第14話 おねーさんにまっかせっなさーい!
セバスチャンがドアをノックする。少し待つとドアが開いた。
「だあれ? え、もしかしてセバスチャン?」
「ああ、そうだ。久しぶりだな。」
出てきたのは見た目20前半くらいで、金と黄緑を合わせたような落ち着いた色の長髪を高い位置でポニーテールにしている美女だった。え? この人がセバスチャンのボーケンシャ仲間? てっきりセバスチャンと同じくらいの年齢だと思ってたんだけど! セバスチャンが若い頃となると、その時この女の人はそれこそ幼女だったんじゃ……。なんか、犯罪臭がする。だって、男2人にこんな美女だよ? まあ、セバスチャンは紳士だけどさ、もう1人がね。あ、でも、セバスチャンの話によると、セバスチャンたち尻に敷かれてたらしいけど。
「お、ベンもいんじゃん。おおっ! めっちゃ可愛い子が2人もいるんだけど! キミたち、おねーさんに名前を教えてくれる?」
女の人が私達はの方を向き、名前を聞いてくる。だが、セバスチャンは話を遮る。
「グリセルダ、そろそろ中へ入れてもらってもいいか? こっちは3週間も旅をしてきて疲れてるんだ。話の前にシャワーでも浴びさせてくれ。」
「セバスチャンのくせに生意気だなー。まあいいや、上がって上がって。」
グリセルダさんがそう言ったことで家に上がらせてもらう。家の中はけっこう広く、綺麗だった。それから私達は、私とルチアちゃん、ベンさん、セバスチャンの順でお風呂に入る。ルチアちゃんは、精霊だからお風呂には入らなくていいはずなのに、私とお風呂に入るのが当然のことかのように、しれっと私のお風呂についてきた。
全員お風呂を出た後、私、ルチアちゃん、セバスチャン、ベンさん、グリセルダさんの5人でテーブルを囲み、話の続きをする。
「じゃあ、みんな揃ったことだし、話の続きをしよっか。で、お嬢さん方は、だーれ? もしかして、セバスチャンかベンの娘? あ、でもこんなこんな可愛い子が娘のわけないか~、あははははっ! 」
「ベンと同じことを言うんだな。こちらのまだ幼い方の方は、私が今、お仕えしているシュルツ男爵家のご令嬢でへレーナ様という。で、もう1人の方は……。」
ここでセバスチャンはいったん区切る。
「そういえば俺もまだそっちの子の方は聞いてなかったな。髪の毛の色は違うけどその子の姉か?」
「いや、光の神代精霊だ。」
「え!? マジかよ!」
「え!? うそーん!」
「えへへー、ボクすごいでしょ?」
ベンさんとグリセルダさんは、驚き方は違うものの二人とも驚いている。どうやら神代精霊を知らなかったのは私だけのようだ。ま、もうセバスチャンに教えてもらったから今はもうバッチシなんだけどね!
それからセバスチャンは、私達の事情を話す。
「……ということなんだ。私はこれからディアボロヘイム王国に戻り、王へこの度の事情を話してなんとか対策をとってもらうと共に、捜索願いを出してなんとかシュルツ男爵家領を残してもらう。王に謁見したらここに帰ってくる予定だが、その間、このお二人方を預かって、へレーナ様に魔法を教えてさしあげてくれ。」
「まあ、話は分かったわ。お母さんたちのことはコイツが何とかしてくれるわよ。よろしくね、可愛い子ちゃんたち♪ こんな子たちを預かれるなんて幸せ~。セバスチャン、たまにはいいことするわね。私を頼って正解だわ。よぉーし、へレーナちゃん、魔法をビシバシ指導するわよ!」
そういう流れになった。グリセルダさん、めっちゃ私達のこと可愛いがってくるんだけど、なんか、ちょっと目が怖い。
そして、私は気になっていたことを聞いてみた。
「グリセルダさんは、セバスチャンやベンさんと昔、冒険していたんですよね? なんでそんなに若いんですか?」
「うふふふふ。若いって言ってくれてありがとね。おねーさんはね、エルフっていう種族で、長生きなんだよ。」
「あっ、しってます! まえにママからききました! なっとくです!」
それから私達は話が済んだ後、寝ることになった。グリセルダさんは自分のベッドに行き、私とルチアちゃんは一緒にソファーに寝っ転がって寝た。いきなりの訪問なのでベッドがないのだ。ちなみにセバスチャンとベンさんは床だ。いつもすっごくお世話になっているセバスチャンには申し訳ないなぁ。この家が、日本みたいに靴を脱いで上がる家でよかった。その日は長旅に疲れていたのでぐっすりと寝れた。
―――………―――
「ふああぁ~」
私は目覚め、目を開ける。しかし、目の前は真っ暗だった。いや、正確に言うと、視界の大部分は、である。視界の周りの方からは朝日が漏れている。私は、起きようと思って体を動かす。ん? なんか体が何かに締め付けられていて動かないんだけど! 私は、スルスルと抜け出してみる。 抜け出した途端、光が視界に大量に入り込んできた。
起きたばかりで眩しいので、目を細めながらソファーの方を見てみる。私を締めつけていたのは、ルチアちゃんだった。
「レーナちゃん……、おいしそう……」
ルチアちゃんは寝言を言いながらまだスヤスヤと眠っている。私は、ルチアちゃんを起こすことにした。
まず、ほっぺたをツンツンしてみるが、予想通り起きない。ルチアちゃん、寝起き悪いもんね……。よぉし、本気モードで起こすぞ!
「ルチアちゃん、おーきーてー!」
ルチアちゃんをぐらぐらと揺すること30秒、
「あれ~? レーナちゃんおはよぉ。ふわああ~。」
やっとルチアちゃんが起きてくれた。そういえば、セバスチャンはどうしたのかな? 後ろを振り返って床を見てみるが、いなかった。その代わり、ベンさんは出かける支度をしていた。
「おぉ、レーナちゃん、ルチアちゃんおはよー!」
「おはようございます。」
「ん、おはよぉ~。」
「ベンさん、ところでセバスチャンはどこへいっちゃったんですか?」
「セバスチャンなら、グリセルダから馬を借りて、もうレーナちゃん達のディアボロヘイム王国に向かったぜ。俺は、ホントは帝都に買いつけに行く予定だったんだが、グリセルダのやつにレーナちゃん達の布団とかを買って来るように頼まれたから領都に行ってくるわ。ま、レーナちゃん達のためなら頑張るか。まあ、今日の夕方には戻って来るよ。」
「わかりました。」
ベンさんはそう言って出かけて行った。入れ替わるようにリビングにグリセルダさんが入ってくる。
「レーナちゃん、ルチアちゃん、あいつが布団買ってきてくれるからね! じゃあ、今日から2人共よろしくね! レーナちゃんには魔法を教えていくからね!」
ベンさん、尻に敷かれてるね……。うん、わかってはいたけど、実際にグリセルダさんを見て、女性は古来よりなんとやらを理解出来た気がする。
こうして私とルチアちゃんとグリセルダさんの共同生活が始まったのだった。
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そら




