第四話 目指せホクの村
朝の投稿でミスしてしまい、第三話の内容をアップしてしまいました。
すみませんでした、ご指摘いただき改めて再アップいたします。
ケットシー族 ノノ
ノノはノノです。
でも、ノノはノノになる前は不思議な世界にいました。
そこではお母さんも兄弟もいなくなって一人ぼっちだったんです。
寒くて、寂しくて。お腹も空いてずっと待っていたお家を出たら、外の世界はとっても怖くて。
大きな何かがビュンビュンと走っているところで動けなくなっていたら、大きな人が近付いて来ました。
みんなには、あれは怖い物だからすぐに逃げるんだよと言われていたのに一人じゃ怖くて余計に動けなくて。
でも、それはノノを優しく抱き上げてくれました。暖かくて嬉しくて、なんでと言ったら優しく笑いかけてくれました。
きっと、言葉は伝わっていなかったと思うのだけれども。
でも、そんな優しい時は唐突に終わりを告げたのです。
光が、強い光でした。
ドンと言う衝撃で身体は痛かったです。それ以上にノノを抱き締めてくれた人の身体が冷たくなっていくのがとても悲しくてお顔を舐めてあげてももう彼は動かなくなっていました。
私も段々と身体が動かなくなっていくのが分かりました。
それからは覚えていません。
ただ、気が付いた時にはまた新しいお母さんがノノにノノと名付けてくれました。
ノノは、魔術の才能があるのだそうです。
ケットシー族でも稀な才能だそうで、期待されていたのですが島には魔術を扱る人が少なくて。
唯一はホクの村の歳を取ったおじいさんだけです。
成人したらおじいさんに魔術を習いなさいと言われていたのに、最近はゴブリンが村の周りに現れたりゴーストが村を繋ぐ道に現れたりと延期されていたのです。
そうしたある日、お姉ちゃんのナナが帰ってこない。ドッド義兄さんやバルバさん、他の村の男の人も村の近くに現れたゴブリンを追い払う為に出ていてお姉ちゃんが遅い事に気付けなかったんです。
でも、お姉ちゃんを助けてくれたん人達がいたんです。
生まれたこの世界でもヒューマ族と言って私達ケットシー族を人とは違う亜人と呼んで嫌っているのだそうですが、彼らは違いました。
ゴブリンに襲われたお姉ちゃんを助けてくれて、村に連れて帰ってきてくれました。
バルバは、ヒューマ族に酷い事をされていたと聞いたのであまり良い顔をしていませんでしたがドッド義兄さんはすごく喜んでいました。
でも、ノノも凄く嬉しかったんです。だって、そのヒューマ族の男の人はあの時、私を助けてくれた人だったのです。お顔はあまり覚えていないのですが、何かオーラとでも言いましょうか。それが一緒だったのですから。
魔術の才能のお蔭かもしれません。それが嬉しくてたまりませんでした。でも、あの人は記憶が無いと言っていました。
でも、ついついお顔を見てしまうのです。あの人も気付いてくれましたが、その視線が恥ずかしくて目を逸らしてしまいました。
彼はドッド義兄さんのお願いを受けてくれました。そしてノノが同行するのも許可してくれたのです。
でも、あの側にいる女性は誰なのでしょうか。お人形の様な姿はとても綺麗です。彼の恋人なのでしょうか。
街道
村を出て歩く。
異世界に来て自分が気付くまで十和がずっと一緒だったそうだが、今日はもう一人増えた。
ケットシー族の少女でノノが一緒だった。黒い毛並みで黄金の瞳を持っている。
彼女は、昨日成り行きで助けたケットシー族の女性でナナの妹である。魔術の才能があるそうで、ケットシー族の男が持つような剣を持っていない。
ただ、彼女は杖を持っていた。三十センチ程度の長さの細い棒である。魔術はまだ扱えないそうだが。
今から向かうホクの村に住む魔術師から習うそうなのだ。しかし、歩いている間もノノからの視線を感じていた。
振り返ると、慌てて視線を逸らすのだがなんだろうか。
今のところはゴブリンには遭遇する事も無く順調に感じていた。
「ノノさん、道はこのままで当たってますか?」
「はいっ!大丈夫です、ナオト、さん」
ノノの言葉の最後の方は小さくなっていて聞こえにくかったが、自分の名前を呼んでくれたようだ。
ふむ、なぜそんなに恥ずかしそうなのか。
森の中は、平和だ。前の世界で働いていた時は森の中は恐ろしかった。見通しも悪く、自分の事を殺そうとする奴らが潜んでいるんだから。
しかし、それはもう昔の話である。動かなくなった足はもうしっかりと歩く事が出来る。走る事だって出来るんだ。
「直人殿っ!」
十和の声でハッとする。
ゴブリンだろう、気配がある。初めにノノが気付いたようだ。自分が何か考え事をしていた為、十和に教えてくれたらしい。
魔術の才能で、魔物の気配を感じる事が出来るらしい。
街道から外れ、森の中を進む。ゴブリンが潜む裏側へと回り込む事が出来た。
五体はいる様子だが、見えないところにはまだいるんじゃないだろうか。
「ノノ、他にも居るか分かるのかい?」
「分かります、今いるのはあの五体だけですよ」
十和に視線を送ると頷いている。ここで倒して進むのも悪くはないだろう。
このまま放っておくと別の誰かが犠牲になるかもしれないのだ。
魔石も必要だ、ゴブリンを倒して五個。使用する弾薬の補充も必要だからそれは十和に任せる事になるのだが。
「十和、右の二体を。自分は左の三体をやります」
「了解であります」
声も立てずに進んで、ゴブリンに向けて狙いを付ける。
ダブルタップ、引き金を引く。気付いた個体もいるが、振り返るのも待たずに撃ち倒す。
これで終わりだ。残ったのは、魔石が五個。十和がすぐに回収してくれた。
「すごいです、ゴブリンが五体もいたのにあっという間に!!」
ノノが目を大きく開いて驚いている。
ゴブリンは魔物の中でも弱い部類だが、数体いるだけで厄介なのだそうだ。
ノノは手に持った銃に興味がある様子で、ジッと見ていた。魔術の才能があるだけで非力だと言う。
確かに、この銃があれば彼女も簡単に戦う力を得ることが出来そうだが、渡しても良いのだろうか。
弾倉を抜き、スライドを引いて薬室内に弾が残っていない事を確認してノノにも持たせてみる。
「わわっ、思っていたよりも重いんですね」
「これでもまだ軽い方なんだよ」
自分達の撃つ真似をしているようだ、銃を構えて持ったりする。
「銃口は覗かないように。引き金には指をかけて無い様にして下さいね」
実際に撃たせてみるか。
どうしようかと考えていると、十和が弾倉の入ったグロックをノノに差し出していた。
「使える様になっておけば、万が一の時には身を守れるのであります。直人殿がちゃんと教えてあげるといいのでありますよ」
「確かにそうだけれども、今かい?」
「今であります」
「それで、このグロックはどこから?」
舌を出して恍けた顔をする十和であった。多分、今手に入れた魔石で手に入れたのだろう。
本当、何処から手に入れてくるんだ。ノノに視線を戻すと、教えて欲しいという顔で見上げてきていた。
「分かりました。まず、我々には銃口を向けない事。これは、弾が入っていなくてもそうです。自分がされてもいやでしょう?これは武器です」
「はいっ!」
十和に周囲の警戒を任せて、ノノの横に並ぶ。
まずは、銃の握り方から。
ノノに腕をまっすぐに伸ばさせる。親指と人差し指でVの字になるようにさせる。
そのVの間にグロックを挟み込むようにして持たせると引き金と人差し指がちゃんと掛かるか見てあげる。それは問題無さそうだノノは身体は小さいが、指は長いらしい。
中指、薬指、小指は銃のグリップをしっかりと保持させた。さらに、空いた方の手も使う。もちろんこの方が銃は安定して撃てるからだ。
両手で持つ時は、銃を持った右手の中指、薬指、小指の上に左手の親指以外の四指を重ねて掌で銃のグリップ左面を包み込むようにする。
右手と左手は、左手の方を強く握る事で右手を強張らせない方が銃を撃つ時に力が入りすぎないようにだ。
「両足は、肩幅より少し広く開いて?そう。銃を持った手を構えて……、真っすぐに。身体はリラックスさせるんだ。肘は少し曲げるようにして、そう」
「こっ、こうですか?」
「そうだね。腕の形が三角形になっている?」
「三角形?」
「この形を覚えていてね」
銃を対象に向けて頂点として腕の形を覚えさせる。肘を真っすぐにしないのも、銃を撃った反動をなるべく抑えて次の射撃をスムーズに出来るようにする為だと教える。
銃での狙いの付け方も教えていく。
銃の上部にある凹凸になった部分がある。手前側が、凹んでいるのを照門と呼び銃口側にある突起部分を照星と言う。
この二つの頭の部分をまっすぐになる様にして対象に向ける。引き金を引けば相手に当たると言う事だ。もちろん、距離や風、遮蔽物などがあれば話は別だが。
「必要な時以外には、絶対に引き金に指をかけない事。それも注意してくださいね。もう一度言います、これは武器です」
「はっ、はい!」
適当な物が無い為、木に印をつける。簡単な丸印を書いただけだ。
それを目標にして銃を撃つ訓練をしてみる。
「あの、丸印の中心に銃の狙いを付けて……、どうかな?」
「うまく、あの、手が動いて」
「それは、呼吸だったり身体の揺れだったりでどうしても起きてしまいます。自分の場合は撃つ時は呼吸を吸って吐く時に狙いがつくようにしています」
そのアドバイスに習ったのか、ノノも呼吸を意識している様子だ。
銃の揺れも収まってきたようにも見える。
「まずは、一発。一度引き金を引きましょう。射撃用意、撃てっ」
撃てと言ったらと言うつもりだったのだがノノは引き金を引いた。
上手くいったらしい。ちゃんと丸印の中心に当たったのが確認出来た。
「ちゃんと当たりましたね。引き金から指を離してください」
ノノは銃の反動に驚いたのだろう。固まっているので、優しく手を触って銃を取る。
そこで、自分が触っている事に気付いたのだろう。ヒャッと声を上げていた。
「良く当てましたね。がく引きと呼んでますが、引き金を引く時に指に力が入ってしまって上手く当たらない事も多いんですよ」
ノノの銃から弾倉を抜き、スライドさせて薬室を確認する。
弾が入っていない事を確認してから一度カラ撃ちさせて間違い無い事を確認。
この動作もノノにしっかりと教える。銃を撃ち終わった後、弾が無いかどうか確認するには必要な動作だからだ。
ただ、今は村の外であり魔物が突然現れてしまうかもしれないのだから持たせておくべきだろうか。
「あの、ナオトさん。まだ、銃の扱いは練習したいのです。でも、弾が入っていない物を持たせてくれませんか?」
「わかりました。ノノさんは、また魔物が現れたらすぐに教えて下さいね」
「はいっ、任せて下さい!」
ホクの村へと進むが、やはり陽が暮れてしまいそうだ。
街道をそれて、少し広い場所を野営地にする。
今日は十和と交代しながら見張りを立てる事にすると相談していると、ノノが小瓶を出してきた。
野営道具と一緒にあったが、飲み水だと思っていたのだが聖水と言う魔力を込めた水だと言う。
半日程度しか持たないのだそうだが、野営地の周囲に撒いておく事で魔物を寄せ付けないのだそうだ。
なんて良い物を持っているのだろう。村でも定期的に撒いているのだそうだが、結構高価な物だそうで毎日ではないらしい。
だからこそ、村の見回りや櫓などがあったのだろうな。稀に聖水が効かない魔物もいるそうだ。
しかし、万が一を考えてやはり見張りで立つ事に決めて野営の準備をするのだった。
今日は、ノノがご飯を用意してくれるそうだ。簡単なスープやパン、それに干し肉だったが久しぶりに食べたからかすごく美味しく感じるのだった。
ご意見ご感想ありがとうございます。
これからもよろしくお願いいたします。