02話
初回なので二話投稿です!
居間を出たレイナとミーナは2階にあるレイナの自室の前に移動した。
「ここがレイナお姉ちゃんのお部屋?」
「そうだよ。2階にある他の2部屋は空いてるからこのどっちかの部屋になると思うよ」
「そうなの?なら私はレイナお姉ちゃんの隣が良い!あと、多分なんだけど私はマリアと同じ部屋になると思うの!」
「え?ということはアオイ…さんも2階なのかな?…うーん、お父さんの事だから1階になると思うけど…」
「そんな事より、レイナお姉ちゃんのお部屋に入ろ!」
「あ、ちょっ!」
ミーナはそのまま勢い良くレイナの部屋の扉を開ける。なお、もちろん外開きである。
開け放たれたレイナの自室は、水色を基調とした家具で統一されており、色も相まって清潔感を醸し出す。室内は整理整頓されており、レイナの几帳面な性格を感じ取ることができる。
また、ベットの端や勉強机の一角には幾つかの大小様々なぬいぐるみが置かれている。その中で特段目を引くのは全長70㎝の大きさがある座った犬のぬいぐるみであった。
「おっきい犬!」
ミーナは部屋にある巨大な犬のぬいぐるみに目を奪われ、一直線にぬいぐるみに向かっていった。ぬいぐるみに抱きついたミーナは離さないと云わんばかりに全身で抱きついた。
「ミーナちゃんはこの子が気に入ったのね」
「うん!この犬可愛いの!」
犬のぬいぐるみの見た目は白色の毛に赤い目をしていた。ちょうど何処かの人物を彷彿するよう特徴をしている。
「ところでミーナちゃん、聞きたいことがあるんだけど…」
「?なぁに?」
「アオイ、さんについて聞きたいんだけど、良い?」
「うーん、良いよ!何を聞きたいの?」
ミーナは一瞬考えるフリをしたが、考えるのが面倒になったのか、それともそのフリをしたかったのか分からないが、すぐさま了承する。
「えーと…アオイさんって、どんな人なの?」
「えっとね!アオイはね!私とパパの命の恩人なの!」
「恩人?どういうこと?」
レイナは率直な疑問を口に出す。
「ん-、私もちゃんと覚えてるわけじゃないんだけどね。昔ね、変な人たちに追っかけられてたんだけど、そんな時に助けてくれたのがアオイなんだ!」
「そうなの?それってどれくらい前のことなの?」
「うーんと3年前なの!」
「あれ?アオイさんって今何歳なの?」
「アオイは13歳だよ!私は9歳なの!」
「え?アオイさんって私と同い年なの!?ミーナちゃんは私の4歳下なんだ」
あの少年が自分と同い年であることを知って、驚愕するレイナ。
「そうなの!しかもね、とっても強いの!」
「強いの?」
「そうなの!」
ミーナは抱きついていたぬいぐるみを横に置き、シュッシュッとシャドーのモノマネをしたり、足を蹴り上げたりと狭い空間で動き回る。その様子をレイナは「可愛らしいなー」と思いながら見ていた。
「アオイはね!いつもすごい動きするの!パンチしたりキックしたりはもちろん、ぶきを使うのも得意なの!」
「へ、へぇ…そうなんだ」
「それにこの間もお出かけしてた時に変な人に攫われそうになったときにもね、華麗に捕まえちゃったの!」
「すごいね…あれ?ミーナちゃんって今更だけどお嬢様だったりするの?」
「その通りです、レイナ様」
「!?」
「あ、マリア!」
音もなく自室の扉を開け、気配もなく背後にいたマリアに驚き、身体を盛大に飛び上がらせてしまう。
レイナはバッと音が出るように背後に振り向き、マリアを確認する。
「ど、どうしたんですか?」
「剛輝様より、レイナ様のお部屋の場所を聞き、お呼びに来ました」
「呼びに?もしかしてデリバリーが来たの?」
「そのようなものですね。アオイ曰く『あと5分で来る』とのことです。なので事前にお嬢様達を呼びに来たのです」
「な、なるほど(アオイさんもだけど、マリアさんって何者なの!?)」
「ただのメイドでございます、レイナ様」
「!?」
内心で思っていたことを当てられたレイナはより混乱する羽目になったのであった。
――
マリアが伝えたアオイの言ったとおりに呼びに来たちょうど5分後にデリバリーの寿司が到着した。その届いた寿司の内容は贅を尽くしたものであり、非常に豪華なものであった。
定番のマグロはもちろん、人気なサーモンやえび、いくらなどの鉄板なネタはもちろん、軍艦の種類も豊富であった。
そんな豪華な食事が並ぶ食卓にはレイナ、剛輝、ホーク、ミーナの4人が座り、ミーナの後ろには慣れない和食のサポートのためにマリアが控えて居た。そしてレイナはキョロキョロと辺りを見まわし、アオイがいないことに気が付いた。
「あのホークさん」
「美味しそうだなぁ…ん?どうかしたかいレイナお嬢さん?」
「アオイさんって、どこにいるんですか?」
「あー、あいつは野暮用で少し家の外に出ている」
「そうなんですか?ならお寿司を残しておいたほうが良いですか?」
「いや、大丈夫だ。あいつはあいつで『食事』を取ってくる」
「なるほど、そう、なんですか…」
レイナはあからさまに気落ちしたようにしょんぼりとする。その様子に剛輝は慌てる。
「れ、レイナ、なんで落ち込むんだ?も、もしかしてアオイのことが…」
「違うから!そんじゃないし!私はただ聞きたいことがあっただけだから!」
「本当か?」
「ホントよ!」
「ぶはっ!!」
「「!?」」
冴月親子のそんな仲の良いやり取りを見てホークは噴き出したように笑った。そしてホークが笑ったことに過敏に反応をする親子二人。
「娘と仲が良いな、剛輝!ま、私の方がミーナと仲が良いけどな!」
「…うちは父子家庭だからな、仲が悪かったら簡単に家庭崩壊だぞ」
「確かにそれはそうだ!で、それはそれで今日は良い酒を持ってきたぞ。高くて良さげなやつだ!」
「これは…」
ホークがマリアに持ってこさせた酒はお酒が年齢的に飲めないレイナは分からないが、剛輝からするとかなり高級で美味なウイスキーのようであった。
「お前、馬鹿舌なのにこんな高級な持ってきて…てか寿司と合わせるなら日本酒の方が美味いんだよ。今、家に置いてるやつ持ってくるから待ってろ」
「お、それは良いな!日本酒も好きなんだよ、美味いよな!」
「酒なら何でも同じとか言ったやつのセリフとは思えんな」
剛輝とホークはお酒の話に夢中になったのか、2人は自分たちの世界に入っていった。そんな話に興味がないミーナは、目の前のある赤、白、橙のなど色々にきらきらと宝石のように輝く様々なお寿司に夢中になっている。よだれを流してい様子を見るに、食いしん坊のように思える。
「ミーナちゃん、お寿司は初めて?」
「うん!とっても美味しそう!」
「生ものだけど大丈夫?海外の人って苦手な人が多いから」
「大丈夫なの!私はなんでも食べれるのが自慢なの!」
ミーナは椅子に座ったまま、両の腕を腰に当て、胸を張りエッヘンと張り、ふんっと花をならしている。なんとも可愛らしい姿はとても微笑ましいものであった。
レイナはふと、「ミーナちゃんって、ワサビとか大丈夫かな?」と思った時、マリアはミーナの目の前に他のものよりも小ぶりな寿司が入った容器を置いた。
「レイナ様、大丈夫ですよ。ミーナ様のための子ども用のものを用意しています」
「あの、マリアさん…あなたって心読めたりします?」
「そんな非現実なこと出来ませんよ。メイドの嗜みでございます」
「ウソだ!」
「フフフ、どうでしょうかね…旦那様、食事の用意が出来ましたわ」
「お、それじゃあ食べるとしようか!」
マリアに言われ、剛輝との会話を一旦切り替え、配膳されていた日本酒が入ったお猪口を手に持ち、目の前に掲げた。
「さぁ、今日は良い酒と良い食事がある!そんな良いものを一緒に食べられることに感謝だ!長々しい口上なんて言いたくないし、考えるのも面倒だ!さっさと美味しく食事をしようではないか!
では、乾杯!」
「「乾杯!!」」
ホークの音頭で食事が開始された。男2人は日本酒を美味しくいただきながら寿司を次々と胃に放り込んでいった。ちなみに、日本酒の消費は激しく、30分も経たない内に新しい一升瓶の封を開けていた。
ミーナは食べた一つ一つの寿司に目を輝かせ全身で美味しいと表現しながら夢中で食べていた。流石に箸は使えないようで、基本的に素手でむんずと掴んで食べており、こぼしそうになったり汚しそうになったときには事前にマリアがそうならないようにサポートしていた。
レイナはレイナで好物のサーモンや赤身のマグロ、えびなどを楽しんで食べていた。時たま、酒を飲み、しゃべることに夢中になっている父から好物を盗み、苦手なものを押し付けるといったことを行っていた。
「――で、ん?おいレイナ俺のマグロは知らないか?」
「知らないわよ。自分で知らない内に食べちゃったんじゃないの?」
「ん-?そうか?そうだなぁ」
などとやり取りをし、和やかな食事会は進んでいった。
続きは来週月曜日です!




