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○の叔父  作者: 朝倉義政
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「はいっ、せいっ。はいっ、せいっ」

「はいっ、はいっ、はいっ、はいっ」

ペッタン、ペッタン。


時は進みついに師走。義父上たちはまだ帰らない。

今回の一揆をおこしたのは尾張国河内郡の国人領主服部織部政家。河内郡と海西郡の二郡に跨り影響力を持つ土豪だという。この男だけならどうにでもなると義父上は言っていた。問題はこの男のバックにいるのが願証寺だということ、そして一向宗宗徒が近隣から集まっていて数が互角だということ。先ほど言った通り一向宗は天下に宗徒を持ち、ことが起きると近隣の宗徒が集まり敵に向かう。今回は直接寺院に関係はないが、同じ宗徒の誼で三河や美濃から援軍が来たようだ。

そんなわけで正月の準備をおとしさん主導で進めている。義父上がいない以上俺が指揮を執らなくちゃいけないが、そういった教育は不十分。俺の知っているのは農家の正月位で役に立たない。そのための指揮権譲渡だ。俺は悪くない。

義兄上達が褌ダッシュで甲賀に向かったから屋敷には今では人がいない。義父上と一緒に甲賀から出てきた人たちはいい機会だと一緒に行き、残った人たちは義父上と一緒にお出かけ中なので、家族や使用人を含めると50人ほどいた屋敷にいるのは俺とおとしさん、そしておとしさんの娘おせいさん、小者の惣兵衛とその子供、庄衛門のわずか5人。これで正月の用意を整えなければならない。おとしさんとは惣兵衛をこき使い屋敷を整えている。

そして俺と庄衛門、おせいさんは


「若様、ちょっと、休み、ましょう」

「ダメ。米が冷める」

ペッタン、ペッタン。


餅を搗いている。搗いた餅はおせいさんが丸めてくれている。また次の米もおせいさんが蒸しといてくれている。初めは庄衛門に搗かしていたんだが、あまりに遅いというか、杵が震えて危ないので俺と交代。以後そのまま搗いている。てか、なんで餅をひっくり返す方の庄衛門の方がばてているんだか。

コレガワカラナイ。


「若様、その餅はもう十分です。丸めてしまいましょう」

「うい。庄衛門休んでていいぞ」

「ありがたく。……なんで若は平気そうな顔しているんですか」

「農作業と、義父上のシゴキに比べれば、なんぼかまし」

「そんなばかな」

バタン。


あ、倒れた。根性の無いやつめ。惣兵衛に告げ口しておこう。


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