行動記録
リアム視点です。
突然のように「帰る」と言っていなくなるアイナの後ろ姿をポカンと眺めていて、ふと我に返る。
「お、追いかけるぞ。」
分長の声にバタバタと動き出す。
普通の女なら、どこかの影で泣き腫らすとかがセオリーだが、きっとあいつのことだからよくわからないことをやらかすに違いない。
あわてて後を追いかけるが、人通りに逆らって進むのにてこずる。
そのためアイナの姿を見失ってしまった。
「ちっ。どこにいった?」
「普通に部屋に戻ってるかな?執務室とか?」
「普通はそんな普通なところにいかないだろ。」
「こういう時の行動が読めない……」
考えれば考えるほど、わからない。
そう。案外普通なところにいるような気もするし、意外なところにいそうな気がする。
もしかしたら、普通に「お帰り。遅かったね」と平気な顔で先に仕事に戻っているような気もする。
とりあえず、一度解散して探すことになった。
分長達が部屋の中を探すというので、外回りを探すことになった。
「まったく。」
悪態をつきながらも、人気のないところ、柱や物の影を覗きこむ。
「リアム!いた?」
「いない!そっちは?」
反対からウォルターが走ってきて合流する。
「どこ行った?」
「うーん。引きこもってそうなんだけど……」
「ちょっと!!」
急に割り込んできた声に振り返ると聖女こと凛がいた。
着替えてシンプルなワンピースを着ていた。
「愛奈がいないってほんと?」
「居場所、知ってるんですか?」
「ううん。知らない。」
は?では、なぜ話にはいってきた?
「心当たりは?」
「そうねぇ。あっ!あそこは?」
「あそこ?」
「庭園!」
凛も一緒になって庭園へ走る。
「あの子、あそこ好きみたいだし。」
「……いい思いでなさそうだけど。」
お前に泥だらけにされたり、首絞められたりしたのあそこじゃなかったか?
「そうだっけ?」
当の本人は、気にしていないらしい。
なら、もう一人の当事者も気にしていないのかもしれない。
庭園につき、茂みの影を覗いて廻っていると、凛が声を上げた。
「ねえ!!これ!」
見に行くと、アイナの上着と長細い氷があった。
「これなんだ?」
氷の塊を拾い上げてみる。
「元はなんかの形をしてたのか?」
「あれ?見覚えがあるような?」
しかし、のんきにそんなことを考えている場合ではない。
「ここにいた。その後はどこに行った?」
三人でキョロキョロと見回していると、分長達がやってきた。
「いたいた。」
「見つかりました?」
「どうやらあっちに行ったらしい。」
指差された先には、星見台かあった。
今はそれほど使われていないが、立ち入り禁止になっているわけでもない。
きっと、あそこだ。




