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猫伝染性腹膜炎【FIP】を発症したうちの猫のこと  作者: なちも


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異変 その4…トイレ。そして、異変の自覚

無断転載・AI学習禁止

 最近、私、ネコのうんちをとったっけ?


 気付いて、ゾッとした。


 おしっこは片付けているが、うんちを全然片付けていない。


 ネコは体が大きいから、うんちも中型犬くらいの大きさがある。

 親指の第一関節くらいの大きさのうんちを片付けたのが最後だが、あれは何日前だっただろう…?


 猫も心なしか苦しそうにしているし、なんだか、お腹のあたりが張っているような気もする…。


 ここにいたって、ついに私は、「かなりおかしい…」と自覚した。


 そういえば、最近、安眠できている。夜も走り回っていないし、―――棚の上に上がっているのを見ない。


 鳴き声を、最近、聞いただろうか?


 食欲もあまり戻っていないし、やっぱりどうしても病院に連れて行ってみなければという気がした。


「…大丈夫?」


 さりげなく避ける素振りをみせる猫を思わず抱き上げ腹を触ると、なんだか苦しげな様子がする。


「…もしかして、お腹痛いの?」


 ゆっくりと見上げてくる目の様子になんだか嫌な感じがして、すぐにでも病院に行きたかったが、仕事がある。

 転職先は幸い…と言うのはよろしくないだろうが…閑散としており、当時は従業員も自分1人だったので、翌日に有休をとれたのは、やはり幸いだった。


「便は溜まっていませんね」

 腸のあたりを触診した最寄りの動物病院の獣医はあっさりと言った。

「でも、ずっとうんちが出ていなくて、親指の第一関節くらいのを1週間くらい前にしたきりなんです」

 先月もかかったばかりの獣医にそう訴えると、

「でも、お腹が張るほど便が溜まっている感じはしませんが…。食事が取れてないと便は出ませんよ」と、言う。

「でも、お腹のあたりを触ると嫌がるような感じがして…」

 それに、食べていないが、あまり痩せた感じもしない。便が溜まっているのかと思っていたが…。

「うーん…外に出したりはしていないんですよね?」

 確認するように問いかけられ、

「してません」間髪入れずに答える。

「じゃあ、外で食べたり、外でトイレに行ったり、喧嘩もないですよねぇ…」

 そうですね、と頷くと、

「レントゲン、取ってみます?でも、触診では、便は溜まっていませんが…」と言うので、

「必要なら…」と言うと、今度は、

「うーん…」と首を捻る。

 財布事情もあるが、レントゲンとは即ち軽度被曝だと聞いたことがあった。不要なら避けたい。

「でも確かに、言われてみると、お腹のあたりは嫌がってはいますね」

 眉間に薄く皺を寄せた獣医の様子に不安が募る。

「痛みがあるのかもと思うのですが…」

 私は、便だとばかり思っていたが、溜まっていないと言うし…

「原因はなんでしょうね?」

 思わず尋ねると、

「そうですね…なんらかの不快感があるのかとは思いますが…」と少し考えた後、

「猫白血病や猫エイズは持ってますか?」と聞かれ、私は「いやー…」と言葉を濁した。

「血液検査はしたことがないので…」

 施設から引き取ったが、その施設はやらない方針とのことで、白血病やエイズを保菌しているかどうかは知らなかった。

「それじゃあ、血液検査をしてみますか?詳しいことがわかると思うので…」

「そうですね…それじゃあ、お願いします」

「今日は食欲が戻ってないということで、とりあえず、栄養剤と…念のため抗生物質を打っておきますので、それで様子を見てみてください」


 薬は出なかったが、家に帰ってみると、少しは楽になった様子で、久しぶりに食が戻っていた。


 翌日、小さなうんちが出ているのを見つけ、少しホッとした。


 でも、――(大丈夫だろうか…?)


 血液検査の結果は1週間後に出ると言う。

『結果が出たら連絡します』

 医師の言葉が耳によみがえる。

 検査結果が不安だ。猫白血病やエイズは、発症したら早いと聞いたことがある。

 何もないことを祈りながら、心のどこかで何かあるかもしれないと思っているのが嫌だった。

 

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