星空、夜行観覧車
夜空を見上げると、星が出ている。
(もう、こんな時間か。)
私達は、もう1度観覧車に乗ることにした。
暗闇の中、それぞれのゴンドラが7色にライトアップされている様子は、ノスタルジックである。
「3人ずつだから、ジャンケンするか。」
ちぇるしーが提案したが…。
「えぇ~、玲夜くんと星野…いや、ふーこちゃんはこっちに乗るのよ!」
「ふーこちゃん…。」
「何か、フクロウみたいですね!」
薫さんが、2人を引っ張っていった。「あぁれぇ~」と言いながら、玲夜が少し残念そうな顔をしていた。
◇◆◇◆
「じゃ、乗るかー。」
「は、はい、先輩!」
ごくりと唾を飲み込んだ私に対し、ちぇるしーはどう思っているのか全然分からない。
2人で、誰もいない蔦だらけの観覧車に乗り込む。(先輩は、また下に敷くバスタオルを貸してくれた)
ゆっくりと回りながら空へと向かっていく観覧車。
どんどん星空が近くなっていくのを、ただずっと、ずぅっと見ていた。
こうして廃遊園地の全景を見ていると、オレンジ色に灯ったメリーゴーラウンドの明かりが何だか懐かしい。
「わぁ…!」
星に手が届きそうで。下に見える北の大地の夜景はどこまでもどこまでも続いていて。
程よい高さに並ぶビル、街、商店街、繁華街のぼんやりとした明かりは、宝石を散りばめたようにキラキラ輝いている。
私は、胸がいっぱいになった。
"…このまま、時が止まればいいのに。"
そう思ったことは、まだ、私だけの秘密。
「…なぁ、星、見てみろよ。
あそこに光ってる3つの星は、夏の大三角形っつーんだ。線で結ぶと、3角形に見えるだろ?」
「本当ですね…!
…あれ、先輩!今日の月は何かヘンですよ!」
「あぁ、あれは部分日食っつーんだけど、月の1部分のみが地球の影に隠れてんの。」
「…へぇ!」
深い闇の中に、点々と輝いている星たち。それは、大昔の光だ。何億年も前に燃えた証が、今になって私達の目に届いているのだ。…駆け出したら、触れられる気がした。
「そういえば、先輩。
…電話で、"俺から離れるなよ"って言ってくれましたよね。」
私の言葉に、ちぇるしーは大慌てで目を逸らした。
「…んなこと言ってねーよ!」
「言いました。」
「言ってねー!」
「言いました!」
「…ハイハイ。」
「…。」
「……。」
「ま、俺が陰陽師の生き残りだって知って、春灯さん引くかなって思って。」
「…へ?」
心外なことを言われた。
「そんなことで、引きませんよ!
むしろ、カッコいいと思いました。」
「…そうか、――ありがと。」
「だって私、
――先輩が……」
その時、ブルブルブル、とちぇるしーのスマホが鳴った。
「わり。
…はい、智瑠 孝です。
――おまえか。
…どうした?」
(ちぇるしー、一体誰と話してるんだろう…?)
その時、また波乱が幕を開けたことに、気付くわけがなかった。




