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リタに指示を出した後は、
庭に出て、ゆっくりと散策をする。
午前中の2時間、午後からの2時間、
それだけ家庭教師などから勉強すると、
他は自由な時間となる。
パパからもらった魔石を見る、
試しに魔法で”hi”と書き、
火事になったら大変とあわてて火を消し、
水と書き換える。
そして、花壇の花達に、水をやってみる。
効果は少し勢いがあるジョウロで、
1分水をやった程度だろうか。
確かにこれでは、バケツに水をくむなり、
魔法を使った方が早い。
しかも、魔石の魔力は容量があり、
魔石の中の魔力を全て使い切ると、
ただの石になってしまうのだ。
そんな事を考えていると、ふと日本の知識が、
思い出された。
今、この本の中の世界での言語を使ったけど、
日本語ならどうかしら?
興味本位で、漢字で”水”と魔法で書き、
効果を試してみる。
すると、スプリンクラーが、
物凄い勢いで回ったぐらいの水がでてきた。
「ぎゃ~」
思わず令嬢に相応しくない言葉が、
口から飛び出してしまう。
本当に”火”にしなくてよかった、
大火事になる所だった・・・
魔石をまじまじと見つめる。
魔石は同じ・・・と言う事は、
言語の違いで、効果が違うって事ね・・・
それから、英語、平仮名、片仮名も試すが、
これは発動しなかった。
どうやら、魔石に反応する言語は、
本の中の世界の言語と、漢字だけらしい。
しかも、漢字なら効果は比較にならないぐらい強い。
それから、数か月間、パパにもらった魔石で、
いろんな事を試してみた。
回復魔法は使えない事、
漢字には法則があり、
”強”は使えないけど、”強化”なら使える事。
パパからもらった魔石の魔力が底をついて、
もっと魔石が欲しいと言うと、
安いものだし、いくらでも買ってあげるよと言われた。
ひょっとすると、モンスターが襲ってきた時、
この知識があれば、何か対処できるかもしれない、
そう思うと、魔石の研究はどんどんエスカレートした。
普段の生活ではまったく使わないだろうと
思われるものまで、魔石の本を読み試す。
そうした所で、なぜ漢字を知っているのかと
問われれば、答える事ができないので、
この事は誰にも言えないのだけど、
それでも何かに取りつかれたかのように、
魔石の研究を続けた。