優しくなりたい
顔を真っ赤にして怒った姉がこちらを睨んでいた。
それをみて、小さく笑ってしまい、あわてて無表情に戻す。
「戻ったみたいだよ。」
ミラベルに言えば、驚いた顔をしてそれから姉の方へ駆け出した。
「おねーちゃぁん!!」
「え?ベル?貴女、どうしたの?」
状況がわからなくても、妹が泣いているのはわかったようで、自分の周りの氷柱を消して抱き合う。
はいはい。丸く収まって良かったね。
ふっ、とため息をつくとどやどやと第三の人たちがやってきた。
「なにが、どうなっている!!」
そうなるよね。
雷落ちてプスンプスンと煙が立ってるし、女の子たちは薄着でほうけてるし。
バタバタと周りが騒がしくうごきだし、アレンも対応に駆り出されて行くのを見ながらも、私は姉妹をぼんやりと見つめる。
泣きじゃくるミラベルを困った顔をしながらも優しく頭を撫でる姉。
「仲良きことは、美しきかな。」
ポツリと呟く。
「どこまで本気でした?」
「ん?」
見上げればいつの間にかノアが隣に来ていた。
「なにが?」
「だから、さっきのやり取り、どこまでが本気?」
「んー、最初から最後まで?」
「嘘が下手だね。」
クスクス笑いながら指摘され、溜め息と共に白状する。
「なんだって良かったんです。揺さぶりをかけれればよかったので。」
「?」
「占い師が言ってたじゃないですか。だからその通りにしただけ。」
「ふーん?」
あ、わかってない感じ?
「大体の人は命の危機にぼんやりとはしてないでしょ。雷の爆音と焦げ臭い匂い付きで。あとは、体型から察していろいろ当たりをつけただけ。」
「なるほどー。それで姉妹にもああ言ったってことね。」
「そう。」
まあ、あれでダメだったら妹が確実に傷つく言い回ししか思い浮かばなかったからよかったよ。
「姉の反応が妹のことを思っていてよかった……」
「うん?」
「私が言った内容を考えたことあったら自分の恥ずかしさでの反応だけど、違ったからね。」
「そうだね。相変わらず優しいね。」
「……優しくない。」
本当に優しい人は、たぶんこんなことしないよ。
もうちょっとやり方とか言い回しを考えてるよ。
二人で話し込んでいると、ミラベルがこちらにやってきた。
私の前までくると頭を下げる。
「ありがとうございました。」
「いや……怒らないの?結構ひどいこと言ったよ。」
「確かに。でも、姉を助けるためだったのですよね。なのでやはりお礼です。」
「……そう。」
答えながらも私の気持ちは沈んでいく。
どうせなら、ひどいやつだって言ってくれた方のがよかったのに。
責められた方のが楽なのに。




