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インディ娘ちゃんのノーテンキ学園冒険隊  作者: マックロウXK
第二章 上沢高校を巡る陰謀

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大ゲンカ

 ヨガ男はかなりの量のパンチを受けたはずだが、平然としている。


「どうだ、これぞヨガの秘術。この体を手に入れんが為に、苦しい荒行に……うおっ!」


 雷也の強襲キックに、ヨガ男が吹き飛ぶ。

 それでもダメージを与えた様子は無い。


「完全に不意をついたでござるが、単に受けが巧いという訳でもなさそうでござるな」 

「勝てるのか、雷也?」

「心配は無用、拙者も考える所があるでござる」


 クラウドたちに軽く答え、雷也はヨガ男に立ち向かう。敵も間合いを詰めて来た。

 すかさず雷也はジャンプ、空中で体をひねり、勢いでさらに体を跳ね上げる。

 マイケル・冗談(ジョーダン)のようなエアウォーク、空を駆ける様に雷也は飛ぶ!

 2mを軽く越えるジャンプは、たとえ大男が相手でも問題にしない。

 雷也は回転ソバットを顔面に叩き込む。

 ヨガ男はバックスウェーで避けようとするが、一瞬速く、蹴りがヒットし、ヨガ男は顔を押さえながらガクッと膝を折った。


「ばすけっとの試合を見て編み出した、2段跳躍でござる」 


 予想以上の効果、よほどのダメージを負ったか、ヨガ男は痛みに耐えている様子。 


「やはり、お前はその長身から頭部の攻撃に慣れてない様でござるな。その弱点が命取り。この勝負もらったでござる!」


 雷也はヨガ男に駆け寄り、下方から顎をかち上げるように、頭突きを放つ!


「ぐおおおっ!」


 ヨガ男に明らかなダメージ。

 さらに雷也は前方宙返りから、ふらつく敵の脳天にかかと落としを決める。

 頭が首にめり込み、完全にやったと思ったが。


「しまったでござるーーーっ!」


 雷也の絶叫。

 その時、クラウドはヨガ男の邪悪な笑みを見た。


 ヨガ男のハイキック。ヨガで鍛えられた全身のバネによる強烈な一撃。 

 音にならない音を発し、雷也は中庭の植木に背中から激突する。


「ぐはっ!」


 肺の中の空気をすべて吐き出し、倒れる雷也。

 そして、わずかに身を起こし。


「……あの時、だめえじを受けた様に見せかけたのは、すべて偽りでござったか」 

「荒行で手に入れたこの軟体、どんな衝撃も柳のごとく受け流す事ができるのだ」

「最初に殴った時に気付いておくべきだったでござる……無念!」


 そう言い残し、雷也は気を失った。


「うそ、雷也くんが負けちゃった」

「マジかよ……、信じられねえ」


 眼前の光景に、我が目を疑うクラウド。


「さあ、次は小僧。貴様の番か?」


 雷也も勝てなかった相手に、反射神経だけしかない自分がどう立ち向かうというのか。

 攻撃を避け続けていても、限界は必ず来る。

 しかも、相手はダメージを受ける事は無い。

 敗北は火を見るより明らかだ。逃げるか?

 だが、雷也を見捨てる訳には……。


「次は、あたしが相手よ!」


 どこから、そのやる気が出るのか不明だが、敵に向かって突っ込んで行く晴海。


「ちょっと、待ったー!」


 晴海の首根っこを掴み、引きずり戻すクラウド。


「何すんのよ、痛いじゃない!」

「あのさあ、雷也が勝てなかった相手に勝てると思うのか?」

「だからって何よ、敵わないからって逃げるつもり? それでも男なの!?」

「! ……バカ言え! 誰がそんな事……」


 考えていた事をズバッと言い当てられ、口ごもるクラウド。思わず顔を背けてしまう。

 ホルスターからパチンコを抜き、ヨガ男に立ち向かう晴海。

 そうはさせじと、クラウドもメガ正宗を抜き、晴海の前に歩み出る。


「ちょっと、手を出さないで! クラウドくんの助けなんか借りなくったって十分よ!」

「なに意地張ってんだよ、さっきの事まだ気にしてんのか?」

「変な事言わないで! 別にクラウドくんがどうなろうと、あたしには関係ないし」

「自分から巻き込んどいて、関係ねえ事ねーだろ!」


 お互い、精神のタガが外れたのか、あふれ出す感情を押さえられない。


「痴話ゲンカか? どうでもいいが、なんなら2人がかりでも構わんぞ」

「望む所だ!」「あたしは1人で戦うの!」


 意見が食い違ったまま、戦いに赴く2人。


「でやああっ!」


 さっそくメガ正宗の一撃、ヨガ男のスネを狙う。

 堤防もアリの一穴から。まずは攻撃を仕掛けないと何も始まらないが、当然のごとくヨガ男にはダメージは無い。

 もう一撃と、メガ正宗を振りかぶる。

 そこへ、ビシビシッと晴海の放ったクルミ2連弾が、クラウドの背面を襲う。


「痛ってー!」

「クラウドくん、邪魔よっ!」

「どこ狙ってるんだ、下手くそ!」

「あー、人が気にしてる事を言ったわねー!」


 口ゲンカをしてる暇もなく、ヨガ男のパンチがクラウドを狙うが、寸での所で身を躾す。


「あっぶねー! よけい面倒くさくなるから、お前は引っ込んでろよ!」

「何よ! 二言目にはめんどくせー、めんどくせーなんて言っちゃって、いつからそんな男になったのよ!?」

「知ったふうな口聞くんじゃねー! お前がオレの何を知ってるっていうんだ、このぺちゃパイ!」

「失礼な! ちゃんと掴んで揉めるくらいはありますぅー!」


 晴海は前かがみになると、シャツの上から胸を寄せて上げる仕草を見せる。

 一瞬、タジタジっとなるクラウド。


「お主、誰と戦っているんだ? やる気がないなら、どこかへ行け」

「そうよ、邪魔だからあっち行ってよ!」


 敵、味方両方から責められ、ついにクラウドの我慢も限界に達した。


「分かったよっ! 消えりゃいいんだろ、消えりゃあよーっ!」


 もううんざりだ、どうでもいい。

 これ以上、面倒くさい女に振り回されるのはこりごりだ。

 クラウドは、それ以上は何も言わずに、この場から立ち去ろうとする。


「どうした? 本当は、あの男と一緒に戦いたかったのではないのか」

「な、どうだっていいでしょ、そんな事! さあ、これからが本番よ!」



「ちくしょーっ! これだから女って奴は!」


 何が、冒険家だよ! わがまま、自己中、変人女!

 こんな事なら、最初から何も無かった事にした方がマシだっ!

 …………。


 そう思ってはみても、後ろが気になって足が進まないクラウド。

 振り返ってみると、やはり晴海は苦戦していた。

 パチンコは5つに1つは当たりはするが、ヨガ男の肉体に軽く弾かれている。

 女の子の体力では長期戦は不向きだ。

 しだいにフットワークが鈍くなってくる。

 とうとう、晴海は足をもつらせて転ぶ。

 ヨガ男の左ストレートが、容赦無く晴海を……。


 確かに、面倒で変な女だが、やっぱりオレはほっとけない。


「くそっ!」


 クラウドは悪態をつきながらも、すでに身体は目的を果たすべく動いていた。

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