第15話 生き延びてやる! ハンスside
ハンス視点です。少し時系列が巻き戻ります。
~ハンス視点~
目の前の男達と睨み合う。
そしてとうとう私は折れた。
「わかった。お前達の要求を飲んでやる。その代わり、クリスタと私の娘のレーナは逃が」
しかし、私の言葉は途中で遮られる。
「そんなことを我々が許すわけないじゃないですか。だって、逃がして、我々のことを言いふらされたら困るんですよ。まだ表舞台に出るわけにはいきませんからね。」
その後、私は溜め息を1つつき、セバスチャンに目配せする。前々からセバスチャンには、もしものことがあったら娘のへレーナを連れて逃げるようには言っていた。本当にこのようなことになるとはな……。まあ、セバスチャンは剣の達人だからなんとかしてくれるだろう。
「お前達、早く追え!」
リーダーらしき人物がわめいている。
セバスチャンがへレーナを連れて逃げていく。これで一安心だ。クリスティーナは、私を釣るための人質なので、害されはしないだろうし、メイドのソレイユは、私と契約している光の大精霊なので、襲ってきた彼らは、彼女を含めた私の力を欲しているので害されることはないだろう。
クリスティーナは、押さえつけられ、私は、男達と睨み合ったまま、時間が過ぎる。ちなみにソレイユは私の服の裾を掴んだままだ。
しばらくして、玄関からドタドタと土足で出て行った男2人が戻って来た。
「リーダー、逃げられました。申し訳ありません。」
「まあ、よい。拠点がバレなければよいだけの話だ。今日こそ我らの王が樹立したのだ! 今はただそれを喜ぶだけだ! 万歳!」
「「「「「「万歳!」」」」」」
「では諸君、拠点に戻ろうか。デルタ、2台とも馬車は直ぐに出発出来る状態か?」
「イエッサー」
「アルファ、ベータ、お前達は目隠ししてさしあげろ。拠点の場所が知られては困るからな。」
「「イエッサー」」
「イプシロン、ゼータはアルファ、ベータの護衛をしろ。」
「「イエッサー」」
「ガンマは私に着いてこい。」
「イエッサー」
ほう、こいつら、自分たちの名前が分からないようにコードネーム呼びをしているのか。敵ながら感心だな。
アルファとベータと呼ばれた男たちが目隠ししようとしてくる。目隠しされる直前、クリスティーナは私に微笑んできた。なので、私は大丈夫だよ、と声をかける。
私達は目隠しされ、屋敷の傍に停めてあった馬車に乗らされる。
―――………―――
幌の隙間から光が漏れてきて、ほんのり外が明るくなってきたのが分かる。明け方になってきたのだろう。
やがて馬車が止まる。襲ってきた奴等は、普通の吸血鬼のため日の光に弱いのでまだ暗いうちにどこかに着く必要があったのだろう。
目隠しされたまま歩かされる。階段を1階分降りたのだろうか。
目隠しを外されると、そこは、なかなか整った部屋だった。ベッド、本棚、カーペットなどなどが揃っており、生活するのに十分だった。ソレイユもちゃんと連れて来て貰えたようだ。しかし、部屋に、クリスティーナの姿はなかった。その事実は、私の怒りの沸点に達するのに十分すぎる事だった。
「おいっ! クリスタはどこにいるんだ! 無事なのか!?」
「まあ、そう怒らないでください。ただ、この部屋で一緒に暮らすことは出来ません。1日に1度なら、奥方殿に会ってもいいでしょう。」
「くそっ! じゃあ、今から会わせろ!」
「いいでしょう。では、ついてきてください。」
ドアを開け、男と共に部屋を出て、廊下を歩く。30秒程歩いただろうか、結構遠いな。
私は、ある角を曲がった瞬間、息を呑んだ。
そこにあったのは、クリスティーナの牢屋だった。
「あっ、あなた!」
クリスティーナが私に気づいて声をかけてくる。が、私には、クリスティーナに反応してあげる余裕が無かった。
「おい! どういうことだ! こんなの聞いてないぞ!」
私は、罵声とともに殺気を男へ向けて発する。
「いやいや、もとから普通の部屋だとは言ってませんよ? あと、こちらに攻撃するのは、後ろをよく見てからにして欲しいですね。」
ここで後ろを向くのは、戦闘中なら失策だが、気になったので、後ろを振り向く。
さっきは気づかなかったのだが、妻の部屋と面している牢屋には、ゴブリンがひしめいていた。
「くっ……。」
男達の言いたいことを察する。つまり、私が彼らの望まぬ行為をするのならば、妻のクリスティーナの命は保証しない、ということだ。逆に考えると、私が彼らの望む通りに動いている間は、クリスティーナの命は無事だということだ。
「ようやくわかって頂けたようでなによりです。後は、ご自由にお話していいですよ。」
「ああ……、そうさせてもらおう。」
私がクリスティーナのいる牢屋に近づくと、彼女もこちらへ近づいてくる。
「ごめんな、クリスタ。私のせいで巻き込んでしまって。 」
「あなたは別に悪くありませんよ。気にしないでください。それより、私なんかのためにあいつらに従わないでください。」
「いや、クリスタのお願いであろうとそれは出来ない。あいつらに従うのは癪だが、現国王に刃向かってでもクリスタだけは守ってみせる。安心してくれ。」
私は、クリスティーナを安心させるために鉄格子越しに手を握ってやる。
「あなた……。」
クリスティーナは、感極まって泣き出してしまった。よし、なんとかここで生き延びてみせよう。心残りがあるのするなら、まだ6歳のへレーナについてだ。セバスチャンがついているから、まあ、なんとかなるだろう。へレーナの大きくなった姿を見たかったな……。クリスティーナの手を握りながら、私はそう考えるのだった。
今日で最初2週間ブースト終わりです。
これから投稿するペースは考えてないですけど、3日に1回か4日に1回ぐらいは投稿できたらなー なんて思っています。
これからも『私、銀髪美少女吸血鬼っ子になりました!』をよろしくお願いします。
そら




