第1章 第1節
ここは僕の夢の中。
1度も行ったこと無い場所だったが何故か物凄く懐かしく感じた。
空は雲1つ無い快晴で太陽の陽射しが心地よい。
地上には沢山の花が咲いている。
色は、赤・青・黄色・白・紫・朱色などカラフルな花畑が無限に続いていた。
そして僕はそこに寝そべって空を眺めていた。
そこは丘で丘の麓には美しい大きな河が流れていた。
現実世界にも似たような場所があるなら行ってみたい。
すると隣から声がした。
その声はどこかで聴いたことがある声だった。
その声はすぐ近くから聴こえるのに声の主の姿が無い。
「ねぇ、孝俊君。知ってる?」
僕はその問いかけに聞き覚えがあった。
確か、中学か高校の1つ上の先輩だった。
だが、顔は思い出すことが出来ない、肝心な顔の部分には白いモヤがかかっておりボヤけている。
そんなことを考えているとまた同じ問いかけが来た。
「ねぇ、孝俊君。知ってる?」
「何をですか?」
僕はそう言った。
「人は2回死ぬんだよ?」
「2回死ぬ?もっと具体的に教えてください」
「あら、そろそろ時間よ?この続きはまと今度ね。さぁ、目を開けて」
僕はその声の通りにゆっくりと目を開いた。
するとそこにはいつも見慣れた天井が広がっていた。
高くも低くもない真新しい天井。
そう、そこは僕の家だった。
僕はベットで状態を起こした。
枕元にあったスマホを見ると時刻はもう午前9時30分を過ぎていた。
そして、あの夢のことを思い出そうとした。
だが、思い出すことが出来ない、僕がさっきまで居たあの美しい空間。
もう2度と脳裏から離れることの無いと思っていたはずの風景を忘れてしまった。
僕は物凄い消失感に襲われた。
何か大切なことだった筈なのに全く思い出すことが出来なかった。
唯一覚えているのはあの言葉、「人は2回死ぬ」だけだった。
僕は思い出すのをやめてベットから出た。
ベットの近くにある部屋で一番大きい本棚から一冊本を手に取るとしおりを抜き続きを読み始めた。
その本棚には多くの本が並んでおりその本の大半が小説だった。
そこには有名な作家からあまり名前の知られていない作家、ジャンルは恋愛からミステリー、バイオレンス、ライトノベルなどが並んでいる。
そしてその本棚の中には僕の名前、
「前田 孝俊」と明記されている小説が5冊ある。
そう、僕は駆け出しの小説家だった。
毎日のように本を読み、ネタが思い付けばノートPCのキーボードでロボのように淡々とネタを文字起こしをする。
外出するのは買い物か取材のみ、それ以外はほぼ家で過ごしている。
僕は新作のネタが浮かばず毎日のように頭を抱えていた。
僕の担当に、「前田さんの小説は少しリアティーが足りないんですよ」と言われた。
正直、僕はその言葉が悔しかった。
だから、次の新作は担当が驚くほど進歩した小説を書くことに熱意を燃やしている。
そのために今日も僕は頭を抱える。
小説を書くのが久しぶりでまだ本調子では無いですが楽しんでもらえると幸いです。
第2節は2月15日の投稿です。
そちらもよろしくお願いします。




