第10話 学院長
時間は戻り、斬華達の転移直後。
「それじゃ、仕事を始めますか」
今回学院の外で訓練を行ったのは、もう1つの仕事をすることになったからだ。
学院に魔族が潜んでいることは極秘事項だったため、Sクラスだけでなく、他のクラスも学院の外で訓練を行っていた。
そうして、教官室の前まで移動し扉を開けた。そこには教官が、いや、魔族が1人いた。
「鳴瀬教官、これは詰みというやつでしょうか」
「ああ、察しがいいな、それじゃa」 パアン
魔族の体が弾け飛び、教官室を血と肉で赤く染め上げた。
「クソ、簡単に命を捨てやがって」
「あちゃあ、これは派手にいったねえ」
結が能力を使い、顔だけを出していた。
「でっ、これからどうするよ、俺が感じた魔族の魂はこいつだけだったけど」
「まあ、魔族が1人とは限らないし、ある程度は警戒しておいた方が良いと思うけど、まあ、気に留めておく程度で良いと思うわよ」
「それじゃ、報告書だけど」
「じゃ、後はよろしく」
「オイ待て、どこに行くきだ」
能力でこの場から去ろうとする結の頭を鷲掴みした。
「あの、痛いです、離してほしいんだけど」
「離したら逃げるよな」
「だって報告書は面倒くさいし、ここの掃除だって面倒くさいしいいいい、痛い痛い痛い痛い」
結の言葉にムカついたため、頭を掴む手に力を籠めた。
「そうだよな、そんな面倒くさいことを俺に押し付けようとしたんだよな」
「別に他の教官に手伝ってもらえばいいんじゃないいいい、痛い痛い痛い痛い潰れる、頭の形変わっちゃうって」
さらにムカついたため、頭が潰れる位の力を籠めた。
「居ないよな、今日は全員が学院の外に居るんだけど」
「あははは、そう言えばそうだったわねええええええっ、へぶし」
結を能力の空間から引っ張り出し、そのまま天井に突き刺した。
「あはははじゃねえだろ、普通は手伝うのが当たり前だろうが」
「分かったわよ、ううんしょ、あれええ?ううんしょ、ねえ、成三、引っ張ってほしんだけど」
結は天井に顔を刺さったまま、抜けなくなっていた。
「たっく、しょうがねえなぁ、じゃあ引っ張るからな」
「ええ、優しく引っ張ってねええっ、げふ」
引っ張る力を誤ってしまい、結は顔面から地面に突っ込んでしまった。
決してわざとやった訳ではない。
「てか、能力使えば良かったじゃないか」
「・・・・・まあいいじゃない、私の能力の話なんてさ、はははは」
結は何て事もないように言っていたが、その顔は真っ赤に染まり、見るからに恥ずかしがっていた。
「なあ結って、元々騎士団の参謀本部に所属したたよな」
「うん、そうだけど、それがどうしたのよ」
「じゃあなんでそんなにバカなんだ」
「はああああ、バカじゃないんですけど、わ、た、し、凄く優秀なんですけど」
結はバカという言葉に過剰に反応し、大声を出し騒いでいた。
その姿はあまりにもバカっぽく、斬華の存在がちらついた。
「優秀だっていうなら報告書の1つくらい書けるよな」
「書けますよ、書けますとも、私優秀なんで、じゃあ私は報告書書くので失礼しまあす」
そうゆうと能力を使い教官室から出て行った。
「結の奴、珍しく簡単に引き下がったな」
不思議に思いながらも血肉まみれの教官室を見て、つい忘れていたことを思いだした。
「掃除、1人でやるのか、これ」
結が珍しく簡単に引き下がったのは、掃除から逃げるためだった。
どうやら今回は、結の方が一枚上手だったようだ。




