き合ってくれるかな、エルゼも」

 と陛下が告げてくる。

「はい、大丈夫です」


 先ほどまでのユーリア様の前での様子とはガラリと変わっている。どうやらスイッチが入ったようだ。


 陛下とイーヴォ様の後についていく。その後ろにカール様とエルゼも一緒に。


 軍部に近い場所まで来て、ある部屋の前で止まる。


 イーヴォ様がノックすると中から扉が開き、テオの姿が見えた。

 テオがいる、と言う事はと思い中に入るとやはりアルフォンスの姿が見えた。

 

 部屋の真ん中に大きなテーブルと椅子がある。どうやら会議室のようだ。レーツェルは初めて入る部屋だ。


 椅子に既に座っているメンバーに少し驚いた。


「待たせてすまない。始めようか。レーツェル、アルフォンスの隣に座ってくれる?」

「はい」

 指示された通りにアルフォンスの隣に座る。


 周りを見渡して確認する。


 ベルンハルト陛下、エルヴィン様、アルフォンスとその椅子の後ろにカール、ヨルク、テオと、各々の侍従が。そしてイーヴォ様とゲルト様、カイル様の重臣達。さらにルカリスティア公爵とアレクシア様もいる。私と後ろのエルゼで13人。ユーリア様以外の重要人物が集まっている。


 ベルンハルト陛下が話し始める。

「皆忙しい中すまない。昨日の件でどうしても会って話したかった。まずはユーリアだが、今の所は落ち着いた。しばらく公務は入れず安静にさせる。安定してから正式に発表する」

 皆頷く。

「レーツェルにも負担をかけた。身体は大丈夫か?」

 いきなりふられて少しびっくりしたが

「はい、大丈夫です。回復魔法もかけていただきましたので」


 何かあったらすぐに言うように、と念押しされてさらに陛下は続ける。

 

「本題に入るが、昨日のユーリアとレーツェルが乗った馬車が襲われた件で捕まえた賊の12人だが、レーツェルのおかげでわかった11人の野盗と1人の雇い主、という関係は間違いなさそうだ。11人の方が知っていることをかなり話してくれた」

 

 あら、ちゃんと約束守ってくれたんだ、と思っていると

 

「どうやらよっぽど怖かったのか洗いざらい話してくれた」


 そんな怖くした覚えはないのですが………。


「その話などからから総合的に判断すると、やはり黒幕はルージュナ侯爵だと思う」



 ―――ルージュナ侯爵。


 昔から代々続く由緒ある家名である。


 ただ最近はあまりいい噂を聞いてはない。皆同じ感想だったみたいだ。



「ルージュナ侯爵家はお前の相手探しの時からくすぶってたと言う事か?」

 ルカリスティア侯爵が聞いてくる。


 確かにルージュナ侯爵家には三人の娘がおり、また上手いことにベルンハルト陛下、エルヴィン様、アルフォンスと年が同じなのだ。

 よくそこまで一緒になるものだ、と思った記憶はある。もちろん侯爵家なので各々が王族の結婚相手として候補には上がっていた。 


 だが、ベルンハルト陛下とアルフォンスの相手には選ばれず、エルヴィン様も断っているはずだ。


 ルカリスティア公爵に陛下は答える。


「そうかも知れませんが、最終的にはこの前三番目の娘がレーツェルに喧嘩を売って返り討ちにあっていることが気に食わなかったんでしょうね」

 

 皆、?な顔になっている。

「レーツェル、お前何したんだ?」

 とルカリスティア公爵が聞いてくる。


 そういえばアルフォンスとテオ、陛下とイーヴォ様ぐらいしかバレてなかったんでした……。


「あ、あれですか……」

「あれだね」

 と、アルフォンスも同意してきた。


「ちょっと絡まれたので……」

 皆、続きがあると思ってこちらを見ている。仕方ない。


「絡まれて、ムカついてキレただけです」


 間違いではない。間違いではないが陛下とアルフォンスがプッと少し吹き出している。


「まあそれに関してはおいといて」

 陛下が助けてくれた。


「ユーリアとレーツェルにもしものことがあったら自分の娘が、とでも思ったのかもしれないがまず有り得ない」



 自分の欲のためならば人を傷つけてもかまわない、と言う考えは本当に理解できない。

 

 さてどうするかだ。





 


見てくださる方が増えて本当に嬉しいです!

今日もありがとうございます!

明日も更新予定です。

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