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○の叔父  作者: 朝倉義政
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12

※注意※

宗教の話が出てます。

苦手な方はブラウザバックお願いします。


秋も深まりすぎもう冬といってもいい時期になりました。俺の最近の日課は若や与次郎殿と一緒に遠駆けだ。勝幡を出て木曽川に向かい流れに沿って下っていく。津島まで向かい市場視察(という名の買い食い)を行ったら帰るというもの。季節は晩秋から初冬なので緑も少なく花もないので一面灰色だが、春になれば野花も咲いて綺麗なものだという。

それにしてもこうも連日だと尻が持たない。最初の内は馬術の鍛錬になると連れて行ってもらったが、最近は強制参加だ。

我が愛馬、秋桜は今年の春に生まれた馬でとても賢く気象も穏やかで、短い期間で俺に慣れてくれた。そのおかげで2か月も経たないうちに、若たちについていけるまでなれた。尤も俺の尻の皮はズル剥けで真赤になったし、腿の筋肉痛も酷い。尻には塗り薬を塗って治しながら乗っている。

 本当ならまだのかの武術の修行があるはずなんだが、義父上が郎党を率いて戦に行っているので、教えてくれる相手がいないのだ。


 「それにしても父上たちは何故俺を連れてってくれんのだ」


 と若がプンスコしている。遠駆けでその不満を解消するのはいいんですが、もうちょっと控えて欲しい。俺の尻が回復しない。そもそも若は初陣がまだ終わってないと聞いている。初陣が一揆相手なのは武士としてまずいらしい。それに


「厄介な相手らしいですからね、一向宗は」


 戦の相手は一向宗という宗教団体だ。親父曰く下手な大名よりも手強い相手だという。

そもそも一向宗ってなんぞなと聞いた時の顔は見ていて楽しかった。しかなないじゃん。うちの家はそこまで宗教にはまってなかったし、村にも寺なんてなかったから、なんかあったら近所から呼ぶ程度の関わりしかなかったんだから。昔なんて正月には神社に行き、年越しは寺に鐘を突きに行く。そして結婚式は教会っていうどこにでもいる日本人だったんだから。あっ、俺が結婚したわけじゃない。友人が結婚したので末永く爆発しろと結婚式にお祈りしに行ったんだ。

 話を戻して。

 一向宗というのは鎌倉時代の親鸞聖人が起こした宗教で、宗徒はただ「南無阿弥陀仏」と両手を合わせて唱えるだけでいいという。またこの宗教には「悪人正機」という考えがある。仏さまが救いたいのは衆生であり、すべての生きるものは皆煩悩を抱えた悪人でありそのことを自覚するのが仏さまの救いを受ける第一歩であるということ。らしい。

 この単純さと悪人でも助けてくれるというのが受けて、天下に広まった。

 そして武装した。

 なんでや!!坊さんが戦争する必要ないだろ!!

 叫んだ俺を拳で黙らせた義父上は続けた。略奪から寺を守るのには武力がいるのだと。

 納得した。


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