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ユーリア様とアレクシア様の所に戻ってきた。
「遅かったけど大丈夫?何かあったの?」
とユーリア様が聞いてきたので
「すみません、レーア様と会いまして。少しお話させていただいてました」
「そう、それならいいんだけど。彼女どうかしたの?」
彼女ってあまりこういう場には出てこないわよね、妹は結構出てくるけど、とそういう情報は流石だ。
「まだ確定ではないですが、レーア様ってかなりの魔力持ちかと思われます。そのまま埋もれさすのはもったいなくて」
「あら、そうなの?アルフォンス案件かしら」
「そうですね、是非お会いしてほしいのですが。何せ家庭の事情もありそうですし」
「そうねぇ、あそこは妹に力入れてるわよね。姉の方が落ち着いてるようには見えるけど、色々噂はあるみたいよね」
「……噂、ですか?」
思わず聞いてしまった。
「あくまで噂よ。誰が流したかはわからないけど、なんだか不気味な物が見えるとか、気味悪いものと話しをしてるとか」
本当に誰がそんな噂を。まあ十中八九、妹か母親とかだろうな。
「視えない人からしたらそういう感想になるんでしょうね」
アレクシア様が言ってきた。
「魔力なんて皆持ってるとはいえ、それはあくまで普通に生活に役立つ程度の物しか持っていないのが大多数よ。アルフォンスや魔道士になれる程の魔力持ちなんて一握りよ。それに貴族の子息ならいざしらず、令嬢ならちょっと強い程度ならまず親が認めないでしょうし、隠す方が多いでしょうね」
デメリットの方が多いかもしれないから、と。
確かに女性の魔道士は少ない。それも平民からの方が圧倒的に多い。貴族の令嬢の騎士はいても魔道士は殆どいないのではないだろうか。
「レーア様は精霊が『視えて』います。ライラ様でもそこまでは。ということはかなりの人材なんですけどね」
「あら、それは凄いわね。もったいない」
「本当に」
あとは彼女の心を待つだけだ。でも、なんとなくだが彼女は前を向いてくれそうな気がする。
自分の予感が当たることを信じていると、ユーリア様が
「レーツェルが微笑んでるということはかなりの確率でいい方向に進みそうね」
とにっこり笑って言った。
「そうですか?まだわかりませんよ」
「何言ってるのよ、確信ないと話さないでしょ」
とアレクシア様ものってくる。
その後何人かと他愛もないないお話をし、私達三人は皆様より先に帰ることとなる。
皆様に一礼して、建物内に入り、エルゼ達が待つ控室に戻る。
「とりあえずは終了ね。お疲れ様でしたレーツェル」
「こちらこそお義母様もお義姉様もありがとうございました」
「私達は慣れてるから。レーツェルは帰ったらよく休んでね」
「はい」
来た時と同じ様に馬車止めに行き、ユーリア様と同じ馬車に乗り込む。
アレクシア様も王宮に用事があるらしく、私達の馬車の後ろをついてくるらしい。
馬車の中は来る時と一緒でユーリア様とユーリア様の女官、私とエルゼの四人だ。
ジュリア様とアメリ様は騎乗して馬車の周りを一緒に走っている。
リリエスタ公爵邸から王宮まではそう遠い距離ではない。
王宮まであと半分くらいの所で、何か違和感みたいなものを感じた。
ん?と思うと同時にユーリア様の様子がおかしくなった事に気づいた。
顔色が悪い。汗もかいている。どこか痛いようにも見える。
「お義姉様?ユーリア様、大丈夫ですか?」
エルゼも女官も気づく。
「……大丈夫よ。ちょっと少し」
痛いだけ、とお腹辺りを押さえている。
ちょっとの痛みにしては汗が尋常じゃないような気がする。
毒とかではないはずだ。仮にもご実家でそのようなものが出るはずがないし、毒見もされているはずである。
「お義姉様、痛いのはどこですか?お腹ですか?」
「もう少し下辺り……」
下腹部か。どうしよう、一旦馬車を止めようかそれともこのまま王宮に少しでも早く着いた方が、と考えていたら、急に、それも少し乱暴に馬車が止まった。
「きゃあ!」
「……っつ!」
まだユーリア様の異変は御者には伝えていない。
なのに止まるということは何があった?
窓から外を見ると馬車が何者かに囲まれているのがわかった。
よりによってこんな時に!とレーツェルは心の中で思った。
王妃が乗っている馬車だと知って狙ってきたのか、それともただの野盗か。どっちだ?
――――どっちだろうがやる事は一つだ。動け!
窓からもう一度確認する。10人はいるか。顔を隠して剣を持っている者もいる。王妃と分かっている線が強い。外の騎士はジュリア様達を含めて五人。
「……レーツェル、何があったの?」
「大丈夫です。お義姉様は私がお護りします。すぐ終わらせますから」
ちょっとだけがんばってください、と。女官にユーリア様から離れないように声をかける。
「エルゼ、頼みがあるの。私も外に出るけど、一緒に出てアレクシア様の馬車まで行ってあちらの確認をして欲しいの。もしあちらも襲われてたらよろしく頼むわ」
「こちらは大丈夫ですか?」
「カイル様もいるし大丈夫。すぐにアルにも連絡を飛ばすから」
精霊達に最速で伝えて!とお願いする。アルなら場所もわかるはず。王宮からそう遠くはないからすぐ応援はくるはずだ。
それよりもユーリア様だ。早く医者に見せたい。
「行くわよ、エルゼ」
「はい」
馬車の扉を開ける。すぐさま相手を確認する。12人。
「エルゼ、よろしくね」
エルゼが頷き、すぐにアレクシア様の方に向かっていく。
ジュリア様を呼び
「ジュリア様、馬車の中に入ってユーリア様に付いてください。入ったら中から鍵をかけてください」
「わかりました!」
すぐさま乗り込んでもらった。アメリ様もすぐに横に来てくれた。
「まさか本当に必要になるとは思いませんでしたね」
とアメリ様の腰についていた私の剣を貰う。
「アメリ様は馬車の扉の前をお願いします。そこを守ってくださいね」
「わかりました。死守いたします」
よろしくお願いします、とドレスを少したくし上げて歩き出す。
すでにカイル様と騎士二人が戦っていた。流石三人ではきついか。
「カイル様、お待たせしました」
「レーツェル!大丈夫か、その格好で…」
「ハンデと思えば。アレクシア様の方にはエルゼを向かわせましたので」
「ありがたい!レーツェルも怪我しないでくれよ」
アルフォンスにどやされる!と。
向かってくる敵を払いながら、
「アルフォンスには伝達を飛ばしましたので、すぐさま対応してくれるかと思います」
「それは助かる」
何人か剣ではらったがきりがないし、こいつらにかまってる時間もないので
「すみませんが貴方方にかまってる暇はないのです、急いでますので手加減無しでいきますね」
カイル様達に行きますね、と声をかけると分かってくれたのか一歩引いてくれた。ありがたい。
――――では、戦闘開始!
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