俺のケジメと新たな家族
1章 乳児〜幼少期編
前世の記憶があるゆえの前世の家族への思いと新たな家族との生活のためにちょっとしたケジメをつけます。
「ばぁーヒヒーン!」――「ゴーン」……「カーン」
馬の鳴き声と一緒に、遠くから鐘の音が聞こえて来た。
(和風と洋風な感じだけど、気にはなってたけど鐘の鳴る意味っわかったよ)
赤ちゃんの俺が眠気を我慢してまで起き続けることは出来ず、鐘の仕組みを理解するまで時間がかかってしまった。
鐘が二種類あるのはゴーンが3刻分、カーンが1刻分となっている。なので今は4刻で、太陽が真上に来た時間を1日の真ん中、7刻(正午)にしたようだ。これは前世の正午の事を小学5年生のときに調べた俺の知識だ。細かな時間はどうするのか不思議でしかたない。
(あ、でも朝6時早起きでもない時間?)
数日前から俺自身を自己分析、正直赤ちゃんの一日の生活リズムが全然わからない。自然に任せればいいとは思っていても身体と心のバランスがおかしいのだ。感覚と言うのか――いまのろころ、三時間おきにお腹が減って"オギャー"と泣く、一時間ほどボーッと考えたりしている。
兄貴の長男っ子見たときの俺の記憶も曖昧で"どうだったか"、体内時計もまだ感じないし、起きてる際にときどき目線移動できる範囲で部屋をみわししても時計らしきものがない……。
その結果、心で理解するよりも何も考えてず慣れろ!だった。
俺の赤ちゃん生活も慣れたわけで、日中は日当たりの良い両親の寝室で母様と過ごしている。ただ、父様は俺がいるため寝室は別々で今は書斎が寝室だ。父様は朝方から家の外でうるさい音をたてるですよ、何やってんだか――不器用なのか眠りの浅い俺にはマジ辛いです。
あと、俺の環境も少し変化があった母様が部屋を離れる機会が多くなったため、組み立て式のベビーベッドに容れられるようになった、自分から動くことも寝返りもまだ出来ないけどね。
「ばぁー、ヒヒーン」
(スムージ機能でもあるんか、お前種族は!)
母様は鳴き声に反応していつのものようにベッドから起き上がり、寝てる俺を抱っこしてくれた。
「おはよう、アルフちゃん、昨日も良い子だったね、おとなしいとちょっと心配にはなるけど」
「あぅー」(おはよう母様ーごめんなさい良い子で)
母様は若干不安げな顔はしていたが俺が赤ちゃんなりの挨拶を済ませたら、笑顔になっていつものようにお乳をくれた。
そう言えば、昨日は命名式のあと家族とリリとイケ叔父様とで、ささやかながら内祝いをしていた。俺はと言えばベビーベッドで居間に移動させられウトウトしながらその光景を眺めているだけだった。
前世ではそれほど多くで家族と食事をする機会が少なかった、その光景を見て前世に残してきた父ちゃん母ちゃんとジジと兄貴のことを思い出してしまった。
まあ、立派な兄貴だったから残された両親とジジのことは面倒見てくれるだろう、兄貴の家族も5人いるし、俺がいなくてもきっと両親とジジと楽しくこの先暮らして行けるはず……だ。
なぜ、俺がこの世界の両親をあえて母様父様と呼んでいるかと言うと、はっきりとした区別をつけたかったからだ、前世の父ちゃんや母ちゃん、大きくなっても呼称は変えないと思う。
それは俺の中の『一つのケジメ』だ、今は言葉を喋れないだけでこの世界の貴族階級で父ちゃん、母ちゃんとは呼ぶことはないとは思うけど――。
――少し前世の世界に居る家族達のことが気になってきた。昨日、家族全員が揃ったこともあるんだろうか、――まだ前世の家族へのこれまでの感謝とお別れをしていないことにきずいた。
『前世の記憶持ちって転生すると意外と気持ちの切り替え大変なんだなぁ……
…………
父ちゃん母ちゃんジジ兄貴……今までありがとう幸せに暮らしてくれよ……
父ちゃん母ちゃん、感謝の気持ち――別れを告げられなかった、ごめんよ、親不孝して……。
ジジ、兄貴、――俺にしてくれたこと忘れてないよ、ありがとうな……』
「おぎゃー、おぎゃー」
俺は年甲斐もなく泣きじゃくってしまった。そんな俺を母様が物凄く心配そうに見つめ腕の中で俺をあやしてくれてる。普段はそれほどぐずらない赤ちゃんだ、あやしてくれる様子を感じていると余計に泣けてきた。
「ば、ばぅ、おぎぁーおぎゃー……」(忘れることはないけどごめんよごめんよ)
「あらあら、どうしちゃったのなかアルフちゃん」
しばらく俺は泣き続けて疲れたのか段々意識が遠のいていった。
ふと目が覚めるとそこには父様と母様がベッドに寝てる俺を優しく見つめていた。周りを見渡すと今俺は居間にいるようでリリは父様母様に紅茶を木製カップに注いでた、姉様は自室なのか勉強でもさせられているんだろうか――見当たらない。
(いい香りだー早くリリの入れた紅茶を飲みたいものだ)
ただ前世の知識ではカフェインの成分は悪影響で飲むことはできないけど、この世界の紅茶がカフェインを含んでいるかはわからないが最低でも一年は我慢だ姉様くらいまで成長すれば問題はないとは思う。
「リリ、紅茶を入れ終わったらあとでアリスを呼んできてくれ」
「はい、旦那様」
リリは2人に紅茶を注ぎ終わると居間を出て台所に行き洗い物を済ませて姉様を連れてきた。
「あー、お母様達だけズルーぃ」
と姉様は紅茶を飲んでるのを見て恨めしそうに木製コップを見つめている。
「午前のお勉強中でしたからね、ちゃんと終わったあとでお持ちしますよ、お嬢様! この紅茶はディスト様からのお土産なんですよ! いつものより香りが全然違いますよ!」
(リリ、ちょっとディスッてますよ)
「じゃあ、アリスもリリもそこに座ってくれ」
「でも旦那様、――それではメイドとして」
リリが姉様の隣で立った困惑していた。
「今はいいからとにかく座ってくれ、大事な話なんだから」
「はい、旦那様」
父様の言葉にリリは3人がけの椅子に腰掛けた。
「昨日、ミレーヌと話しあったのだが、リリ、俺達はリリを家族のように思っている。ただお前の立場や夢があるから表立って娘のように扱うわけには行かないけど、家族だと思ってるからそれをちゃんと伝えたかった」
「そうよ、リリあなたは私達の子供と同じなんだからね」
「はぃ〜」(お、にいちゃんもそう思ってるぞ)
「ほらほら、アルフちゃんもそういってるわよ」
「リリ、姉様?」
姉様はとそう言うと何か不思議そうな感じでリリを眺めていた。
「アリス、リリの立場もありますから、リリ姉様というのはお外ではダメよ、リリと言いなさいね、あなたには難しいと思うけど良いわね、アリス」
「はい、お母様、お姉様と弟が私にできたのね、――わーい」
と無邪気な姉様をみて、リリの顔を見ると一筋の涙が流れていた。その瞬間からこの世界の俺の家族ができたわけだ。
――迷いの森で『わたしを忘れてるにゃ〜』って声が響いたとか響かなかったとか。
「よ……、よ、よろしくおねがいします旦那様、奥様、お嬢様」
「私や旦那様はそれでいいけど、アリスにはアリスでいいんじゃないかしら、でもそれだとおかしいから二人のときはアリス様でどうかしら、アルフちゃんはまだ小さいからそのままでいいかしらね」
(えっと、アルフ様よりは坊っちゃまの方が何故だかイイ、なぜだろう……)
「……か、かしこまりました、今日からそのようにいたします、ありがとうございます、とても嬉しいです……」
「ぁう〜」(よろしく、リリ俺の妹とよ!)
「やっぱり不思議よねーアルフって」
「わ、私もときどきそう思います、坊っちゃまは話しの内容わかってるじゃないかと」
(やべー否定することもできないしなぁー)
「まあ、確かにそんな感じもするが単なる偶然だよ、声に反応してるだけだ、
まあ俺とミレーヌの子供だしなある意味天才でもおかしくはないがな!」
(いやーそこは似てないと思うぞ、人格も知識もあるからな容姿は母様に似て欲しいけど、ちょっと部外者なイケ叔父はどこだ?)
「まあ、この話はこれまでだ、そう言えば、兄上は今何処に?」
「ディスト様なら代官様のところに行かれましたよ、午後にはお戻りになられると
おっしゃっておられました、昼はいらないと……」
「兄上は何をいってるのか、裕福な貴族や道中でない限りお昼はないと言うのに気楽だなぁ」
「まあ、兄様は兄様ですね、ただ朝多めにスープは作っておきましょうスープとパンくらいなら手間もかかりませんから」
「わかりました奥様、明日からそのようにいたします」
この世界の新たな家族達、12歳のリリが妹扱いで5歳の姉様が姉扱いな精神年齢と肉体年齢のチグハグな関係の家族達が出来たのだが、――今日この日が何日で何曜日かもかわからないけどなぁー、家族記念日だ!。 って曜日ってあるんか――と思ったらありました。
一週間と言う概念もちゃんとありました『日月火水風闇光』だそうです。光曜日は神様全般に感謝するための休息日だそうです。
新しい不思議が増えたカレンダーです、見当たらないのでしばらく様子みだ。
8刻過ぎになりイケ叔父が戻ってきた。
「ふぅ、やっと在留の更新がやっと終わった――アルついでに父上と家族に手紙を出してきた、父上に早く手紙を出さないととんでもないことになるぞ」
っと言って顔が笑っていた。
(このイケ叔父、楽しんでるな、って家族居るんかよ! ここで何やってるんだよー)
「ああー兄上、それは酷いです、兄上の手紙が先に届くと……」
「今夜中に書いて朝一番に代官のところに届ければ大丈夫ではないか、まだ出立してなかったし」
「くー、今日は早く眠れそうにないな」
「私も一筆お父様とお母様に手紙を書きますから一緒におねがいします」
「わかった居間のテーブルに置いといてくれ一緒に届けるから」
「お兄様、見聞を広げたいからといっていつまでも国内を放浪されては……ここにいつまで居てもかまいませんが、王都に居るお義姉には定期的に手紙を書いて下さいね」
「わかっておる、当主になるまでのわがままじゃ、父上もわかっておる、だから王都の屋敷に母上と住ませてるんだ、我と領地で暮らすよりもその方がよかろうエドガーだって領主代行では優秀だからな」
「エドガーもいつまでも元気じゃないですからね、いつまでも甘えて居てはダメですよ」
「おまえも姉上のように言うんだな、その件はもう……いいじゃないか」
「ばぅー」(ははは、どちらが年上なのかわからないねイケ叔父)
「まあちょっとこの王領も見て見たいからなぁ、しばらく厄介になる、これは当面の宿代だ」
イケ叔父は懐から若干重みの小袋をテーブルに置いた。
「我が甥っ子のお祝いもかねてだ、ここじゃ何も買えんからな、領都で少しは買ってきたんだが、王都に比べて物が少ないからな」
「兄上、別にお金はいいですよ、なにかとこの家を建てるときに援助してもらいましたし」
「それは父上がしたことだ、我は関係ないことだ、まあ気にせず取っておけ」
「ありがとうございます、兄上」
「で、お兄様はなぜここに?私がいくら身ごもって居たとはいえわざわざこんな田舎まで」
「まあ、そのことはおいおい話すさ、今は待ってくれ……」
イケ叔父は意味ありげにポーカーフェイスで答えるのだった。
俺はと言うとお乳を貰い寝ては貰いオシメを変えられあっという間に刻がすぎていった母様も寝室から出ることもなく爺様に手紙を書いているようだった、その光景を俺はベビーベッドから見つめながら眠気には勝てず目をつむって眠った。
――つづく……。
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