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「ダイナマイト!」

「うーん……今日から彼女達と暮らしていくのか……」


 夕食のピザを平らげた俺はソファーに腰かけてボーッと天井を見ていた。


『どうして彼女達と一緒に入浴しなかったのですか?』

「やめないか」


 キャサリンとレベッカさんは仲良くお風呂中。この部屋のバスルームには大人二人が余裕で入れる大きさの風呂があり、追い炊き機能も完備している。


『ですので、貴方も一緒に入るべきでした』

「一緒に入ってどうしろと言うのかね?」

『親交を深めてください。入浴中は心身共にリラックス状態にあるので、コミュニケーションを取るのに最適なタイミングです』

「物は言いようだね、アミダ」


 相変わらずこのAIは俺を追い詰めてくれる。そろそろこいつとの付き合い方も改めるべきだな。人間らしくなったのはいいけどさ、ここまで脳内ピンク色になるとは思いもしなかったよ。


『心外です』

「はー、うまくやって行けるかなあ。先行き不安だよ、俺はー」

「ハーイ、ダーリン! お風呂空いたわよ!」

「早いね!?」


 キャサリンが入浴中にこれからについて考えようとしていたのだが、入浴して10分もしない内に二人はバスルームから出てきた!


「そうー? ちゃんと綺麗になってきたわよ! ハニーと洗いっこしたものー!」

「いや、それにしても……」

「日本人がお風呂好き過ぎるだけじゃない? そもそも私達はシャワーだけで十分だし」

「え? シャワーだけ?」

「シャワーがあれば十分よー!」


 この二人はあまり風呂に浸かる習慣がないのか? フリスさんはお風呂長いから彼女達も長くなるかと思ったんだが……


『アメリカ人を含め基本的に外国人の入浴時間は日本と比べると大幅に短いです。日常的に浴槽に浸かる習慣があるのも日本人特有の文化となっています』


 マジかよ! 知らなかった、そんなの!


「そ、そっかー。じゃあ、俺も入ってくるよ……」

「いってらっしゃーい」

「好きなだけ入ってきていいわよ」

「そうさせてもらうよ……」


 なんとも言えない気持ちになりながら俺はバスルームに向かった。


「あー……そっかー……キャサリン達はお風呂に浸からないのかー」

『残念でしたね』

「はぁー……」


 バスタブに満たされたお湯に浸かりながら俺は小さくため息を吐く。


「ま、二人の後に入っても一番風呂気分を味わえるのはいいことかなー……」

『お湯の成分をチェックしたところ二人は本当に浸かっていないようです』

「本当にやめて? マジで泣かすよ?」

『……』


 キャサリンとは何とか上手くやれそうだけどレベッカさんはまだ難しいだろうな。嫌われてるみたいだし、キャサリンとはいい感じの仲だし。仲良くなれるといいなあ。


「フリスさん達も今頃お風呂入ってるだろうなあ……」

『彼女達を呼びますか?』

「呼んでどうするんだい? 俺にエロ漫画の真似事をしろとでも?」

『貴方が寂しそうだったので提案しただけです。余計なお世話でしたか?』

「……まぁ、うん。心遣いには感謝しておくよ」


 しかし、お嫁さんを貰ったと言ってもどうすればいいのか。俺はまだガキだし、あまり深いところまで考える余裕はなかった。正直に言うと勢いに任せて言ってしまった感も拭えない。


『では、婚約を破棄しますか?』

「冗談でも言うなや、そんな台詞」


 かと言って、告白を取り消すつもりもない!


「……幸せにしてやるとも!」


 もうどうすればいいのかわからないなりに開き直って突き進むしかない! そもそも馬鹿な俺がいくら頭を捻った所でいい案など浮かばん! 幸せにすると決めた以上は幸せにするんだよ! それが彼女達に惚れられた男としてのケジメ……


『ダーリーン?』

「アッハイ!?」

『ちょっといいー?』


 お湯に浸かりながら気合を入れていた所にキャサリンの甘えたそうな声が聞こえてくる!


「な、何だい!?」

『ウフフ、せっかくだから背中流してあげようと思って!』

「ホアッ!? いや、君はもうシャワーを浴びたんじゃ……」

『なんだか、また浴びたくなっちゃったの! ダーリンも一人は寂しそうだから!』


 おっと、今日も来てしまったかこのイベントが!


「で、でもっ! 俺は」

『もう脱いじゃったから入るわね! 大丈夫、洗うだけだからー!』

「……あーもー! 好きにしろぉー!」


 ふ、ふふふ……やるじゃないか。昨日も似たようなタイミングで混浴イベント発生したけど今日はキャサリン一人だからまだセーフ! 一対一だから耐えられる!


 勝てる! 今日の俺は勝てるぞ!!


「フフッ、じゃあダーリン。入るわよ!」

「言っておくけど、俺はまだ何もしないよ!? 君とは結婚を前提にお付き合いをすると言ったけど! まだ俺達は未成年だから……」

「ウフフッ! わかってるわよー! あたしもまだ子供なんだから!!」


 そう言ってキャサリンはバスルームに飛び込んでくる。


「……」


 子供のように無邪気な彼女の笑顔。煌めく金色の髪。色づきの良い健康的な肌。



 ────ぼよよんっ!



 そしてまだ子供らしい可愛さが残る顔に反し理不尽なまでに暴力的に育ったダイナマイトボインを前に、俺は自分の浅はかさを恥じた。


(なに、なにあの胸!? 大きい! いや、大きいだけじゃなくて形もすごく綺麗でぼよよんって柔らかそうで……なにあれ!? 凄い! あのボイン凄いよぉ!!)


 いや、うん。正直、女の子の裸には慣れたと思ってたんですよ。キャサリンの裸はもう見ていたし、フリスさん達のも見ちゃってたから。耐性がついただろうと考えてしまったんですね。だがそれが甘かった。


「ふふっ、どうしたの? 面白い顔してるわよ、ダーリン!」


 俺に完全に心を許し、全てを曝け出したキャサリンの破壊力がここまでのものだとは思いもしなかったのだ!!


「……な、なんでもないよよよよ……っ!!」

「? そーう?」

「ほ、ほら! せっかくだからキャサリンもお風呂に入りなさい! 温かいよ!」

「え、でも」

「いいから、入って! あんまりバスタブに浸かったことないんだろ!? いい機会だからさ! 入って、入って!!」

「……ふふっ、それじゃ。入るわねー!」


 俺は顔を真っ赤にし、彼女の裸から逃げるように目を逸らして硬直する。


 ああ、これは……今夜も駄目そうだ!!



「ダイナマイト!」-終-


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