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プレリュード
街の中に立ち込めた霧が、突如震えた。
重厚な一本の低音が響き渡る。
霧が街の隅々までに伝えていくように、音が広がっていく。
木々に止まった銀の翼を持つ小鳥が首を傾げ、その震えを体全体で感じて飛び去って行った。
霧は音の震えを閉じ込めるように濃くなっていく。
やがて水を湛えた源流のような静かな音に変わると、霧の震えが止まる。
地中を流れる川。
それが徐々に大地に滲み出してゆく。
赤い毛皮の獣が音を聞きつけて、こんこんと湧き出る赤茶けた水に、そっと口づけして、去っていく。
地中の川はやがて木に触れて、天へと吸い込まれるような高音へと登っていく。
栗色の果実がその水を吸い込んで、天を仰ぎ、やがて大地へと舞い降りる。
街に消えていく残響。
霧は静かに晴れていく――




