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王宮内のベルンハルト国王陛下の執務室に向かってアルフォンス殿下と一緒に歩いていると、昨日の事が知れ渡っているのか、いつも以上に興味の視線に晒されている感じがした。
いつもなら少し前を歩くアルフォンス殿下が今日は横に並んで、さらに手を繋いでいるのも関係しているかもしれないと思いつつ、鼻歌交じりに機嫌よく歩いているので、何故手を?とも聞けずつないだまま王宮内を歩くことになってしまい、後ろからついてくるエルゼの生暖かい目を感じつつ、顔が火照っている自分に落ち着け落ち着けと命令する。
執務室の前につくとその扉をアルフォンス殿下がノックする。
「アルフォンスとレーツェル、参りました」
数秒のち中から扉が開いた。ベルンハルトの侍従のカールが目に入る。
「おはようございます、お二方体調は大丈夫ですか?」
「おはようカール。昨日は手数をかけた、私もレーツェルも大丈夫だ」
と挨拶をかわしつつ、部屋に入る。エルゼも一緒にと言われ3人で奥に進む。
もう一つ扉を開けると皆の顔が見えた。
「おはよう。二人共顔色はよさそうだね、何も不都合なことはないかい?」
とベルンハルト国王陛下が立ち上がって私達の方に向かってきた。
「おはようございます、陛下。今の所は不都合なく大丈夫でございます」
「うん、なによりだ。何かあったらすぐ言ってね」
と、アルフォンス殿下に負けず劣らずの美貌で微笑まれると耐性のないお嬢様方だったらすーっと気を失っていただろうに違いない。
「本当に大丈夫?心配したのよ。無理しちゃだめよ?」
とユーリア王妃からもまた素晴らしい美貌で言われると同性ながらドキドキしてしまいそうだ。
2人に心配されていると後ろの扉が開き、カールが招き入れているのが見えた。
アルフォンス殿下と同じ色の銀髪を肩より少し下まで伸ばした碧眼のこれまた美青年が入ってきて、レーツェルに抱きついた。
「レーツェル!話は聞いたよ、大丈夫なのかい?身体に負担はないのかい?」
と、胸に押し当てられ矢継ぎ早に質問がきて戸惑っていたレーツェルをアルフォンスがぐいっと引っばって引き剥がす。
「エルヴィン兄上、レーツェルは大丈夫です。自分がちゃんと治しましたから」
と、敵対心剥き出しで答えると、エルヴィンが苦笑しながら
「ああごめんごめん、あまり詳しくは聞いてなかったから。元気そうでよかった。しかしアルよ、狭量すぎないか?」
たまには私にもレーツェルを堪能させてくれよ、と冗談交じりに言ってレーツェルの黒髪に口づけする。
ゔーと犬のように唸りながらエルヴィンを牽制するアルフォンスに後ろから肩を抱かれながら、仲良くてなによりです、とレーツェルが言うと皆の笑う声が聞こえた。
「立ち話もなんだし、座ろうか」
とベルンハルトが皆を促す。
ベルンハルト、エルヴィン、アルフォンスの三兄弟とユーリア王妃。宰相のイーヴォ様。三兄弟の侍従である、カール、ヨルク、テオ。そして私レーツェルとエルゼ。
この10人が揃うなんて滅多にないだろうなと考えているとまたノックの音がした。
「ああ、来たみたいだね、これで全員かな」
ベルンハルトがカールに開けるように指示すると2人入ってくるのが見える。
「すまない、遅くなったか?」
そう言いながら金髪碧眼のこれまた背の高い壮年の男性と銀髪紫瞳の美しい女性が入ってきた。
ルカリスティア公爵夫妻、すなわち前国王と前王妃であり、三兄弟の父母である。
「大丈夫ですよ、今揃ったところです。こちらへ」
私だけが誰が来るのか知らなかったため少しびっくりした顔をしたら、夫人が目の前にやってきて、先ほどと同じように抱きしめられた。
「レーツェル!ああ顔をよく見せて!元気そうで良かったわ!昨日話を聞いてびっくりしたわ、怪我は?体調は平気なの?かわりないの?」
泣きそうな、でも笑顔で頬を挟まれ問いかけられ、胸の奥がジンとしてつられて涙が出そうになった。
「……ご心配かけて申し訳ありませんでした。怪我の方は昨日のうちにアルフォンス殿下に治療していただいたのでもうなんともありません。体調も一晩ゆっくり休ませていただきましたので」
もう大丈夫です、と告げると良かったわともう一度ギュッと抱きしめられた。
「……ああ良かった、無事で本当に良かった」
竜化後のもしもの事を知っているだけに本当に心配してくれたのがよくわかった。
「さあ、母上も座りましょう、まずは話を」
ベルンハルトに促され、皆着席する。ベルンハルトが一人がけの椅子に座り、ルカリスティア公爵とエルヴィン殿下、ユーリア王妃と公爵夫人が2人がけの椅子に。そして私は王族でもないのにアルフォンス殿下の隣に促さる。護衛も兼ねて立ってますからと断ろうとすると全員からブーイングが上がり、座らされた。
宰相のイーヴォ様はベルンハルトの椅子の横に立ち、カール達侍従は各々の主の後ろに立つ。エルゼは下がろうとしたがベルンハルト国王陛下に、君にも聞いていて欲しいと止められ、私の後ろについている。
ある意味、この国最高のメンバーによる秘密会談の始まりである―――
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