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本当にこの国の王族の方々の美しさといったら、背の高さや体格、全てにおいて整っている。久しぶりに全員集合となったこの場にいるのも、ある意味大変眼福である、と思いながらレーツェルは出されたお茶を飲んだ。
「では始めようか。昨日あの場にいなかった者もいるからそこからだね」
ベルンハルトが仕切り、昨日のアルフォンスの怪我からの火蜥蜴、それに続くワイバーンと私の竜化とアルフォンスとの契約の流れをざっと説明した。
その後の離れで竜化を解き、気を失ったがすぐ戻り、怪我を治し休んだ、とアルフォンスが追加で説明した。
「ここまでは皆、大丈夫かな?」
とベルンハルト国王陛下が聞くと皆頷いた。
「ではその後、今朝以降を。アル」
アルフォンスが頷き、説明を始める。
「今朝、レーツェルの体力と私の体力と魔力が回復したことを確認してから命令だけで竜化出来るのか試してみました。結果としては大丈夫でした」
すんなりと竜化出来た事、その後も意思疎通ははかれた事を確認して竜化を解いたこと、それぐらいの間なら竜化を解いても気を失わず、体力的、精神的にもなんら負担はないのではないかと思う、あとは竜化状態で戦闘となるとどうなるのかは追々試していきたいと、報告した。
皆が分かったと頷いたのを確認して、アルフォンスは続ける。
「あと今朝気づいたのですが」
と、私の左耳辺りの髪の毛をふわっと持ち上げ
「レーツェルのここと私の右耳後ろに紋様が現れました」
皆、ざわついて2人の紋様を覗き込む。
「本当だ。一箇所だけ違うか、名前かな?」
「……綺麗だけど痛みとかないの?大丈夫なの?」
公爵夫人が問いかけてくる。
「大丈夫です、痛みはないです」
「私もない」
2人で答えるとホッとしたように良かったわ、と夫人が微笑んだ。
「多分契約紋の一種だと思うのですが、これも追々確認します」
「頼む、一つずつでいいから確認していってくれ。何か文献が必要なら王宮図書館へ、アルにもレーツェルにも最奥区までの許可を出しておく」
「助かります」
王宮図書館は王族かその側近しか入れない場所であり、さらに最奥区にいたっては国王か国王の許可を得た者しか入れない秘蔵書が管理されている所である。
王宮図書館も護衛としてしか入った事のないレーツェルにとっては未知の場所である。
驚きの顔をしているとベルンハルトがレーツェルに向かって言う。
「今までの竜化した者達の事などを書いた資料もあるはずだ。知っておいて損はないから見ておくといいよ。持出しは厳禁だけど、レーツェルなら一度読めば大丈夫でしょ」
なるべくアルと一緒に行ってね、最奥区わかりずらいから、とウィンクされながら軽いノリで言われた。
「あ、ありがとうございます、是非読みたいです。アルフォンス殿下の時間のある時にお願いしたいです」
と、言うとジッとアルフォンス殿下がこちらを見てきた。
「……殿下呼び、止めよう?」
「?」
いきなり言われて、目を見開いた
「…え、でも…」
戸惑っているとベルンハルト国王陛下から声がかかる。
「それらの事もひっくるめて今後の事を相談というか決めてしまいたい事があるんだけどいいかな?」
皆の顔を見る。合図をすると宰相のイーヴォ様が後ろの執務机から手紙の束を持って来る。20通くらいはあろうかという量だ。
何の手紙なんだろうと見ていると私の方を見て苦笑しながら説明する。
「これ昨日の夕方から今朝にかけてとどいたアルフォンスへのお見合いのお手紙」
横のアルフォンス殿下からブフォと王族にあるまじき音が聞こえたような気がしたけど……。
「まあ元々ぼちぼちは届いてたんだけど、昨日、竜の『契約者』になったという話が広がると一気に来たね」
確かに竜の契約者という立場はこの国においてはかなりの存在だ。下手すると国王と並ぶ可能性がある。
そんな人の妻の立場は貴族にしたらなんとしても欲しいだろう。
元々第三王子で、今は現国王陛下に2人も男子がいらっしゃるので、ほぼ王位継承権からは外れてはいるが、この国の王国軍副総帥で魔道士部門のトップという肩書でさらにこの外見。今までは竜化する可能性が高かったため流石に表立って自分の娘を、と言ってくる貴族は少なかったが(本当に竜化した場合のことを考えると無理だろう)『契約者』となったのなら話は別だ。
「誰が、竜化したとは広めてないからね。一応あの場所にいた者には口止めしてある。あくまでアルが『契約者』になった、と知らせただけだ」
あれ?じゃあここに来る時の視線はあくまでアルフォンス殿下の事しか知らなくて私の竜化は知らない人達であって……やっぱり手を繋いでいた事に対する視線か……とアルフォンス殿下の方を見ると、ん?という顔をされた。
で、ここから本題に入るんだけど、と続ける。
「国としては竜と契約者の成立を国内外に通達してお披露目をしなければならない。その時にはきちんとレーツェルが竜化したと広めるつもりだ」
で、そのお披露目の日と仕方なんだが、とこちらを見てちょっと考えている。
「……ちょうど一ヶ月後にアルの誕生日の夜会を開く予定だっただろう?レーツェルも16歳の誕生日でその夜会をデビュタントに予定していたやつ」
そうだ、忘れていたわけではないがそっちの問題もあった。ちなみに私の誕生日はアルフォンス殿下と一緒な日に設定されている。拾われてきた時に名前と一緒にアルフォンス殿下が『一緒がいい!』と決めてくれた。
あれ、それよりも竜になってしまったら、軍に入れる?入れさせてもらえる?入れなかったら私の今後の計画はどうなる?離れを出て住むとこどうしよう?と一気に頭の中がグルグルし始めた。
そんな私の混乱を知らずに国王陛下は話し続ける。
「その夜会で主だった貴族達にお披露目して次の日にバルコニーから国民達に挨拶をとかと思うんだがどうだろうか?」
ルカリスティア公爵以下皆がいいんじゃないかと頷く。
んじゃあ日程についてはそれで、と隣に向かって指示を出すとイーヴォ様も頷いている。
「で、これなんだけど」
と、先ほどの手紙の束に再び手をかける。
「多分これから先、お相手なり婚約者をきちんと決めない限りずっとくる。まあ嫌になるほどくるだろうね、私の元にもアルフォンスにも直接」
『婚約者』と言う言葉が聞こえた時、胸の奥辺りに何かがドスンと落ちてきた気がした。
あれ?なんだ、これ?おかしい、なんか苦しいような?と思わず胸元をつかんでいた。
そうよね、アルフォンス殿下も19歳になられるのだし当たり前よね、今までいらっしゃらないのがおかしいのだし。
あくまで私とは竜と契約者の立場であって、その方面には口出しできる立場ではないのだし。
あれ?でも私、竜化したら殿下がいないとだめだし殿下と一緒に行動することも増えるのよね?アルフォンス殿下の婚約者の方はそこらへん理解していただける方なのかしら?てか、さっきの殿下呼びとかなんの関係が?とか1人で頭の中グルグルしていた。
「私としてはアルフォンスの意思をなるべく尊重したい。というか兄としては応援したいのだが……どうする?今、時間いる?」
とめずらしく少しニヤついた顔でアルフォンスを見ている。
ふぅと少し考えた感じで息を吐きつつ、アルフォンス殿下が答える。
「……今、少し時間を頂いてもよろしいですか?」
と言うとベルンハルト国王陛下はどうぞーと軽い感じで手をむける。
隣で深呼吸して立ち上がるアルフォンス殿下が目に入った。
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